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12月9日(土)M「斜交」水戸芸術館ACM劇場

作:古川健、演出:高橋正徳、草月会館
昭和40年に起きた誘拐事件、「吉展ちゃん誘拐事件」と呼ばれた事件、4歳の男子吉展ちゃんを誘拐し、金銭を奪い、殺害した事件だ。芝居はその取り調べ室での、当時犯人を自供させる腕に長けた名刑事と呼ばれた平塚八兵衛をモデルにした刑事(劇中では三塚九兵衛)と、なかなか自供しない容疑者木原守との息詰まる攻防を描いた芝居だ。刑事を近藤芳正、容疑者を「温泉ドラゴン」の筑波竜一が演じた。古川は、ここまでもというくらい、細部まで事件を調べて、当時の取り調べの様子を再現させた。三塚刑事は、黒だと確信した犯人を必ず落とすことで名高い刑事だった。しかし、この容疑者、福島の貧乏百姓の家の11番目の子で、生まれつ足が悪く引きずって歩く時計職人は白状すれば死刑確実なので、懸命にしぶとくあらゆる手段で対抗する・・。しかも刑事に許された時間は10日間、それ以上は人権侵害だという・・。その有様を近藤と筑波が息詰まる演技で再現して、ついに認めるのだが、その過程で犯人が真人間になってゆく過程でもあると感じさせる、刑事の人間性がか際立つ、近藤の演技だった。犯人の筑波も最後に自供するまでの演技の過程をリアルに演じて客を納得させ、立派だった。それにしても、最近の「温泉ドラゴン」のメンバーの活躍が目立つ、主宰のシライケイタの各方面の演出、坂本篤の結城座への客演など、評価がどんどん高くなっているい。

by engekibukuro | 2017-12-10 10:32 | Comments(0)  

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