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「いつか見る青い空」11月8日シアターグリーン

作・演出:長谷川孝治、弘前劇場。弘前劇場から畑澤聖悟が出て「渡辺善四郎商店」を立ち上げたが、両劇団ともきちんと活動していることを示していると思った舞台だった。舞台は地方の寺。この寺の住職は寺を放棄して行方のしれない放浪の旅にでている。寺は妻がなんとかしのいできたが、その妻も死に残されたの三人姉妹。この寺にいろいtろな人たちが出入りして、それぞれが各種各様の記憶や思いを抱えている。そんな人たちのある日が重層的に描かれる。長谷川独特のウンチクや賑やかな食膳など楽しめる事柄を背景に、この人たちのかなりのっぴきならない人生や生活が伝わってくる。そこから醸成されるローカルな生活感の密度が長谷川の芝居の魅力だ。それはアメリカのウイリアム・インジの芝居を思わせるものだ。今回も密度の濃い、余韻の残る舞台だったが、人物の履歴などがもう一つ明確に伝わってこないのがもどかしかった。ラストのデカルトのモノローグは唐突すぎた。
・長谷川がパンフで書いている地域の俳優について論述は重要だ。首都圏の職業俳優と違って地域の俳優は生業をもって演劇活動をしている。彼ら地域俳優の演技は従来の上手いとされる演技は必要ではない。地域俳優の演技の必須は「魂の世話」だという。それはこの劇団の福士賢治、永井浩仁、長谷川等、あるいは「畑澤の「ワタゼン」に出演している宮越昭治などの演技を観ていて大いに感じられるのだ。長谷川は「リージョナルシアターはそろそろ自前の演技論を持つべき時である」と結語している。

by engekibukuro | 2008-11-09 08:18 | Comments(0)  

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