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4月29日(日)



▼銀座の奥野ビルのサロンドウラーで森泉笙子展「モウヒトツのソラ」を見る。このビルは築80年の蔦がからまった古色蒼然たるビルで、元銀座アパートというところで、タ-キー・水ノ江滝子が住んでいたそうで、アレベーターも手動式・。わたしは始めてだが、銀座では有名なビルらしい。7階建てで、ほとんどの階に画廊が入っている。この6回の画廊の隣の部屋では、震災で捨てられた猫の里親応募の会が開かれていた・・。森泉さんは元日劇ミュージックホールのダンサーで、新宿で有名な文人バー「カヌー」のママだった・・。「カヌー」の常連、埴谷雄高に私淑し、小説も刊行している・。60才から絵を描き初めて、いま78歳だが、今回展示の絵は生動感に満ちた抽象画の連作で、独特な赤が絵の主軸・・。「モウヒトツのソラ」のソラは埴谷雄高の「死霊」にでてくる”別宇宙”のソラ・空と、福島の浜通りの小高にある埴谷島尾(敏雄)記念文学資料館が原発事故のため閉館になってしまった福島のソラへ思いがモチーフ、丁度ご馳走にんった赤ワインの赤さとマッチした、とてもステキな赤だった・・。偶然だが、元ゴールデン街のバー「銀河系」のママ大野和子さん、それに映画評論家の松田政男さんと会えた・・。松田さんは昨年自宅が全焼して、今は川口の老人ホームで暮らしている、いまは試写にも行っていないそうだが、元気そうでよかった・・。それにドキュメント作家の橋本克彦さんにもお会いできた。
・天皇賞、単勝1・2倍の圧倒的一番人気のオルフェーベルが惨惨敗、大荒れになった。異常人気でこれはこないと思ったのだが、とれなかった・・。
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by engekibukuro | 2012-04-30 08:48 | Comments(0)  

4月28日(土)M「家の内臓」(作・演出:前田司郎)

アル☆カンンパニー、ザ・スズナリ。

・平田満と井上加奈子夫妻のカンパニー、アル☆カンンパニーは、青木豪「ゆすり」、蓬莱竜太「罪」、この前田司郎など今がシュンの伸び盛りの劇作家に新作を依頼し、その上演出も同時にやってもらうという、意欲的で新鮮なカンンパニーだ。今回は客演に、橋本和加子、西園泰博、小林美子を呼んだ。小さな内装会社の慰安旅行での温泉宿での午前2時ごろ、コタツとしきっぱなしの蒲団の部屋で女3人、男二人がゴロゴロ寝たり起きたりして、なにやら下らないお喋りをしてる。平田が演じる管理職がべらべら際限なく喋っていて、みなヘキヘキ気分・・。女の一人平田の元妻(井上)、もう一人の若いk女性が二人が作った娘(橋本)で、3人とも同じ会社で働いている・・。後の男女二人は平田の部下・・・。どうでもいいような夜中の会話・お喋りだけの芝居が、そのうち、その会話のなかから普段の別れた家族の内情などが透けてみえてくるという、前田芝居の真骨頂がこの舞台。前田がフライヤーで豪語する{この芝居は傑作です」というのも頷かざるをえない・・。その上このぐらい下らない芝居はないという、魅力的な下らなさが横溢している芝居なのだ・・。
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by engekibukuro | 2012-04-29 08:30 | Comments(0)  

4月27日(金)S「百年の秘密」(作・演出:ケラ・サンドロ)

ナイロン100℃、本多劇場。
 舞台中央に楡の巨木・・。昔狼に襲われた少年をこの楡の木が奇跡的に枝をつかって助けた伝説の樹木だ・・。その少年が大成して銀行家として成功し、その楡の巨木を庭の中央に据えた館を建てた。その銀行家が産んだ息子エース(大倉孝二)と娘テイルダ(犬山イヌ子)、このテイルダが12歳のとき通っていた学校に転校してきたコナ(峯村リエ)と仲良くなり、その友情は二人の80歳に近い歳まで、たいへんな紆余曲折があったが保たれ、一緒に死ぬ!テイルダとかコナだとか、ケラは場所は多分アメリカの外国人の芝居、和製の翻訳劇を書いたのだ。ケラはテネシー・ウイリアムズ、アーサー・ミラー、ソートーン・ワイルダー、ハロルド・ピンターなどの戯曲の翻訳劇を意識したと・・。3時間15分におよぶこの芝居、テイルダとコナの物語は、百年に近い二人の大勢の親族や友人、他人の反目、裏切り、不倫などフクザツきわまりない家族の歴史は、ガルシア・マルケスの「百年の孤独」を思わせる・・。また、大倉が演じる長男エースは、バスケットの優秀な選手で、父親(広川三憲)の自慢の息子で、息子も父親を尊敬していたが、或るときモーテルから女とでてきた姿を目撃し、愛する母親を裏ぎっていることを知り、絶望して盗みの常習犯になってしまう・・。これはアーサー・ミラーの「セールスマンの死」の息子、フットボールの名選手ビフ・ローマンの行状をこの芝居に移し変えたもので、そういう面白さが随所にある・・。ナイロン100℃のアンサンブルと萩原聖人、山西惇などの客演陣がこの多岐にわたる複雑な物語をそれぞれ演じ抜いた。中央の楡の巨木の下手がリビング、上手が庭で室内と室外を縦横にゆききする不自然さがかえって芝居の真実に効果的で、いまや磐石の劇作力をもつに至ったケラの見事な舞台だった。そして舞台中央の没落した一家が最後まで護り続けた永遠の年輪を感じさせる楡の巨木の存在感がずしんと残るのだ。
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by engekibukuro | 2012-04-28 09:52 | Comments(0)  

4月26日(木)M「胸の谷間に蟻」演劇集団円、円ステージ

作:土田英生、演出:内藤裕子。
 下着メーカーのお家騒動・・・。創業者が女癖が悪くて、結婚、離婚、再婚をくりかえして、生まれた子供達は捨てられて・・。ただ一人、最初の相手から生まれた娘だけは大事にされて、その娘が家業を継ぐ・・。業績も進捗し、有名な雑誌にインタビューされて社員も大喜び・・。だが、そのインアtビューの記事を読んだ、捨てられた異母兄弟、次女、三女、長男が、姉だけが隆盛しているのを恨んで、久しぶりにと訪ねてきて、実は会社をあの手この手で混乱させ、自分たちのものにするという魂胆、そのてんやわんやの芝居・・・。土田の芝居は、自分が主宰するMONOでの芝居は、MONOの役者たちの無類の面白さで、土田の本は生きるのだが、他のカンパニーに書いた芝居は、あまり面白かったことはなかったが、さすが円の役者は土田ファンの岩崎の演出とあいまって、現在での上質なエンターテイメントの第一人者の土田の芝居のテイストを存分に感じさせた・・。創業者からいいつかっての社長のお目付け役の頑固老人を演じた山崎健二が芝居の苦味になって面白かった。
▼第五十六回岸田國士戯曲賞授賞式が神楽坂の出版クラブで行われた。今回はノゾエ征爾、藤田貴大、矢内原美邦の3人受賞。これは29年前の野田秀樹、渡辺えり子(当時)、山元清多以来だという。これは今での野田秀樹、岩松了、宮沢章夫の選考委員に新たに松尾スズキ、ケラ、松田正隆、岡田利規が加わったのが原因の一つ・・。これだけアクの強い選者が集まれば、岡田の経過報告にあったような膠着状態に陥るのは当然・・、なんとか3人受賞にこぎつけたらしい・・。ノゾエ、藤田はきちっとしたスーツにネクタイ姿、二人とも受賞の挨拶に家族への感謝があり、藤田はこの日の朝、お母さんに髪を切って貰ったそうだ。今までの授賞式で正装できて、家族への謝辞を言うなどのドメスチックな光景はなかった。時代が変わったのだね・・。矢内原は伯父が矢内原伊作だと、それなら東大総長だった矢内原忠雄の孫か・・、それを来ていた平田オリザさんに聞くと、そうではないらしい、なんでも愛媛に矢内原一族がいてとか、なんだかわからなかった。藤田は平田さんが桜美林で教えた最後の弟子だそうで、これで去年の松井周、その前の柴幸男と、平田リンクで連続3人目、その前の前田司郎を加えたらアゴラ系列で4人。平田さんは直接彼らの集団を指導したりしないが、まあ放牧して勝手にさせておいて、その成果が平田・アゴラ コンツエレンを太らせてゆく・・なかなかのもの・・、北九州芸術劇場の能祖さんと彼がまえに支配人だった青山円形劇場の話をしたり、ケラさん。松井周、「悲劇喜劇」の今村さん、オリザさんたちと歓談・・。ご近所の高橋豊さんと帰る。、、
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by engekibukuro | 2012-04-27 07:15 | Comments(0)  

4月25日(水)M「負傷者16人」新国立劇場

作:エリアム・クライエム、翻訳:常田景子、演出:宮田慶子。
 オランダの首都アムステルダムj・・。パン屋のハンス(益岡徹)は長年の常連の娼婦ソーニャ(あめくみちこ)の家からの帰りに、誰かに殴られて全身血だらけのアラブの青年マフムード(井之上芳雄)を助け、入院させ、自分のパン屋で働かせる・・。ハンスは実はユダヤ人で、ホロコーストで両親を亡くし、このパン屋の先代に救われたのだ。マフムードはパレスチナで生まれ、イスラエル兵に父を殺された・・。そして、イスラエルでバスを爆破して、このアムステルダムに逃れてきたのだ。だから、ハンスがユダヤ人と知ると、激怒するが、ハンスの人間性の前に考え直し、それに店デ働くノラ(東風万智子)が好きになり、子供までできて・・・。パン職人としても一人前になったのだが、ある日パレスチナから兄(粟野史浩)が訪ねてくる・・。あるものが小包で届くという・・。オアレスチナの組織の命令として・・・。それがハンスに露見して、マフムードがハンスたちユダヤ人がナチに虐殺されたのに、こんどはそのユダヤ人がパレスチナ人を逆殺・迫害すると講義・・・。この芝居はナチ・ユダヤ人、ユダヤ人・イスラエルという解決が絶望的な問題を真正面から取り上げ、真正面から突きつけてくるような芝居で、テキストが全面的に押し出されてきて、俳優はそれを忠実に伝えればそれだけで、迫力満点で迫ってくる・・。二人の話は一応落ち着くのだが、マフムードは組織に従う・・自爆テロへ・・・。このラストは切ないといより、暗い気持ちにならざるをえない・・。しかし、こういう芝居もあっていいのだ・・。それにマフムードが従わなかったら、組織やイスラエルのモサドにノラまで狙われてえ巻き困れてしまう・・・。ハンスは一応マフムードの頼みを断ったのだが、ノラと生まれてくる子の面倒は見てくれるだろうという気配をラストに感じさせてくれるのがわずかな救いだ・・。ハンスはソーニャに振られたばかりだし・・・。
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by engekibukuro | 2012-04-26 11:51 | Comments(0)  

4月24日(火)「現在地」(作・演出:岡田利規)チェルフィチュ

KAAT神奈川芸術劇場。

 岡田が普通の芝居を書いたという芝居。いままで役というものが曖昧で俳優が不特定のままテクストを語り、演じてきたが、今回は俳優はきちんと名前がついた役を演じる。女性だけの7人。ある村の山の上で若いカップルが青い光を発する雲をみた。この雲は人類の破滅を示す凶兆といわれていて、、それを信じる人と、信じない人がいて・・。これは震災・原発事故からの状況を模したおので、岡田自身も放射能を逃れるため熊本に引っ越した。そういう破滅と再生の話しを、7人の女性がこもごもしゃべる。舞台は机と椅子だけ、バックの映像に地球が浮かび・・。丸い明滅して色が変わる三本の吊り電灯ランプ・・。孤独で死にたがっていると思われてしkまった女性が背後から絞殺される静かな惨劇があったりするが、普通の芝居といってもきわめて芝居くささを避けた、温度の低い舞台で、この低温の劇的な瞬間をさけている芝居は、むしろ低温で情動を激さない芝居のほうが、人類の破滅とか再生という大きな物語の表現にはフイットするという目論見があるのだろう。2時間ちかくそういう低温芝居をじっと観ていられたのはその証左だろう、ただし、低温は低調と紙一重でお岡田の芝居の変化が興味深い舞台だった。
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by engekibukuro | 2012-04-25 12:22 | Comments(0)  

4月23日(月)



▼「梅山いつき著「アングラ演劇論」(作品社)。この本、じつに面白かった。感服した。長い間、梅山さんとは雑誌「シアターアーツ」で同じ編集委員をあyってきたのに、こんなに書ける人とは!不明を恥じる。早稲田の博士論文が、そのまま浩刊行されたのも頷ける。
・序章:アングラ演劇の文態ー言語活動の展開と新たな劇言語の創出 第1章:贋物の肉体ー唐十郎 連作「ジョン・シルバー」 第Ⅱ章:騙る肉体ー鈴木忠志「劇的なるものをめぐって・Ⅱ」 第Ⅲ章:我慢する身体ー別役実「正午の伝説」 第Ⅳ賞:革命にひきさかれる身体ー演劇センター68/71「翼を燃やす天使たちの舞踏」 終章:叛乱する言葉、偽りの肉体、運動する身本。
 60年代のアングラ劇は私は殆ど観ているつもりだが、この80年生まれの著者の、文献や、聞き書きなどの間接資料だけで書かれた本にまったく違和感がない。間接資料だけで60年代の舞台を彷彿させることができた想像力はたいしたものだ。あの頃は、ただ、ただスゲエ!スゲエ!とよく芝居の意味も考えもしないで観ていたから、この本のようにアングラ劇の構造や意味を、様々な論点から吟味するのはたいへん勉強になる。それは劇団唐ゼミの中野敦之が唐作品を演出した舞台が、唐の芝居を改めて見直すことに貢献しているのに呼応する。特に鈴木忠志の「劇的・Ⅱ」を論じて演技の真贋についての分析が優れていたと思う。別役の「正午の伝説」の天皇へのお詫びとして排便を我慢する傷痍軍人を、これは天皇その人の戯画だと断じたのがすごい・・。ただ、唐十郎の「ジョン・シルバー」論は精緻な視点・分析で面白いが、ややトリビアルで唐演劇全体のイメージからするとバランスを欠いている感じがした。また、「翼を燃やす天使たちの舞踏」は私は真冬の後楽園で観て、一緒に行った仲間が皆風邪を引いてしまったのを思い出すが、この論自体はたいへんよく出来ていると思うが、唐、鈴木、別役と同じ分量で佐藤信の仕事を扱って欲しかった。しかし、アングラ演劇の相貌をこれだけ独自の視点で論じたからこその注文で、なによりこの先展開されるだろうアングラ論へのイキイキした展望を感じさせる視座を作ったことが有意義なのだファ。幅広く参照された文献にも感心したが、なにより文章がいい。章、節の組み立てが読みやすく出来ていて、リーダブルだ。立派な成果で、知っている人だけに嬉しいことだ・・。
・夜は神保町銀漢亭で湯島句会、今回は一句も選ばれなかった。今回の兼題が難しくて、ことば遊びに終始して空疎な句になったから当然でしょう。谷岡健彦さんは相変わらず高得点で選ばれていて、まあ、一月に一回谷岡さんや堀切克洋君に会えるのがなにより・・・。
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by engekibukuro | 2012-04-24 14:58 | Comments(0)  

4月22日(日)M「ホテル・サウダーデ」下北沢シアター711

作:中村まり子l、演出:中村まり子・田村連、パニック・シアターフリンジ公演。
 このホテルのモデルは湘南の逗子海岸沿いに昭和のほぼ65年間実在した「なぎさホテル」。古い洋風建築のリゾートホテル。中村がずうっと馴染んできたホテルだそうで、ほんとうは「なぎさホテル」にしたかったそうだが、同名の「なぎさホテル」という伊集院静の小説が出てしまったで、ポルトガル語で「郷愁」を意味するサウダーデとしたと・・・。伊集院は7年間、このホテルに住んでいたそうだ。この芝居の主人公の女性・夏子(中村まり子)も、小さいときから両親と離れてこのホテルに住んでいて、ホテルの人々と家族同様に暮らしてきた・・。話の中心は、ヴェトナム戦争の頃に、アジア系のアメリカ兵が横須賀から脱走してきて、このホテルにかくまわれ、このホテルで働き出す話。実は女性の両親が脱走援助の活動家だった。この男と夏子との結局は稔らなかった恋の物語・・。そのほか色々エピソードやホテルで働く人々の話があり・・。中村の過ぎ去ったこのホテルへの思いのこもった芝居だった。中村はお父さん(俳優・中村伸郎)にどんどん似て来たね・・。
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by engekibukuro | 2012-04-23 07:18 | Comments(1)  

4月21日(土)M「偏り」テイーファクトリー、座・高円寺

作:ピエル・パオロ・パゾリーニ、翻訳:石川若枝、構成・演出:川村毅、衣裳・美粧:宇野亜喜良。前回の「豚小屋」に続いて、川村が影響を大きく受けたパゾリーニの戯曲の上演。パゾリーニの戯曲は非常に独特で、なかなか芝居の裡に入るのは難しい・・。この芝居も、父と子の物語で、それにソフォークレスのオイデプスの話が挿入される。だから、珍しいパゾリーニの芝居の紹介だと思って鑑賞するのが自然だ・・と思って観る・・。見所は、父を演じた手塚とおるの演技、この父の長大なモノローグを役に入り込んで語るエネルギーと、内容は理解が難しいにしても、語る父の真摯さは痛いほど伝わってくる語り・・、それと舞台両脇の壁を映像を映すスクリーンにしたり、パゾリーニの芸術を伝え感じさせる宇野の美粧、とくにラストシーンの左右の十字架に父と子が縛られて吊られる荘厳さ、それを重厚な音楽を被せる川村の演出で、よくわからないなりに充足感はあったのだ。

・おもろ。久しぶりに豚の耳の酢の物ミミガーで泡盛、今日は中川君だけ・・。、
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by engekibukuro | 2012-04-22 07:28 | Comments(0)  

4月20日(金)M★「椿組・どん底」S★★「自慢の息子」

★原作:マキシム・ゴーリキー、構成・演出:西沢栄治、椿組、ザ・スズナリ。
一昨年の椿組の花園神社の野外劇「天保十二年のシェイクスピア」の構成・演出がとても面白かった西沢の構成・演出・・。黒澤明の「どん底」の日本・江戸時代版「どですかでん」と同じの江戸時代版の芝居・・。なあg木長く生きているから沢山の芝居・映画の「どん底」を観てきた・・。フランスの名監督ジュリアン・デユビビイエの撮ったラストシーンはジャン・ギャバンのペペルとルイ・ジュウベの男爵がどん底の木賃宿から抜け出して青空の道を出すシーンだった。村山知義演出(だったとさ思う)のときの滝沢修のルカの堂々たる偽善者ぶり、”明るい「ドン底」を謳った岸田国士の最後の演出での芥川比呂志のサーテインの役者が首を吊ったときのラストの決め台詞”せっかくの歌をだいkなしにしやがって、バカヤロー”は今でも耳の底に残っている。なにより”よーるでも昼でーも牢屋は暗い・・という「どん底」の主題歌は我々の世代の愛唱歌だった・・。このごろの上演では、この歌は歌われない・・まして時代劇では・・。この舞台も西沢がよく翻案していると思う、ただテンションが一様ではしゃぎすぎ、この芝居はこの最低の木賃宿に住む人間達の個性がそれぞれ描き分けて演じられないと・・それもまずまずまずできているとは思うが、まあ、特殊な濃い「どん底」鑑賞歴をもったの人間の繰り言かな・・。
★★作・演出:松井周、サンプル、こまばアゴラ劇場。一昨年岸田戯曲賞を受賞した作品の満を持した再演・・。実に見事な独創的で美しい(こんな言葉、芝居では使えないのに)舞台だった。登場するのは近親愛の兄妹、母子の近親愛の二組の葛藤が中心的な設定だが、この二組がそういう閉鎖的な惑溺からかろうしてなんとか抜け出し、現実や他者とに向かいあえてという甘美な世界から、むごい現実へという枠組み・・。その過程の見事なステージング、舞台一面のシーツの使い方から、様々な小道具など、杉山至の美術の絢爛たるセノグラフイー、古館寛治、古屋隆太、羽場睦子、野津あおい、奥田洋平、兵藤公美の役者陣の息のあったアンサンブル(遊びぶり)・・一見の価値は絶対ある・・。この公演から雑誌「サンプル」を発刊して、宣伝めくが(ベタ)私がそれに「松井周・サンプル試論」を書いているので、観にいったら是非買ってください・・5月6日まで・・。
・扇田昭彦さんと隣あわせで観た。扇田さんも面白いと・・。帰りに扇田さんからドイツのドイツ座で日本人では初めてのドタマトウルクとして働き、、いまは日本に戻って国際交流基金にいる庭山由佳さんを紹介された。
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by engekibukuro | 2012-04-21 10:39 | Comments(0)