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12月26日「新人画会展」28日M「ガラスの少尉」唐ゼミ

板橋美術館で開催された「新人画会展」は感動的な展覧会だった。戦時下の表現の自由を奪われた画家たちの芸術的抵抗がいかなるものだったかを如実に展示した絵画に目を奪われた。戦時下の画家たち8人。アイ光(難字なのでカタカナに)、麻生三郎、糸園和三郎、井上長
三郎、大野五郎、鶴岡政男、寺田政明、松本竣介で、彼らの代表作がほとんどそろっていた。アイ光の雉の内臓と果実を組み合わせた、底光りする傑作「静物(雉)」、松本の小さな家々をバックに巨大な青年像を描き見る者を圧倒する名作「立てる像」、太い指で顔をうずめる鶴岡の代表作「重い手」、寺田の有名なコミカルな2匹のねずみが向き合っている名品「ねずみ」、今回初めて見たが糸園の風景の片隅に2匹の犬を描いた「犬のいる風景」もステキな絵だ(須田国太郎の「犬」を思い出した)。それに独特な赤を使う私の好きな麻生三郎のパリ遊学の時に描いたパリの街の風景画があったのが嬉しかった。戦後、寺田が新人画会について「絵があるから生きている」と語ったそうだが、時代に負けず緊張感をはらんで、それぞれの美を追求した絵画群は胸を打つものだった。美術好きには必見の美術展だ。09”12日まで(テレフォンサービス 03ー3077-1000)。
★「ガラスの少尉」(作:唐十郎、演出:中野敦之)は10月に川崎市民ミュージアムでテント上演されたが(劇評は「シアターアーツ」2008冬号掲載)、今回の再演は横浜のBanKARTの屋内上演。客席を飛行機の座席に見たてて、舞台にシンクロさせた。ラストは奥をあけずに、上手に接近する他機を据えて、椎野裕美子のガランスが頭に花をかざして機上に座り、客は移動する彼女を窓越しに眺める。中野の数々の工夫が楽しめる舞台だが、やはりインパクトはテント上演のほうが勝る。来年は唐作「下谷万年町」を上演する。蜷川幸雄の演出でパルコで上演され、大評判になった名作だが、この難戯曲をどういう読解で上演するか楽しみだ。打ち上げで唐さん、室井尚さん、田之倉さん、中野君たちと飲む。驚いたことに中野君は一滴も酒を飲めない、それでいて唐さんと朝までつきあうそうだ。今年はこの芝居でおわり!今年の本数は270本、厳選したつもりだったが多すぎた。来年はさらに厳選しよう。皆さん良いお年を! 
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by engekibukuro | 2008-12-29 15:15 | Comments(0)  

12月27日M★「Paradise]S★★「無機的INORGANIK」

・26日「ZORA」公演の文中修正あり★構成・演出:和田憲明、SHOUーGO PURODUCE、シアタートップス。
和田が土田英生、中島淳彦、じんのあきら、桑原裕子の脚本を構成した芝居。どこか地方の巡査・刑事を狂言回しにして、轢き逃げ事件を脇筋にして、10年前の高校生たちと現在のサラリーマンを対比した一種の青春グラフイテイ。和田らしく場面の推移のサスペンスや会話のいったりりきたりの面白さは抜群でー役者たちによる「楽園」という名のセッションーという副題どうりの面白い舞台だった。ただ、細部さ充実しているが、全体の脈絡を捕まえるのがちょっと難儀する芝居でもあった。
★★構成・演出:清水信臣、解体社、CANVAS。12月、1月、3月と続く連続公演の一回目の作品「人体主義者」。女性パフォーマーの半裸でのパフォーマンスは迫力があるが、この回の作品の焦点が判然としない。全部観てからか、判然とするのは・・。
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by engekibukuro | 2008-12-28 11:58 | Comments(0)  

12月26日MーZORA公演シアターイワト

★26日の文中修正あり・「ZORA」は第三エロチカにいた吉村恵美子、坂本容志枝二人のユニット。今回は「悪童日記」のアガタ・クリストフの作品の2本立て公演。★「エレベーターの鍵」★★「灰色の時刻、あるいは最後の客」(演出:下総源太郎)。東欧出身でフランス語で書くクルストフの人間と世界にたいするバルカン風の悪意に満ちた視線が魅力の芝居だ。★はエレベーターの鍵を妻に渡さない夫のため外に出られない妻のモノローグが中心。夫は友人の医者と共謀して、妻の足、耳、目の機能を奪う。妻は1日中車椅子でお喋りをするしかない。残されたのはコトバだけ。最後に妻は夫を殺す。部屋の外の風景はかっては緑の平原だった土地が,イマは開発によって建物が林立している。窓をあけるとものすごい騒音だ。土地の自然を簒奪する風景と身体を奪われた妻とが重なる。妻は吉村、夫は下総で医者は扇田拓也。妻の狂騒的なモノローグと男二人のクールなたたずまいの対比のトーンが面白い。★★は坂本の娼婦をアウトローの宮島健が買いに来る。男は古くからの客だ。二人の妄想的なダイアローグで構成された、ジュネの芝居のような繰り返されるゲーム、反復の腐臭がきわだつ芝居で、少路健介のヴァイオリンがアクセントになり、名状しがたい印象深い芝居だった。
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by engekibukuro | 2008-12-27 11:13 | Comments(0)  

12月25日S「ウエスターンカーニバル クリスマス同窓会」

・どうした風の吹き回しか、新宿コマ劇場最後のウエスターンカーニバルの取材招待が舞い込んできて喜んででかけた。行ったら、全席完売でプレスの方は最後尾の席の後ろで立ち見だという・・・・・ヒャアとは思ったが、プレスカードを首から下げて劇場のテッペンの階段に坐って観た。1700人の超満員の客席と舞台を睥睨する感じで、コマの最後の体験としてはわるくないぞ!さて司会は小野ヤスシと加藤茶。平尾昌晃、ミッキー・カーチス、山下敬二郎のロカビリー三人男以下、男女あわせて13人の出場。初開催から半世紀、客席含めてフルオールドだがこの3人男の歌はちっとも衰えていない。尾藤イサオの「BeBopALuLa」は懐かしいし、「悲しき願い」の「どうにもにこうにもなりゃしない・・・みんなオイラが悪いんだ」にはしびれたな。弘田三枝子は渋く光るシルバーのドレスであの強烈なパンチは相変わらずなので凄い。伴奏の寺内タケシとブルージーンズ、寺内はバンド結成60年というのに大貫禄で若々しい。ただ、休憩なしの2時間45分なので後ろから見ていると、後半みんな年が年だけにトイレにたつ人がどんどん増える。なかには20分に1回はゆく頻尿の人もいたし、またシャメールで写真をとる客を係員が客席を駆け回って必死に制止しているし・・・とにかく歌舞伎町もクリスマス気分なんてカケラもない不景気な年の、まずはありがたいクリスマスプレゼントのイベントだった。
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by engekibukuro | 2008-12-26 10:42 | Comments(0)  

12月24日S「日本語がなくなる日」OFFOFFシアター

作・演出:大石哲史、北京蝶々。早稲田劇研から自立した劇団として独立した二回目の公演。大石の特性が際立った芝居だった。近未来の話。場所は南極、第90次越冬隊の宿舎の食堂。この頃の世界には悪質な動物経由のウイルスが蔓延していて、死者が増え続けていた。無菌地帯はここ南極だけなのだ。芝居は越冬隊の後続隊として生物学者の一行が到着するところから始まる。この学者は妹と恋人とメイドを連れてきた。この一行は恋人を除いて、父親の方針で東南アジアで育てられ、日本語が喋れない。父親は世界に機能しない日本語など覚えても価値がないという考えだ。だからこの一行には日本語コーチがついている。かれらの言語は東南アジア唐の現地語と中国語の混成語で、日本人職員には全く理解できない。彼らは自分尾コトバにいこじに執着している。南極にも危機が迫ってきて、ペンギンに異状が発生した。日本はいまや絶滅状態。そういうシチエーションでの言葉のギャップが深刻な事態を次々と生む。ラストは世界中を行き来していた学者と妹だけに抗体が出来ていて生き残るが、他の日本人は絶滅する。大石はこのギャップを臨場感をもたらす細部として描き出し、緊張感があふれる舞台を創りあげた。またこの芝居の底からは、世界の中で日本と日本語はいかなる価値があるのかという問いかけと、日本が近未来に絶滅する予感がリアルに感じられた。
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by engekibukuro | 2008-12-25 12:11 | Comments(0)  

12月23日M「俺たち忠臣蔵部」マーク義理乃姉妹

作:五味祐司(双数姉妹)+マーク義理人情、演出:小池竹見(総数姉妹)+マーク義理人情、王子小劇場。俺の好きな「総数姉妹」の怪優五味祐司が書いて、同じく総数姉妹の才人小池が演出し、王子系の代表劇団ともいえる「マーク義理人情」と双数姉妹の役者が合体して演じる芝居だということで観にいったのだが、忠臣蔵をイマ風にアレンジしたものだったが、ちょっとまとまりを欠いていて、2時間は長すぎた。
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by engekibukuro | 2008-12-24 12:03 | Comments(0)  

★12月20日M音楽座★★12月22日S演劇集団円

★「マドモアゼル モーツアルト」東京藝術劇場。小室哲哉が作曲したもので、あの事件でスポンサーがおりてしまって大変らしい。モーツアルトが実は女だったという物語。当時は女が作曲は出来ない時代だったから、父親が男として育てた。それをサリエリが見破り、モーツアルトに恋をするというするという奇抜なファンタジー。謝珠栄の振り付けが楽しい。
★★「赤ずきんちゃんの森の狼たちのクリスマス」(作:別役実、演出:小森美巳)岸田今日子記念 円こどもステージ、シアターX。12月の恒例の舞台だ。こどもたちの反応が楽しい。今回は高林由紀子の魔法使いのおばあさんがステキだった。片目の森番が魔法使いのおばあさんに出したラブレターが粉々になって雪になり、それが降ってくるラストシーンもステキだった。
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by engekibukuro | 2008-12-23 10:56 | Comments(0)  

12月19日S「雨と猫といくつかの嘘」青☆組、アトリエ春風舎

作・演出:吉田小夏。「百万回生きた猫」が素になっている芝居。どしゃぶりの雨に生まれた男が還暦を迎えた。離婚して一人住まいのアパートに娘と婚約者が男の誕生日にお祝いに訪れる。
この日も雨だ。芝居はこの男の娘、息子、母や父、そして飼っていた猫などが幼少時からの男の誕生日を巡って現れ、その時々の暮らしや関係が男の幻想をまじえて描かれてゆく。その時はいつも雨が降っている。だから男の部屋を訪れる者は傘をさして来て、帰るときは傘をゆっくりさし、奥に消える。雨と傘のイメージがキイになって、スタイリシュな舞台を創りあげてゆく。そこから浮かび上がってくるのは、人が生まれて生きる根幹に漂う寂寥感だ。このしんとした寂寥感は常に吉田の舞台の底を流れるテイストで、それが吉田の作品のの魅力を形成している。今回も男に関わる人間たちと猫との関係の過去と現在のイメージの交差が見事な連鎖として運ばれていて、男の孤独が浮き彫りになっていた。ただ、場面ずくりの手数が多い割にはイメージの決め手が弱い。吉田には忘れがたい人物が存在する芝居がある。全身を整形した妻だとか、突然理由も判然とせず自殺する母親とか、死んでから現れる天文好きな兄とかだが、今回はそういう人物とはならなかった。私の知っている俳優は一人もいなかったが、俳優たちが皆、吉田の意を呈して好演している。俳優の層の厚さと広さに気づかされた芝居でもあった。だから、
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by engekibukuro | 2008-12-20 10:38 | Comments(0)  

「スタンレーの魔女」「ウインドミル・ベイビー」「リアリテイ・ショウ」

12月17日M「スタンレーの魔女」(原作:松本零士、脚本・演出:御笠ノ忠次)サバタミカンダ、赤坂レッドシアター。戦時中、爆撃機の航路を阻むスタンレーの高峰をいかに乗り越えるか。航空兵たちの苦難と陣地での日常を描いた作品だ。御笠ノとサバタミカンダの実力俳優たちがスマートに仕上げたが、初演の御笠ノが率いる集団SPACENOIDの舞台の荒々しさ、素人ぽいが破天荒な演技をした役者たちでのほうが面白かった気がするが・・・。しかし、御笠ノが東京の中心で堂々と演出するようになったのは慶賀の至りではある。
12月18日M「ウイドミル・ベイビー」(作:デービッド・ミルロイ、演出:和田善夫)。ミルロイはオーストラリアの代表的なアポリジニの劇作家、演出家。西オーストラリアのとある牧場に、アポリジニの老女・メイメイが50ねんぶりにやってきて、かって自分が洗濯女として働いた過去を振り返り、12人の人物を演じ、語るという一人芝居。これを大方斐紗子が演じた。フォークロアの定型のような作品だが、大方は見事に演じ分け、面白いかわいらしい老女の魅力を振りまき、アポロジニと白人の対立と融合の歴史をしのばせた。
12月18日S「リアリテイ・ショウ」(作・演出:鴻上尚史)虚構の劇団、紀伊国屋ホール。ドラマや歌番組ではない、「本当の人生」を登場させるTV番組を世界基準では、「リアリテイ・ショウ」と呼ぶ、そうだ。この舞台では無名の若手劇団が一つの建物に閉じこもり、「ロミオとジュリエット」を稽古する。その稽古風景と私生活をテレビの視聴者にさらけ出す。若者が社会とメデイアの圧迫に悲鳴をあげているような状況がなまなましく描かれているる。鴻上らしい新規な視点から現代を抉り出していた。
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by engekibukuro | 2008-12-19 15:37 | Comments(0)  

「日陰者に照る月」「三人の女」「あれから」「人類館」

12月15日M「日陰者に照る月」(作:ユージン・オニール、演出:西川信広)文学座、吉祥寺シアター。石ころだらけの荒地に住む荒くれた粗暴な農夫(加藤武)とその娘のあばずれ女(富沢亜古)とNYに住むその農地の地主の息子(菅生隆之)の3人のドラマ。この教養のある息子はあばずれ女に屈折した心情を持っているう。農夫と娘は息子を騙して大金をせしめようとする。あばら家の庭での会話劇。オニール晩年の作。3人のドラマはオニールらしいファンダメンタルな愛や性、肉親愛の問題をさらけ出すドラマに深まってゆく。この芝居はオニールの人物をゆるみなく演じた3人の役者が素晴らしい。文学座の底力だ。特に加藤は私の見た限りでの舞台では最高だ(元来、映画やテレビのほうが目立った)。
12月15日S「三人の女」(作:岡田利規、演出:竹中直人)竹中直人の会、本多劇場。竹中が岡田に普通の芝居を書いてくれと依頼した。よくわからない芝居だが、それを芝居らしくして客にとどけようとする荻野目慶子、中嶋朋子、佐藤直子の力演が感動的だ。
12月16日M「あれから」(作・演出:ケラ)ケラマップ、世田谷PT。ハリウッド全盛期のパラマウント映画のようなロマンテイックコメデイを思わせる。ケラは自分の発想を自由自在に表現できる円熟さをも感じさせる。渡辺いっけい、高橋克美、余喜美子、佐藤ひとみ、山西惇とケラの新世帯の演技陣がケラの目論見を成功させた。出色は赤堀雅秋、作者でなく役者でもこんな破天荒な芝居ができるとは!
12月16日S「人類館」(作:知念正真実、演出:幸喜良秀)劇団「創造」早稲田大隈講堂。国立近代美術館の「沖縄・プリズム1872-2008」の関連イベント。1日かぎりの無料公演。1978年に沖縄の劇団「創造」が初演した、岸田戯曲賞を受賞した作品。この芝居は沖縄を考えるときの古典だ。あらゆる沖縄の問題が網羅されている。けっして、イデオロギッシュな告発劇ではない。この上演でも沖縄の人々の心情が波打っていた。大隈講堂満員の客が万来の拍手でこの上演の終幕を迎えた。
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by engekibukuro | 2008-12-17 10:30 | Comments(0)