11月13日(月)

雑誌「文藝」の冬号で文藝賞を受賞した若竹千佐子さんの「おらおらでひとりいぐも」を読んだ。作者は63歳の主婦。”「おらおらで」の主人公は桃子さん。夫をもとり子どもも離れた。74歳の今、封印していた故郷の言葉が内側から湧き出て、大勢の「おら」たちによるジャズセッションのような会話で思考が成り立つ。<人の心は一筋縄ではいがねのす。人の心には何層にもわたる層がある>”。作者は岩手県の遠野市出身だ。選考委員の町田康さんは「人間性がいまいちだと、書くものがいまいちになる。技とセンス以前の、魂のレベルで響かせるのは、ふだん何をきき、読み、考えて生きているかではないか。この小説は自分自身にも他人にも、問いと答えが絶え間なくある。深いダイアローグが成立している」、斎藤美奈子さんは「戦後の女性史を凝縮した作品。民主主義教育を受けながら男女差も残る時代の人生。ふだん小説を読まない人にも響くと思う」と。語りは東北弁、地の分は標準語と書き分け、独自のリズム感がある。非常に密度の濃い、独特のバランスをもつ読みでのある、男から見て女性の思考のサンプルを教示される小説だった。

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by engekibukuro | 2017-11-14 10:05 | Comments(0)  

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