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7月30日(土)M「眠っちゃいけない子守歌」劇団旧真空鑑

作:別役実、演出:富永由実、下高井戸・旧真空鑑。出演は二瓶鮫一、別府康子(民藝)。
 富永さんは細々ながら、劇団と劇場をよく維持している・・・・感心する。もう長くない老人のところへ、老人相手のお話し合いの事務所からの派遣のおばさんがやってくる。彼女は老人と、あの時は面白かったとか、あれがおいしかったとかの思い出話の相手をするつもり(たいがいそうなる・・)だったのに、この老人はそんな話題にいっさい興味をもたず、のこりすくない人生に”世界”がどうあyってくるのか、”世界”とのかかわりしか関心がない、”世界”のことを考えると眠れないのだ・・・、”世界”(超越性)という形而上的世界に埋没している老人と日常という形而下の世界を生きているおばさんと話がかみあうわけがない・・・。さらにおばさんはこの老人の相手をしていて、別れた夫を思い出す。いがみあって暮らしていて、夫を憎んでいたのに、夫は自分を憎んではいなかった、もっと別次元の、それはこの老人の”世界”にあたるのだろうことにしか関心がなかったのだ・・・。だから別れた・・。別役はおばさんの日常のフツーの考えで暮らす感触も、切ない”世界"への憧憬で生きる老人も、その両者の切なさををしみじみ描き・・。二瓶、別府もそれを十二分に演じて・・。老人はとうとう”世界”との決着はうけられず死ぬ・・。が、おばさんは別れた夫に会いに行く決意をする。夫の”世界”への関心が理解できたのだ・・。人(夫)は自分の世界の延長の上にいるのではない、全く別の他者なのだ、だからこそ一緒に暮らすかどうかは別にして、開けてはゆくのだ・・。久しぶりに別役劇の醍醐味を味わった。
▼メモ。今日は一族の例年の墓参りで青山墓地へ。皆30台の甥、姪、息子たちは忙しくてこられず、今年は老人4人のみ。渋谷へでてロギスキーで食事。一杯のウオッカがこんなに効くとはトシだな・ ・・・・。
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by engekibukuro | 2011-07-31 09:55 | Comments(0)  

7月29日(金)MEMO








▼「思想としての3・11」(河出書房新社編集部編)
佐々木中「砕かれた大地に、ひとつの場処を」が巻頭(講演記録)、鶴見俊輔、吉本隆明、中井久夫、山折哲雄、加藤典洋他11人の執筆者。佐々木ハインリヒ・フォン・クライストの短編小説「チリの地震」と坂口安吾のエッセイを中心に人間と災害のヴィジョンと安吾の日本および日本人論を重ねる。加藤論文では今回の大地震に関する文系と理系の論文を読み比べて読む、池田清彦や養老武孟司の論文に教えられたといい、それに反して中沢新一の論文はあちへん刺激的だが池田、養老のものと比べるとあまりにナルシステックだという・・。なるほどこの本ではわたしがしらない哲学者や社会学者が多数書いているが、殆どがいま生起していることとかけ離れた”オレがオレが”の文章だ・・。これなら巻頭の災害にじかには即していない、純粋に文学的な論文のほうが心に残る。
・マリナーズ18連敗を免れた。イチローも5打数4安打だった。ホットした・・・。
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by engekibukuro | 2011-07-30 08:49 | Comments(0)  

7月28日(木)M「昆虫系(改訂版)」新宿SPACE雑遊

作:高木登、演出:寺十吾、鵺的。
 バルブ崩壊のあとに、世間を騒がせた埼玉で起きた保険金殺人事件を基にした芝居だ。事件の元凶の金融業者が経営する場末の売春も兼ねる飲み屋が舞台だ。社会の落伍者が吹き寄せられるように集まってきた吹き溜まり・・・。強欲業者はそれらの男たちから搾り取り、女を使って劇薬を常飲させて高額の保険をかける。いったん閾を越えて、地獄の釜のふたをあけると、人間はとめどなく落ちてゆく・・・・高木はさまざまなその様子を見事なくらい活写する・・。社長が宮島健で店のママが前川麻子、宮島はこの強欲社長のすさまじさを全力で演じて、さながら宮島の1人芝居の感さえして、他の男女の役者も、一般に役者というものはネガテイブな役には全身でのめりこむから、不快感が舞台からもうもうと立ち昇ってくる・・。最後には学生のバイトがこの異常な店に生体反応を起こして嘔吐し、異常な衝動を引き起こし主要者を殺す・・。作者はこの芝居を事件に対する義憤にかられて書いたというが、その義憤を客と共有できたかというと、濃すぎる人間描写のリアリテイが義憤を通り越して呆然とするだけで・・・。作者がいうこの世界をさらに相対化して、普遍化する道が定まっていないようだ・・。しかし、その限りで寺十の演出は要所を効果的に突出させ、テクストの内実を役者と共に全面展開した優れた舞台と充分言える。
▼MEM。東京工芸大学の写大ギャラリーで「安井仲治写真展 1931-1941」を見た。以前この写真家の回顧展を松涛美術館でみて、そのときの迫害されて神戸に流れ着いたユダヤ人を写した「流亡民ユダヤ」という作品をみて感銘を受けた・・・。安井は関西の人。そのユダヤ人の写真も再見できたが、ほかに戦前のメーデーの写真や朝鮮部落の写真(半島婦人)など、その社会的関心の深さと、灯台と乳母車を組み合わせたシュールで純粋なフォトジェニックな写真でみせる高度な技術を兼ね備えた写真家だということがわかり感動した。森山大道などに影響を与えたというのも頷ける。安井は40歳を待たずに早世した・・・。
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by engekibukuro | 2011-07-29 11:06 | Comments(0)  

7月27日(水)MEMO









▼竹橋の国立近代美術館で「パウル・クレー展」をみる。内田洋一さんにチケットを戴いていたのだが、やっとみられた。会期末に近いためかとても混んでいて、コインロッカーは全部使用中でカバンをもってみる。クレーのアトリエの変遷をj軸にした展示だが、音声ガイドを耳にしてゆっくり鑑賞する行列はなかなか進まない。それに小さな絵が多く、展示法もややこしくてみるのが大変だった・・。クレーの個展をはじめて見たのは、大昔鎌倉の県立美術館だった。そのときはすいていたし、クレーの絵を堪能したという記憶がある。それからも何回も見たが・・今回は・・・。終わって所蔵品展示の会場でもクレーの絵があって、こちらのほうがゆっくり見られた。そしてこの美術館にゆくときは必ずみる絵、岸田劉生の「道路と土手と塀(切通の写生)」を見る。国の文化財に指定されている絵。東山魁夷の絵と2点しかない部屋だが、部屋の入り口からその絵の輝きが感じられる。整地もなにもしていないむき出しのどろんこの坂の左側に建設中のモダンな白い塀あがり、右側の上部の土手には真昼の陽光が輝いている、1915年の作。普請中の日本の近代そのものをまるごと捕らえたような絵で、これこそわたしにとってはザ・絵画だ。
・本郷の田奈部という蕎麦屋で小学校(目白小学校)の同級生4人の”ソバを食う会”・・。いつもは秋に集まるのだが、今年は暑気払いでと・・特別集合・・・、おれはもうすぐだが、皆75歳を過ぎた・・。我妻は伊藤忠、安岡は博報堂、野間は商工中金の中枢で働き、高度成長を支えた・・オレは零細出版で細々と・・今は我妻は喉頭がんの手術をして音声がままならない。クラシックマニアの安岡は奥さんをなくされて一人暮らし・・野間はゴルフ三昧の日々、年寄りの生き様は様々でとても一般論は成立しない。それでもも皆今でも酒は強い。穴子の白焼きや鰊の棒煮で冷酒をぐいぐい飲む・・。このトシだと次に会うのもおぼつかない・・段々消えてゆき”そして誰もいなくなった”・・・。
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by engekibukuro | 2011-07-28 10:50 | Comments(0)  

7月26日(火)M「ゆすり」(作・演出:青木豪)

アル☆カンパニー、ザ・スズナリ。
 離婚した妹に身の回りの世話をしてもらっている独身の中年男のもとに、30年前に父が営んでいたアパートの住人が突然訪ねてきた。中年男は大谷亮介、妹は井上加奈子、訪問客は平田満。秋田で薬局をやっているという男とは中年男は年賀状の交換ぐらいしか付き合いが無い・・。男は疎遠なのに、記憶力だけはいいといって30年前の細々して中年男との思い出を喋りまくる。中年男は殆ど覚えていなくて憮然とせざるを得ないが、仕方なく一晩男を泊めることにする。実はこの男、ドラッグストアの進出で薬局がつぶれ、家族も離散、いまは東京でその日暮らしの毎日・・・。追いつめられて、この中年男を事業への投資と称して中年男をゆすることを思いつく・・・。それは30年前に中年男と妹の近親愛、禁断の関係を目撃したことをネタにするゆすりだ。ここから事実と思い込みと記憶の錯綜がドラマを複雑きわまる展開にしてゆく・・・、兄と妹は罪悪感からいもしなかった双子の妹を捏造したり、思い込みがきわまるとそれが事実になってしまうとか、人間の記憶と事実とのあいまいさが舞台をスリリングでミステリアスな迷宮と化してゆく・・・青木の筆力、それに応じる3人の役者の実力が際立っていて、緊張感がみなぎって・・・。ゆすりの攻防は兄妹の結束の力に男は敗北する。ゆりぎのない舞台だったが、この芝居で感動的なのは最後には兄妹の禁断の愛が、結束の力の昂揚によって一つのノーマルな愛の形に昇華した兄妹の姿だ・・・。
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by engekibukuro | 2011-07-27 09:17 | Comments(0)  

7月25日(月)M「RITARDANDO」パルコ劇場

作:中島淳彦、原案・演出・作詞:G2・音楽(演奏)萩野清子。
 50歳をすぎたばかりの音楽雑誌のやりて編集長が、若年性アルツハイマーに罹患する難病もの・・。再婚した妻、再婚に反対して家でした息子。編集長念願の特別後をだすのに熱中している男女の編集部員とライター、これもアルツハイマーの母親の面倒をみている妻の兄・・。この芝居は悲痛な難病を音楽劇仕立てにして無用な悲劇性を剪定して昇華せんとする・・・。主人公を演じるのは吉田鋼太郎、ほかにストレートプレイでは山崎一、市川しんぺー、ミュージカルからは一路真輝、高橋由美子、伊礼彼方、そして、ミュージシャン出身の松下洸平の組み合わせ・・。劇の要で歌う吉田の歌唱力が光り、この舞台を支えた・・・。



▼メモ。弟四十三回湯島句会が神保町の銀漢亭で・・。兼題は昼寝、冷麦、夏芝居。出句数460句。5句提出だが、今回は選ばれず・・・。この句会超結社の句会でレベルが高い上に、句歴20年近いキャリアの俳人が多い・・ここで選ばれると思うなどたかが数ヶ月の分際でおこがましい・・とつくずく反省してぼつぼつ勉強しようと思う・・・。谷岡健彦、堀切克洋君は毎回3-5句は選ばれるアベレージヒッターだ。堀切君の今回の”法王庁に叫ぶこゑあり夏芝居”とぃう句は、すぐアヴィニヨンのことだ、堀切君以外つくれない、誰もしらないだろうと思って選んだら、あたりで”エモリさんいがい選んでくれないですよ”といわれて嬉しがっているんだから世話はない・・・。
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by engekibukuro | 2011-07-26 11:57 | Comments(0)  

7月24日(日)メモ











▼駒村吉重「君は隅田川に消えたのかー藤牧義夫と版画の虚実」(講談社)読了。
現代新版画のことを何も知らなかったが、この本の影の主人公、版画界の重鎮・小野忠重の名前は知っていた。この本は24歳で行方不明になった(自殺して隅田川の底に沈んだという説が有力だった)天才的な版画家藤牧の作品を藤牧の死後小野が不正に私有し、悪用したとの推測を究明した本だ。版画や版木の真贋の複雑さは理解を絶するし、小野が自分の不正を合理化するために藤牧の生涯まで捏造して、藤牧伝説を流布させたということで、著者は藤牧の死因まで小野が係わっていたと確証はできないが、示唆している。徹底的な取材、資料の精査の果てのミステリアスな快著だ。この本には藤牧の版画や著名な「隅田川両岸画喜」が挿入されているが、それをみるだけでも藤牧の画業の素晴らしさが納得できる・・・。
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by engekibukuro | 2011-07-25 09:32 | Comments(0)  

7月23日(土)メモ












・マリナーズ13連敗、オールスター前には5割だったのに急転直下・・。西地区最下位という例年の位置に収まってしまった。イチローの11年連続200本安打の記録も危ない・・・!
・おもろ。Nさん、久しぶりの岸本さん、中川君とフイリピーナの美人の恋人・・・。おもろ煮(豚のしっぽ)で泡盛と岸本さんからオリオンビールが回ってきた・・・。
・駒村吉重「君は隅田川に消えたのかー藤牧義夫と版画の虚実」読み出す。24歳で行方不明になった天才版画家のはなし・・。この人のことをしらなかったから、実に興味深い・・・。
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by engekibukuro | 2011-07-24 09:31 | Comments(0)  

7月22日(金)M  文学座アトリエ公演

「山羊・・・それって・・・もしかして・・・シルビア?」(作:エドワード・オルビー、翻訳:添田園子、演出:鵜山仁)
「動物園物語」や「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」のオルビーは老大家になっても、旺盛な実験精神が健在であることを示した作品を文学座は紹介してくれた。
 主人公マーテイン(今村俊一)は建築家のノーベル賞ともいわれるブリッカー賞を最年少50歳で受賞した・・。これからも大きなプロジェクトを任されていて、妻のステイービー(宮沢亜古)との結婚生活も順調で、1人息子のビリー(采澤靖起)はゲイだが、両親は理解している・・・。そのマーテインがある日、田舎に家を建てる土地の下見にでかけ、小高い山の上から素晴らしい風景に魅入られるのだが、その視野に囲いの中にいた山羊が入り、この山羊と運命的に出会ってしまう。マーテインのこの山羊への愛がとどまるところをしらず深まって、この山羊をシルビアと命名して性愛のたかまりまでに至る・・・。そのことを友人のテレビプロヂューサーに我慢できずに喋ってしまう・・・。友人は大変な”病気”だと心配して、妻のステイビーに手紙でそのことを告げた・・・。芝居は、そのことをしったステイビーとマーテインの壮烈な話しあい・果し合いが主軸で、ビリーも巻き込んでしまって・・。病的な獣姦は主に性的な劣等者・不遇者が行うものだが、マーテインとステイビーは全く正常だし、二人とも今まで浮気したこともない・・。だが、ステイビーにとっては、シルビアの存在は理解を絶し、マ-テインも説得できない・・。この降って湧いたような珍事、人間以外の生き物への性愛への目覚めは、果たして愛の拡大なのか、官能の深化なのか・・。オルビーはえらそうにしている人間たちを、シルビアの絶大な魔力で笑殺せんと意図しているのか・・・。面白い芝居だが、なかなか俳優たちは大変だ・・。、マーテインのシルビアへの愛を客に納得させなければいけないし、鵜山が飽いているような抱腹絶倒の笑劇にすることも・・条理と不条理のあわいのユニークな舞台だった・・・。
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by engekibukuro | 2011-07-23 12:52 | Comments(0)  

7月21日(木)メモ














▼「文学界」8月号で佐藤優「ドストエフスキーの預言」の連載が完結した。神学者佐藤らしく、20世紀の佐藤の師であるチェコの神学者フロマートカや危機神学のカール・バルトへドストエフスキーが多大の影響を与えたことが詳述された著述だった。
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by engekibukuro | 2011-07-22 10:02 | Comments(0)