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12月4日(月)M・「「仕事クラブ」の女優たち」 劇団民藝

原案:青木笙子、作:長田育恵、演出:丹野郁弓、三越劇場
新劇の発祥地・築地小劇場の女優たちの話だ。この芝居では、この劇場を根拠地にする左翼劇場と新築地劇場の女優たち。昭和初期に成立した治安維持法による新劇への弾圧が、日増しにひどくなって、台本の検閲や、検閲によって、台本がズタズタになってしまったり、さらに劇場には特高がいて検閲を違反をした箇所を見つけると、たちまち上演中止だ!と大音声を発してた中止させる。今回も明治座で実地に客席から特高刑事が大声で上演中止を告げるシーンがあり、当時を体感させた。この芝居は、女優たちが出演料が出たり、出なかったりで、生活に困窮するのをしのぐために、「仕事クラブ」を作って、洗濯や家政婦、筆耕にマネキンと何でもござれの仕事をこなして、なんとか生活し、女優を続ける、その仕事を世話するのが、女優ではないが、女優たちを献身的に支援する奈良岡朋子扮する秋吉延だ。長田は、あいつぐ検閲に上演中止、検挙にも事欠かない苦しい毎日の中で、女優たちは芝居に悩み、恋に悩み、貧困に悩み、それでもあきらめずに生きてゆく女優たちを活写した。それにより、中地美佐子、藤巻るも、吉田陽子、桜井明美らが演じる舞台は、当時の新劇を生き生きと想起させて、見ごたえのある舞台を成立させた。

by engekibukuro | 2017-12-05 09:43 | Comments(0)  

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