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5月30日(金)M「ナミヤ雑貨店の奇蹟」キャラメルボックス

原作:東野圭吾、脚本・演出:成井豊、サンシャイン劇場。

 久しぶりにキャラメルボックスの芝居を観た・・。これは東野のタイムマシーン・ミステリーを元にした芝居、展開のテンポのよさ、キャラクターの分かりやすい彩り、芝居の起伏の要所でのダンスシーン、様々な障害で希望や野心がくずれてもなんとか人生に折り合いをつけて頑張り、火事場で子どもを助けて碑文が犠牲になる・・最後はハッピーエンドにして、客に癒しを提供する、昔から一貫した成井の芝居づくりは、ハイクラス職人芸で、西川浩幸扮する人生相談の名手、ナミヤ雑貨店の店主への相談者の手紙からら端を発するタイムマシーン・ストーリーを十全に舞台化した.のだった・・。
・受付で”ご無沙汰しております”と声を声をかけられた、プロデューサーの加藤昌志さんだった。久しぶりに観たキャラメルの芝居の様子が変わっているよう・・、開幕まえの加藤さんの面白い挨拶もないし、昔はあまりなかった空席もあって・・、ただ、カ-テンコールで創立メンバーでもある岡田さつきが45歳の誕生日だということで、客も唱和する”ハッピー・バースデイ”の合唱あがあり、バースデイケーキが渡されてと、いっかにもキャラメルボックスらしい余興があった・・。昔から岡田は可愛いらしい女優で、そのいう役柄の引き受け手だったな・・。どこかで成井が、劇団経営の難しさ、役者、スタッフ、それと同数の制作部門の人たちを生活させることのタイヘンさを、中小企業の経営者のように語っていたが、昔から観ていた劇団だけにがんばって欲しい・・。
▲堀切克洋君の音頭とりで神保町銀漢亭で”梅干☆梅若句会”が行われた。アダルトとヤングの俳人が、兼題の”紫陽花・蝸牛”を一句づつ作って競う趣向で、壁に梅干・梅若の毛筆で書いた句を一句づつ並べ梅干は赤、梅若は黒のシールを貼り、最後に伊藤伊那男、松川洋酔、天野小石の審査員が白のシ-ルを貼って点数を競う。わたしはこんな公開競技だと思わなかったので、ヒャー!と思ったが、無論負けたが2句に3点づついただけた・・、素人と俳人を比べるなんてと、一応ひがみ、オレの句は駄句とうより俳句の体をなしていなんじゃないかと自虐的反省もしてみたが、旨い酒と肴で心持よく酔って、席題句はなんなだか酔って作ったので・・、とにかく楽しく過ごせたタフな梅干しジジイではあったのだ・・、大盛会で・・堀切君ありがとう!
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by engekibukuro | 2013-05-31 11:38 | Comments(0)  

5月29日(水)S「道成寺」モルドヴァ・ルーマニア公演

構成・演出:安田雅弘、劇団山の手事情社、森下スタジオ。6月に行うモルドヴァ・ルーマニア公演の公開ゲネプロ。この作品は劇団の代表作だ。国立ウジェーヌ・イヨネスコ劇場(モルドヴァ/キシノウ)ヨーロッパ三代大演劇祭の一つシビウ国際演劇祭、チズナデイオラ要塞教会(ルーマニア/シビウ)、オデオン劇場(ルーマニア/ブカレスト)で上演するが、今日のゲネプロはチズナデイオロ要塞教会での上演を想定している。それは道成寺が和歌山の山頂にあるお寺であることからの試みだ・・。山の手事情者は2009年にシビウ演劇祭で上演したシェイクスピア「タイタス・アンドロニカス」が絶賛され、2010年にはソフォークレス「オイデイプス王」、2011年には近松の「傾城反魂香」を上演したが、そして今年が「道成寺」。さらに安田はルーマニア人の俳優で近松の「女殺し油地獄」を現地で演出、上演している。この国際的評価は、安田の開発した俳優養成のトレーニング方法<山の手メソッド>、それに基づく演技様式<四畳半>の独自の演劇様式による。<四畳半>では身体を直立させず、不安定な姿勢でスローモーションで動き、セリフに連動させて身体を止め、舞台全体のフォーメーションを形作る。この動作とそれにマッチした発声の鍛錬したこのメソッドによって、リアリズムでは表現できない複雑な人間存在を描くことが可能になり、それが斬新な演劇表現として評価されたのだ。このメソッドを駆使して安田は、ギリシャ悲劇もシェイクスピアも日本の古典も恐れ気なく舞台化して、名作や古典の仰々しさや無用な権威を取り払い、現代の内外の客に近すけたのだ・・。この「道成寺」は、女から蛇に変身し男を追い詰める女性の怨念の凄まじさを歴史的に刻印した話だが、舞台の大元は能だが、山の手の「道成寺」はこの伝の最も古い資料である今昔物語、歌舞伎の「日高川入相花王」それに劇作家郡虎彦の「道成寺」「清姫」をコラージュした作品だ。衣裳は男は黒の制服まがいのもの、女はハデハデの洋装のコスモポリタン、間違ってもジャパネスク仕様の気配なしで、それと今回はもともとの安田の持ち味のナンセンステイストが含有されているのが面白かった。山の手の創立は1984年、当時は池田成志や清水宏がいて、安田も俳優もやり、抱腹絶倒のナンセンスコメヂを安田が書いて上演していて、「PART2」などという大傑作は今でもいきいきと思い出せる。様々な実験を繰り返しているが、このナンンセンス風味がこの舞台の隠し味になっていて、デコデコ衣裳の髪を真っ赤に染めた日本語をカタコトで喋る正体不明の女のモノローグはその骨頂・・。
▲マルセル・プルースト「失われた時を求めて」4、-花咲く乙女たちのかげにーをやっと読了。5-ゲルマントのほう1に入る・・。
・神保町の萱へ、焼酎を飲みながら奄美大島の鶏飯を食べる。平凡社の三沢さんに、今度出る別役実「東京放浪記」をいただくことに・・・。
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by engekibukuro | 2013-05-30 10:48 | Comments(0)  

5月28日(火)S「絵本太功記ー尼ケ崎の段ー」

竹本相子大夫{大夫}、鶴澤清キ<難漢字>(三味線)、あうるすぽっと伝統芸能講座、第四回 文楽・素浄瑠璃ワークショップ、あうるすぽっと。

 相子大夫の語る浄瑠璃語りと、鶴澤太棹三味線での「絵本太功記」の大熱演のあと、質問コーナーがあり、”人形がいる舞台での語りと、いない素浄瑠璃の語りはどっちがやりやすい”という質問に、相子大夫は”人形がいるといろいろとなんとかなるけど、”素”は昔のことばで話をイメージさせなければならないから、たいへんだと・・。そのあと、観客とのワークショップ、大夫の朗々、エキサイテイングな声調で背後のスクリーンにでる床本の詞章を語り、それを客が真似る、最初はこわごわで、声も小さかったが、繰り返してゆくうちにだんだん乗ってきて、最後は三味線も入って会場は熱気がこもる・・・、大きな声で無手勝流に謡って(?)いると、これはストレス発散には最適、なんだか元気になってくる・・、得がたい体験でありました!
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by engekibukuro | 2013-05-29 09:05 | Comments(0)  

5月27日M「燃えよ剣ー土方歳三に愛された女、お雪ー」

原作:司馬遼太郎(「燃えよ剣」より)、上演台本・演出:笹部博司、音楽:宮川彬良、ステージング:舘比呂一、企画・製作:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館、三越劇場。

 りゅーとぴあ発”物語の女たち”シリーズで、今回は笹部が全編お雪のモノローグにした台本をtyくり、それを十朱幸代が演じた。そして物語の起伏に沿って盛り上げ、奥深くする音楽を、舞台上で宮川がピアノを弾いて共演する・・、十朱は本を読む朗読と、本を離して演じる場面の間合いが絶妙で、35歳で函館で堂々と命を閉じた新選組の英才・剣豪歳三とお雪の秘められた一瞬の愛の炎上
と別離の物語を淀みなく2時間にわたり演じきった。宮川のピアノの寄り添い方も絶妙だった。


▲第65回湯島句会、兼題の”卯の花”で作ったが一句も選ばれなかった。オカラを調理した惣菜の卯の花で作ったが、それに類した句が他になかったから、どうも見当ちがいだったらしい・・。
第一期の湯島句会は来月で終了する。会の準備や会報作成の事務が、もな仕事を持っている人たちなのでもう無理になった・・ので・・、主宰の伊藤伊那男先生が挨拶で、”30以上の結社の俳人が毎回100人ぐらいが投句する超結社の句会はまことに珍しく、平成俳壇に名を残す、さらにこの句会から俳壇に名をあげて登場する俳人がでてくることを切望する”と、第2期の開催が待たれる・・。
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by engekibukuro | 2013-05-28 09:02 | Comments(0)  

5月26日(日)S「「黄昏のワルツ」江古田 兎亭

ー吹き飛ばれそなダンボール三つー、オフイスコットーネアナザー公演第2弾。
作:大竹野正典、構成・演出:シライケイタ、プロデユーサー:綿貫凛。
 海水浴中の事故により48歳の若さで世を去った関西の劇作家・演出家大竹野の作品に綿貫とシライが惚れ込んで、大竹野の遺した作品を上演、アナザー公演の第一弾は大竹野のの「山の声」だった。この作品、狭い空間の奥の壁ぎわに3人の男(細貝光司、白井圭太、宮島健)が三つのダンボールにうずくまっている。一人(細貝)は競馬狂いで、妻が置手紙をおいて家を出てゆき、一人(白井)は妻と娘がいるが家にいたたまれなくなって、年嵩の男(宮島)は昔はかみさんもいたのだが、3人とも家族や社会からドロップアウトしてしまい、今は工事現場から愛妻弁当を盗んできてなんとか飢えを防ぐ毎日で、臭くて銭湯は入れてくれない・・、あるとき妻と娘がいる男の家を3人がみにいったが、妻と無娘は引っ越していて黙って上がりこんだ男は、今いるその家の男にぶん殴られる・・、3人はその家に火をつける・・むろんできなかった・・。この芝居、”ゴドー”や”別役劇”風の系列の不条理劇の雰囲気もあり、別役芝居風の丁寧語崩しの台詞の応酬で、役者がに演じてホントに楽しそう・・、役者が生き生き演じることを最優先したテキストで、それでこのドロップアウトの日々の逆説的な賛歌になって、ラストは楽隊二人も加わっての賑やかなダンスでおわる・・。
アフタートークで関西の芝居に詳しい演劇評論家の中西理さんと藤原央登さんが関西演劇とその中で大竹野正典の位置や評価などの話を聴く・・、なかなか多面的な作家だったとのこと、それにこの芝居はヒントに面白かったし、ドロップアウトの現実は今は藤原君がいっていたが、一寸のことでドロップする、司会の白井が言っていたが、役者なんかなおさらで・・。良い劇作家を紹介してくれた上演だった・・。
▲ダ-ビー、武豊がキズナで5回目の優勝、完全に復調した、競馬場にユタカ・コールの渦、豊は名騎手でダービーも獲った武邦の息子、2着エピファネイアの騎手福永裕一は名騎手だったが事故でリタイアーした福永洋一の息子、父はダ-ビーだけは獲れなかったが、今回も父の雪辱ならず・・。
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by engekibukuro | 2013-05-27 10:02 | Comments(0)  

5月25日(土)M「厄介払い」(作・演出:水谷龍二)

赤坂レッドシアター。

 渡辺徹と田島令子の二人芝居。弁護士の渡辺が、赤坂のバーのマダムだった田島にたまたまバーで知り合い、渡辺が弁護士としった田島が自分の遺言状を作ってくれるように依頼し、その話のために自分のマンションにつれて来る・・。酔った初老の田島と中年の渡辺のちょっときわだい雰囲気もチラチラして・・、肝心の遺言状の話が田島のいろんな思わせぶりな振る舞いで進まなくて・・、田島の財産が10億、そして末期の乳がんで・・・、久しぶりの芝居作りの名手水谷の芝居で楽しみにしていたが、どうもいあまひとつ練れていない感じが否めなくて期待がしぼんでしまった・・。
▲おもろ。カップル、ふたりは新しい歌舞伎座にいって玉三郎を観てきて大感激したと・・。中川は今日は京都へ、骨董市とお寺詣り・・。
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by engekibukuro | 2013-05-26 08:55 | Comments(0)  

5月24日(金)S「獣の柱ーまとめ*図書館的人生(下)」

作・演出:前川知大、イキウメ、シアタートラム
 この芝居は、2009年に上演された「図書館的人生Vol2盾と矛」の短編4本のうちの「瞬きさせない宇宙の『幸福』」を膨らませたSF年代記だ。2008年ー12年の出来事と2096年に起こった事態とが錯綜して展開する。発端は四国の山の中に隕石の破片が落ちてきた。それを天文マニアらが拾いに行くが、山中で宇宙人と思われる男に出会う。その宇宙人が仕掛けたのか、隕石を見続けていると恍惚としてその場で固めてしまい、マニアの一人は眺め続けて消耗して死んでしまう。予測できない宇宙人の地球への策略か・・。この男は下界ではラッパ屋と自称するが、聖書の7本のラッパを吹く天使とも関係が・・、とにかくこの男の暗躍か、隕石操作にのよって東京渋谷の交差点で大惨事が起こり多数の死者がでるが、その場にいた人間はみな上を見上げて恍惚として笑っている・・、さて、2096年には日本の都市に可視か不可視か曖昧な直径30m、高さ300mの柱が降って来たと・・、人々はこの柱を”御柱様”と崇め参拝し、ここでも一瞬恍惚とする・・、隕石と御柱、この人々を翻弄する二つの支配力は物語の仕掛け以上のメタファーをはたして包含しているのか・・、隕石がアラニュウムのような鉱石で、御柱がどうも宇宙からではなく、地上から立ち上げたもののようで、原発に類するもので、もともと人間のまともな暮らしには絶対利用してはいけないものに手を染めて、地獄の多幸感を注入されて破滅してゆく世界の謂いなのか・・。前川のストリーテリングの上手さとキャラクターの粒立ちを、池田成志が客演するイキウメ演技陣が前川テイストを体現したし、その緊密なアンサンブルが多元的な観劇に導いてゆく・・、国家の大惨事にしてはあまりにドメステイックで、小さな町の出来事としてはあまりにパブリックな複雑な感触をのこす芝居だった・・。
▲竹橋の東京国立近代美術館で「フランシス・ベーコン展」を見た。”フランシス・ベーコンの作品は、モダン・アートのどんな”流派”にも属さない、にもかかわらず、いや、だからこそ、ジャンルの垣根を越え、哲学者、文学者、写真家、映画監督たちを、いまも虜にしつづける。実生活でも上階級からチンピラまで等しく魅了するオーラを放っているカリスマの、日本での30年ぶりの大展覧会”(芸術新潮3月号)だ。30年前は日本ではマイナーだったが、今回はびっくりするほど混んでいて、茶髪のセーラー服の女子高生と並んでみるような具合で、30年前にこの美術館で見たのとは大違い・・、今回はベーコンの絵にインスパイアーされた土方巽とウイリアム・フォーサイスのダンスの映像の特別公開があった。土方の舞踏がとてもセクシュアルというか色っぽいのに驚く・・、パリの回顧展には初日に大統領が来館し、会場に儀仗兵が立つくらいの画家であると同時に、街で遊び狂うホモの遊び人だというものすごい人だから、我もわれもと自分の解釈をするが、まあオレ流にみて楽しむんしかない・・、ベーコンの愛読書はプルーストの「失われた時・・」だそうで、バックのなかにいま俳っている・・。
▲東京新聞に日本映画大学が教授らに対し、「学内で一切の政治活動を行わない」との誓約書への署名を求めていて、教授昇格予定の非常勤講師の演劇評論家の鴻英良さんが「芸術と政治は歴史的に極めて密接な関係があり、芸術表現を講義するのに政治的表現は避けられない」と署名を拒否し、佐藤忠男校長に公開質問状を提出していると、報道している。あのたたき上げの民衆に寄り添ってきた映画評論家の佐藤の大学がと驚いた・・、いかなることにも自分の筋を通す鴻さんにかげながら応援したい気持ちだ・・。
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by engekibukuro | 2013-05-25 11:29 | Comments(0)  

5月22日(水)M「風撃ち」(作:サジキドウジ、演出:東憲司)

美術:塵芥、劇団桟敷童子、すみだパークスタジオ。

 東憲司は昨年数々の演劇賞を受賞し、東主宰の劇団桟敷童子の評価も上がってホンモノの人気劇団になってきた・・、東は他のカンパニーへも脚本、演出での仕事も多いが、この劇団の本拠地すみだパークスタジオでの思いっきり舞台を飾る芝居が真骨頂だ・・。
 この芝居は、明治初期、国が日本人の戸籍を整備して国家を確立しつつあったとき、絶海の孤島に例えば山野の奥で隠れて暮らすサンカのような戸籍をもたない非定住民カリドが住んでいた。このカリドにはヤマトの天災飢饉・普請工事・厄払いのため神に捧げる人身御供のための童達を育てる風習があった・・。童達は、自分がヒトミ(人身)になって、そのあと虹の上に登り、おいしいおいしい飴をなめる自分の運命を夢見るように信じていた。この孤島にヤマトから、人口調査をして戸籍をつくりヤマトの正しい住民にするため、日清戦争に参戦した戦友3人が島に派遣される・・、この島で500年生きてきたカリドの風習や掟などに3人は迷宮に入ったように翻弄され消耗してゆく・・、東の主軸の伝奇的なロマンと底辺の人々の暮らしを結ぶ劇世界は、ここでは伝奇的ファンタジーの世界がおどろおどろしく展開して、島の神秘に客を導入してゆく・・。ある日、天然痘の死者の骨をのせた怪しい船が漂着して・・。なにより凄いのは、このスタジオでの毎回のことではあるが、塵芥の美術、演技空間があるのかと思うほど舞台は丸太材で覆われて、この丸太材の林立のレイアウトの隙間からどう人物達が出没するか、そのスペクタクルがこの芝居の骨頂だった・。芝居の内容の東を美術の塵芥が凌駕すると錯覚させるような、インスタレーション、一点の見事なアート作品だった。
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by engekibukuro | 2013-05-23 08:13 | Comments(0)  

5月21日(火)M「リア王」座・高円寺レパートリー7

原作:W・シェイクスピア、翻訳:小田島雄志、構成・演出:佐藤信、構成協力:生田萬、座・高円寺。
 座・高円寺の上演を重ねて練り上げてゆくレパートリーにこの「リア王」が加わった。リアを演じるのはなんと女優渡辺美佐子、渡辺はこの座・高円寺で70回も公演を重ねた、井上ひさし作の一人芝居「化粧」を打ち上げた。その渡辺のリア王に、男:植本潤、道化:田中壮太郎が共演する3人芝居に仕立てた舞台だ・・。1時間25分の芝居だが、これは単なるダイジェスト版ではない。冒頭のリアの王を引退するにあたっての3人娘への領地分配の名場面は、花組芝居の名女形植本が、ゴリネル、リーガン、コーデイリアを声を使い分けて演じて芝居の導入部を飾るが、シェイクスピアの4大代悲劇の一つを3人に絞ったコンセプトは少々掴みにくいが、渡辺のリアはそれを補ってあまりある素晴らしいものだった・・。抗いようのない老いに追いつめられて狂気のうちに荒野を彷徨うリア、唯一道化が慰めの鏡になっているが、血を分けた娘二人に裏切られ、酷薄な扱いをうけて自分のかっての傲慢不遜がなす術もなく崩れ去ってゆく日々・・、現在80歳の渡辺が要所の長台詞を客の旨に刻みつけてゆく演技はまったく老いを感じさせない・・、老いたリアを演じて老いを感じさせない、老ける必要もない歳でのこの演技は微妙に面白くねじれていて、絶対矛盾の自己統一(?)みたいで新鮮だった・・、ラストのブランコを漕いでいる姿はかわいらしいくらい・・、渡辺は今年で女優生活60年だそうだが、舞台、映画で数々観て来たが、この芝居を観て渡辺の最初に注目を集めた舞台だった田中千夫作・演出の「マリアの首」初演のヒロインの演技での感動を思い出した。上演を重ねて熟してゆくのが楽しみな舞台だった・・。
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by engekibukuro | 2013-05-22 09:38 | Comments(0)  

5月20日(月)












▲マルセル・プルースト「失われた時を求めて」4・花咲く乙女たちのかげにⅡ(吉川一義訳、岩波文庫)を読んでいるが、3・花咲く乙女たちのかげにⅠが難所でたいがい挫折すというが、Ⅱもけっこうタイヘン、避暑地バルベックでののブルジョワや貴族たちの社交生活が描かれ、それについての若い主人公の考察が、章分けもなしに延々と続く・・・。
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by engekibukuro | 2013-05-21 06:35 | Comments(0)