12月23日(土)M「標ーshirube-」劇団桟敷童子

作:サジキドウジ、演出:東憲司、美術:塵芥、すみだパークスタジオー倉ー
”強度に伝わる九千坊伝説が大好きである。この伝説をもとに5本の戯曲を書いた。どれも時代は異なり、話は別物である。劇団の歴史を彩る大事な作品群であった。旗揚げ公演の「餓鬼道の都市」も、九千坊伝説をもとに書いた作品であった。劇団員が夜なべして風車を作り、舞台に飾った。もうあれから18年である。あの時の仲間の何人かは去り、そして新しい仲間が増えた。いつも故郷の海を想いながら執筆した。故郷の海岸部には多くの古墳があって、少年の僕はそこで遊んだ。玄界灘を越えた向こうに異国があって、知らない場所が存在する。その海の向こうに浪漫を感じた。今回でこの九千坊伝説の物語と決別しようと決めた。理由はない・・この『標』が最終章である。”と作者東は書いている。
こんどの物語りは、日本の終戦直前、その伝説の海のわだつみの因習にとらわれている集落に、脱走兵3人が紛れ込んできた。この集落には、河童頭衆七人女(かわらずしゅうしちにんめ)という集団が存在し、集落本体の湊地区・千坊集落とは離れて暮らしている。芝居はこの脱走兵たちと、七人衆の間に起こる軋轢を主に、物語は八方に飛散して、東の物語りのいつものごとく多岐にわたるさまざまなエピソードがくり広げられてゆく・・。今回の異色は七人女の頭ワタリを、客演の演劇集団円の朴璐美が演じていることで、この朴のエネルギッシュな迫力満点の演技が舞台を引っ張っていった。ラストはこの劇団、このスタジオ独特の無数の風車が舞台一面を飾る・・・。終戦直後の日本の知られざる集落の物語り・・。華麗な塵芥のスペクタクルを今回も堪能できたが、この伝説の物語りと時代を混淆させる劇は、もう燃えつきた感もある。作者も決別すると書いている。次の新生する作品を期待したい。


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by engekibukuro | 2017-12-24 10:09 | Comments(0)  

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