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12月29日M「セヒクスピアレビュー笑いすぎたハムレット」

脚本・演出・振付:中村龍史、振付:玉野和紀、博品館劇場。歌あり、ダンスあり、曲芸ありの「ハムレット」
の大パロデイ。日本でのタップダンスの第一人者の玉野和紀がハムレット、土居裕子がオフイリア、宝塚歌劇団を退団して初めての舞台の七帆ひかるがジュリエット(?)。玉野ハムレットが「生きるべきか、死ぬべきか」とタップを踏みながら大悩みして、土居オフイリアはマッコリを飲みすぎて、酔いをさますため洗面器の水に顔をつけて・・漬け過ぎてご水死してしまう。しかし、元気に生き返る。土居の音楽座以来の歌の素晴らしさは元論だが、喜劇的センスも冴えていた。まあ、バカバカしいが爆笑の年忘れの舞台だった。

 ★本年の観劇はこれで終了しました。ブログにお付き合いいただいた皆様、良いお年をお迎えください。来年は素晴らしいお芝居に出会えますように、グッドラック!
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by engekibukuro | 2009-12-30 06:02 | Comments(0)  

12月27日M★「泣かないで」S★★「兵士の物語」

★音楽座ミュージカル(原作:遠藤周作「わたしが・棄てた・女」、脚本・演出:ワームホールプロジェクト、東京藝術劇場。音楽座の代表的レパートリーの一つ。時代は終戦直後の東京。田舎出の純真な女工が、貧乏大学生に関係をもたされ、大学生はその娘を棄てる。娘はハンセン病の疑いで富士の麓の病院へ行く。精密検査の結果、誤診だと判明され、救われるが、娘はハンセン病の患者たちの生活、介護するシスターの献身に胸を打たれ、病院に残って働き出す。一方、大学生は出世して上司の姪と結婚して幸せな暮らしに・・。その双方の物語が交互に語られる。娘はある大雪の日に、交通事故で死ぬ。カトリック作家遠藤(客席に花を供えられた遠藤の写真が飾られていた)の聖女物語だが、音楽座独特の生活感、真実感が籠もったミュージカルで、幕が下りると客席に感動の波が広がった。
★★原作:アファナシェフ、脚本:C・Fラミューズ、作曲:イゴール・ストラヴィンスキー、演出:白井晃、出演:石丸幹二、ピアノ:石岡久乃、パーカッション:平子久枝)日経ホール。日本でも何回も上演されているストラヴィンスキーの名作だ。2週間の休暇で故郷へ帰る兵士が、旅の途中で悪魔に騙され、時間を奪われる。悪魔に翻弄され、有為転変の人生を送った兵士が、人間の幸せとはなにかと問い続け、幸せの限度を思い知らされる物語。私はこれまで白井の演出作品に今一つ馴染めなかったのだが、この舞台は素晴らしい。白井のセンスが冴え渡っている。無論、石丸の見事なパーフォーマンス、石岡のピアノ、平子のパフォーマンスが上出来だからこそだが、三者のアンサンブルを纏め上げた才腕が光っていたのだ。
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by engekibukuro | 2009-12-28 11:04 | Comments(0)  

12月25日S劇団解体社アトリエ・パフォーマンス三部作

ⅲ.「だがわたしは自殺しない」(構成・演出:清水信臣。この三部作は、10月、11月、12月にそれぞれ上演された。11月は観ていないので、全体は把握できないが、プロローグプ・エピローグを挟さまれて六つの個別シーンがあるこの舞台は、それぞれのシーンは刺激的だが、全体を貫く赤い糸のよなものが見えないし、タイトルに繋がらない。深い含意があるのだろうが・・・・・。
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by engekibukuro | 2009-12-27 07:55 | Comments(0)  

12月25日M★ZORA

★「椅子」・作:イヨネスコ、演出:扇田拓也、シアターイワト。期待どうりの芝居を観られることはめったにないが、この舞台は期待どうりだった。貧しく、空しい人生を送ってきた老夫婦が、妄想によって人生を復権してみせるという芝居だ。生涯に会ったことも、話したことも無い大物たちや美女が、次々に夫婦を訪れてくきて、親しくお話したり、性的な接触まで妄想して、接待用の椅子が増殖する。最後には皇帝まで来訪してくる。しかし、舞台は荒れた空き地で夫婦はボロを着ていて、椅子は壊れていて、足りなくなると夫婦が一生使ってきた古びた家財道具一切がもちだされる。美術・加藤ちかの舞台の土台の荒地のマチエールが芝居のトーンをしっかり創った。扇田はその舞台上の道具屋やゴミ一つまで、吉村恵美子と坂本容志枝の夫婦の演技に緊密に絡ませて、この老残の夫婦の生涯を描ききった。自分も老人なので、思い込みもあるだろうが、このイヨネスコの不条理劇といわれている芝居が、まったく条理にかなった芝居だと感じた。ラストの喪服の紳士(萩原富士夫)と妖しい美少女(笹野鈴々音)が空き地を訪れ、少女が夫婦の死体に花を置くシーンも決まっていた。扇田は子の芝居はフランスの芝居だが、「この戯曲は日本で生まれたに違いない、そう思い込んで取り組みました」と書いていたが、これは吉だ。吉村、坂本の奮闘的な演技も扇田に応えて素晴らしかった。扇田の演出の才能が確かに立証されたし、年末にいい芝居を観た。2日間の上演で今日の昼夜で終わるのは惜しい。
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by engekibukuro | 2009-12-26 11:35 | Comments(0)  

12月21日S「第三の証言」(作:椎名麟三、演出:壇臣幸)

青年座、青年座劇場。青年座は俳優座を飛び出した若手俳優が創立した劇団だ。創立メンバーは森塚敏、山岡久乃、東恵美子らだ。劇団結成の主眼は創作劇を上演すること。第一作を劇団員全員でアポなしで椎名麟三の家に押しかけ強引に書かせたのが、この芝居だ。青年座は「青年座・セレクション」という名称で、劇団の礎を築いた創作劇を連続上演する企画を立て、その第一回公演だ。初演は1954年、椎名ファンだった私はそれを観ている。中身はあらかた忘れたが、首吊りのシーンの強烈さは覚えている。
 舞台はビスケットをつくっている製菓工場。この工場ではフシギなことばかり起きる。新米の工員新三は、工場のいたるところでネズミの死骸を見つける。新三は騒ぎ立てるが、他の工員も社長もなれきっているか全く無関心だ。それに社長は主体性が全く無く、どこからか届く電報の指図で動いている。おかしなことが頻発するが、なんといっても給料がいいのだ。不景気な世の中で、皆職を失いたくないから、大概なことは目をつぶっているのだ。新三が依頼した保健所の診断で、ネズミは全て肝臓障害で死んでいるという報告が届く。ビスケットの粉が毒ではないかという疑惑がひろがってゆく・・・。
 椎名麟三は不条理な実存主義作家といわれ後にキリスト教に帰依するが、この芝居を改めて観ると、その思想が直に伝わってくる。新三はドストエフスキーの「白痴」のムイシュキンだし。ニヒリストの工員梶原はロゴージンだ。工場全体を動かして売るのが誰だか不明だというのもカフカ「城」を思わせる。つまり全体がカフカ的不安でみなぎっているのだ。それにこの芝居では女工一人と、ラストには新三が首を吊った。首を吊った新三の足がないかにぶつかる音につれて白雉の女工が踊りだす。この舞台の貧困と虚偽に苛まれた実存的不安は、自殺者3万人の現在に直結する。ただ、今は身なりとかに粉飾されていて可視化が不透明になっているだけだ。実体はこの舞台の状況と変らないだろう。この芝居がこんなにアクチュアルだとは、おもわぬ収穫だった。演出も俳優もテキストの真意を十分に伝え、椎名麟三を復活させた。
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by engekibukuro | 2009-12-22 11:21 | Comments(0)  

12月20日M「神曲三部作ー煉獄篇」世田谷PT

ソチェスタ・ラファエロ・サンツイオ・演出・舞台美術・照明・衣裳:ロメオ・カステラッチ、F/T参加作品。カステラッチはイアタリア人。だが、上演言語は英語だ。ダンテの「神曲」そのものを舞台劇にしたものではない。一部の「地獄篇」三部の「天国篇」を見ていないし、「神曲」も読んでいないので限定される。舞台は贅沢な家具に囲まれたブルジョワ家庭の居間。囁くような母と子の会話。こどもはロボットおもちゃで遊んでいる。後刻父親が現れ、息子を連れて2階に上がる。階上での惨劇の気配。舞台は様々な紋章などのオブジェで占有される。そして二人の男の格闘。舞台にはセリフの反復の字幕とか、人物の動作指示の字幕がでる。全体が洗練されたパフォーマンスだとは感ずるが、内容はよくわからない。「地獄篇」ではアンデイ・ウオーホルが案内人になったそうだから、「神曲」から得たインスピレーションを得た前衛作品なのだろう。 
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by engekibukuro | 2009-12-21 14:14 | Comments(0)  

12月19日(土)M「あの庭の扉をあけたとき」

岸田今日子記念○円・こどもステージNO.28。原作:佐野洋子、脚本:いずみ凛、演出:小森美巳、企画:岸田今日子、シアターΧ。毎年年末恒例のこどもステージ。ションベンたれのようこちゃんはお父さんと散歩にでる。ある日、垣根に花が一杯咲いている大きなお家にであう。庭で花の世話の世話をしているおばあさんに声をかけたら、花をほめたのにつっけんどんでろくに返事もしない。そんなある日、ようこちゃんはジフテリアで入院する。無事治って、ついでにションベンたれも治ってしまう。ある晩、夜中にトイレに行ったとき、変な女の子に誘われて見知らぬ家に行く。その家でヘンな人たちに会ってちょっと恐ろしいめにあって、病院に戻れなくなった・・・。その変な女の子は花の庭の強情なおばあさんの小さいときだった。このお話はちょっとややこしくて劇場にきていた幼児には難しかったみたいだ。泣き出す子の世話が大変な様子。こどもステージの書き手でもある別役実さんが、いつかこども芝居を書くのが大好きだと書いていた。反応が正直で見ていて楽しいと。
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by engekibukuro | 2009-12-20 08:49 | Comments(0)  

12月17日M★シアターコクーンS★★赤坂レッドシアター

★「東京月光魔曲」(作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィチ)Bunkamura二十周年記念企画。昭和4年の東京を舞台にした猟奇ミステリー劇。レトロの雰囲気が立ち籠もった舞台には、近親相姦とか変態とかの魔が人間生活のちゃんとした常態の姿として現れていた。約3時間半の舞台をを緩み無くまったく飽きさせず見せてしまうケラのストーリーテリングの力が素晴らしい。ただ、話の芯を目指すケラ独特の求心力が今回は弱い気がした。主役、瑛太、松雪康子以下大鷹明良など豪華キャストだが、面白いのは小劇場の主宰者3人、赤堀雅秋(THE SYAMPOO HAT)、岩井秀人(ハイバイ)、長谷川寧(富士山アネット)がでていることで、中ではケラの芝居では常連に近い赤堀が、得体の知れないならず者を演じて異彩を放っていた。
★★「リンゴ、リンゴ、リンゴ」(作・演出:中島淳彦)劇団道学先生。中島は道学先生には5年ぶりの新作だそうだ。かって道学先生に書いた中島作品は中島の故郷宮崎の海が背景になっており、どんな暗めの話、どうしようもないような人間がでてきても、海の明るさと笑うきゃない道筋が救いになっていた。ところが今回は千葉の昔は温泉がでたが、今はさびれた土地で、元売春宿のアパートが舞台で、そこへ借金でクビが回らなくなった三流作詞家が転がり込んできた。そこの住人は孤独で奇矯な老婆や変人ゴルファーたちで、さらに作詞家が歌謡学校の授業料を横領したのが原因で殺人事件を起こした弟子が脅しにやってきた。不景気な時代のせいかどうも暗い話で救いが無い。主役の青山勝、いま絶好調の六角精児など巧い役者がそろっていて面白い芝居ではあるのだが、期待していた笑いが少ないのが残念だった。
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by engekibukuro | 2009-12-18 12:32 | Comments(0)  

12月16日M「田園に死す」原作:寺山修司

脚色・構成・演出:天野天街、音楽:J・A・シイザー、企画:流山児祥、ザ・スズナリ。ウイークデイの昼公演なのに超満員。寺山人気の根強さをまざまざと見せ付けられた。鬼才天野が寺山のテキストをどう変貌させるかワクワクして観にいった。期待に違わなかったが、期待が大きすぎたのか多少の不満足感は否めなかった。冒頭から、柱時計の故障についての男女の掛け合いがある。”故障したんですか””故障したんですよ”という問答が延々と続く。普通ならうんざりする、いわばマイナスのシーンを奇想天外なプラス効果に転化してしまうのが天野マジックだ。それと”宇宙の果てまで攪拌する幾何学ダンス”(流山児定義)という天野特製ダンスも舞台を鮮やかに切断する。だが、この寺山の短歌、テキスト、寺山伝説をごった煮にしシチューのような舞台と天野マジックがすれ違ってしまう箇所が散見してしまう。舞台が少し緩むと、流山児が登場して歌を唄ったり(歌は巧い)、でている役者を脅しつけたりする。それは抜群に面白いのだが、そこだけ目だってしまうのは如何なものかと思わざるを得ない。天野の気負いすぎが、意余ってこぼれてしまった感が拭いきれない。
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by engekibukuro | 2009-12-17 11:29 | Comments(0)  

12月14日M「パッチギ!」新国立劇場

総合演出:井筒和幸、舞台演出:茅野イサム、脚本:羽原大介、音楽:加藤和彦。あの井筒監督の名作「パッチギ!」の舞台化だ。茅野のもパンフに書いていたが、あの映画の感激を舞台でもというのは大変に困難だ。だが、開幕途端、朝鮮高校舞踊部の朝鮮舞踊が「イムジン河」の曲をバックに舞われだすと、もう涙がしらずに目をぬらしてしまった。この歌は40年も前から私には懐かしくも大事な歌で、歌って聴いて数々の想い出が詰まっている歌だ。そう、話の骨格を伝えるのは映画には叶わないが、音楽と舞踊を最大のアクセントにしたライブ、スペクタクルにした茅野の作戦が舞台化に成功したのだ。特に、ラストシーンの、主人公康介がギター1本でラジオのフォークソングコンテストで「イムジン河」を歌う姿を舞台の中心におき、その周りで朝鮮高校と京都東高の大乱闘が渦巻き、舞台上部では朝高の生徒と日本人桃子の子供の出産の場があり、下手ではヤクザに追われて事故で死んだ朝高の生徒の通夜の場があり、その全体をラジオから流れる「イムジン河」が覆う同時スペクタクルは茅野演出の大善戦だった。山本裕典、石黒英雄、三島佳奈以下の若手が茅野の意に沿い、渡辺哲、小市慢太郎、峯村リエ、小林美子らベテランが舞台をちんと抑えた感激のライブだった。加藤和彦が産み出した「イムジン河」という名曲が、これだけの物語を創り出した凄さを改めて感じた。
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by engekibukuro | 2009-12-15 07:24 | Comments(0)