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10月30日(木)S「沈黙」(作:石原燃、演出:小笠原響)

Pカンパjニー、シアターグリーンBOX in BOX THEATER
 主に別役実作品を上演してきたPカンパニーが、死刑という大問題を取り上げるシリーズ、”シリーズ罪と罰 CASE1”を上演した。2件尾の強盗殺人を犯して死刑になった地方の酒場のホステスの物語。非常に意欲的な試みで、俳優陣も存分に演じていて見応えがあった。とくに、このヒステスに騙され自殺に追い込まれた婿の母親を演じた水野ゆふ、久しぶりの舞台だったが、鬼気迫る演技で非常に印象的だった。ただ、このホステス、酒場の女や客たちがこのごもこのホステスのことを語るが、いまひとつイメージが不鮮明で、その死刑までの裁判の経過、模様も良くわからないので、死刑ということをきちっと問題にする演劇的立脚点が立ち上がっていないという感じを拭えなかった。ただ、ドロップアウトした人間たちが集まる酒場の気のめいるような暗さが、いまの世の中の暗さを感じさせて暗然とした・・。

★ワールドシリーズ、ロイヤルズ今一歩で負けた。ドジャーズのバムガーナーという素晴らしいピッチャーに手も足も出なかった・・。しかし、ワイルドカードから、ここまでよく頑張ったし、青木も大活躍だった!なにより決定戦のゲームそのものがベースボールの面白さの精髄でスリル満点の興奮のるつぼの連続だった。今日でメジャーは終わった。次は来年の四月からだ・・・。
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by engekibukuro | 2014-10-31 09:59 | Comments(0)  

10月29日(水)

 夏目漱石「門」読了。
  ・終わりの場面・・・。
 「小康はかくして事を好まない夫婦の上に落ちた。ある日曜の午(ひる)宗助は久し振りに、四日目の垢を流すために横町の銭湯に行ったら、五十ばかりの頭を剃った男と、三十代の商人(あきんど)らしい男が、ようやく春らしくなったと言って、時候の挨拶を取り換わしていた。若い方が、今朝始めて鶯の鳴き声を聞いたと話すと、坊さんの方が、私は二三日前にも一度聞いたことがあると答えていた。
 「まだ泣きはじめだから下手だね」
 「ええ、まだ充分に舌が回りません」
 宗助は家に帰ってお米にこの鶯の問答を繰り返して聞かせた。お米は障子の硝子に映る麗らかな日影をすかして見て、
 「本当にありがたいわね。ようやく春になって」と言って、晴れ晴れしい眉を張った。宗助は縁に出て長く延びた爪を伐剪りながら、
 「うん、しかしまたじき冬になるよ」と答えて、下を向いたまま鋏を動かしていた。」

・宗助とお米という子供のない夫婦の、ひっそりした暮らしが静かに胸を打つ・・。もうすぐこちらも冬だし・・・。

★ロイヤルズ、カンサスシテイのホームでドジャースに10対0で大勝・・。明日はいよいよ決定戦だ!
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by engekibukuro | 2014-10-30 08:38 | Comments(0)  

10月28日(火)M-近未来能「天鼓}」

作:青木豪、演出:高橋正徳、文学座、紀伊国屋サザンシアター

 この作品は能の「天鼓」に基づく・・。中国の後漢時代、空から降ってきた<鼓>が胎内に宿るという夢をみて授かった、王伯と王母夫妻の子供の名前が<天鼓>・・。天鼓の発する音は人々を感動させ、噂を伝え聞いた天子はその鼓を献上するように命ずるが、天鼓はそれを拒絶、逃走後に捕えられ鼓を召し上げられ呂水という川に沈められてしまう。奪い取った鼓は誰が打っても音鳴らさず、天子は天鼓の父・王伯を呼び出す。子を失った悲しみを胸に決死の覚悟で打った父の鼓を美しい音を響かせ、その音色に天子は涙をながす・・。
 この原l曲を、青木は「水の国」という架空の国の物語にして、<天鼓>は、<テンコ>という奇病をもたら花の物語に変貌させ、鼓と花が錯綜し、この二つを権力が操作して人々を迷走させてゆくスリリングな芝居に仕立てた・・。いろいろなキャラクターの人物が出てくるが、この芝居、坂口義貞、田村勝彦、寺田路惠の文学座のベテランの演技をたっぷり楽しめるのがなによりりだった。それを盛り立てる若い陣営の演技も確かで、文学座の演技陣の水準の高さを改めて実感させた舞台だった。
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by engekibukuro | 2014-10-29 07:59 | Comments(0)  

10月27日(月)















★ワールドシリーズ、ロイヤルズ、ドジャースに王手をかけられた。19日のカンサスシテイのホーム球場へ戻る。ホ^ムで青木も出場して、ひっくり返せ!
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by engekibukuro | 2014-10-28 07:17 | Comments(0)  

10月27日(月)















・ワールドシリーズ、ロイヤルズ、ドジャースに王手をかけられた。29日、カンサスシテイのホーム球場でなんとか、ひっくり返せ!
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by engekibukuro | 2014-10-28 07:12 | Comments(0)  

10月26日(日)★Mー別役実★★Sー唐十郎

★「背骨パキパキ『回転木馬』」演出:ペーター・ゲスナー、名取事務所、俳優座劇場
 パーキンソン氏病で入院中の別役139目の作品、これは戯曲モルナール・フェレンツ作「回転木馬」を下敷きにしたという作品。ブタペストの街角で回転木馬の呼び込みをしているヤクザ者の青年リリオムが、生まれてくる子供のために悪事を働いて追いつめられて死に、16年後、一日だけの約束で地上に戻ることを許される。だが、恋人も成人した娘も全く彼に気づかないまま、あの世へ戻らざるをえないという話。別役の芝居では初めての役名が付く。別役版リリオムに吉野悠我が扮し、天井から下がっているロープを握り、木馬の幻影を操作して、もう死んでいるのに未練たらしいと新井純の演じる妻ユリに往生するのを急き立てられている。三谷昇の神さまも出没し、舞台袖では橋本千佳子が時に応じて別役の好きな歌、”カニの床屋”などの唱歌や流行歌を歌う・・・。芝居はアラカルトで、T・ウイリアムスの「ガラスの動物園」のローラと「欲望という名の電車」のブアrンチを、塑像と彫像の区別として、ロダンとジャコメッテイを例にして考察する・・。ローラとジャコメッテテイは永遠の像、ブランチトロダンは今日的と峻別する議論が面白くて、そうかブランチよりローラの方が像がきちんとして残るなと・・。それに進んで人質になる女の話,これは別役作品メイン分野のナンセンスコメデイ・・・。なんとも悠々自適なヘンテコな自由自在な新境地をうかがわせる作品で、まだまだ新作を楽しみにできるなと、この人しかできなといと思わせるはまり役の吉野のリリオムを観ながら思ったことだった。
★★「紙芝居の絵の町で」演出:唐十郎+久保井研、雑司ヶ谷・鬼子母神境内
 ヘルパー派遣会社ネンネコ社の代表味夜(みや)(稲荷卓央)、コンタクト<アキュイピー・愛目(あいもく)>のセールスマン牧村真吾(久保井研)、駅前ホカホカ弁当屋の女店員(藤井由紀)などがいり乱れての唐特有の群像劇で、今は老残の昭和23年をピークにした紙芝居の作画の名人情夜涙子(辻孝彦)を利用したり、世話をあいたりが、一応の話の中心で、話がどんどん膨らんで話の顛末など度外視したうねりが渦をまいて舞台を熱く熱くしてゆくのだが、なにより、情夜涙子を演じる辻の女装風の姿の悲しげな可愛らしさを観ていると、紙芝居全盛期に育った私にはなんともいえない愛惜の情が湧いてくる。この芝居が、唐がよく当時を踏査して、映画の絵看板の話をふくめて、その頃の子供の心を育てたサブカルチャーの物語を描き、人物を押しだした芝居にしたことに感動するのだ。稲荷、久保井、辻、藤井、赤松のベテランと若い役者群のアンサンブルがすばらしい。いまや戦後演劇の公共文化財ともいうべき唐の芝居を、守り抜き舞台を重ねる病気の唐の留守を立派に守っている唐組のピュアな情熱に改めて意を強くして感動した舞台だった。
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by engekibukuro | 2014-10-27 08:26 | Comments(0)  

10月25日(土)M:首藤康之によるダンスシリーズ第3弾


「DEDICATED 2014 OTHERS」 神奈川芸術劇場 KAAT
 首藤の今回のステージは、ダンスと演劇の境界を越境する二つの試み。首藤は今回のテーマは”OTHERS(他者)だという。
★「ジキル&ハイド」(R・L・ステーブンソン)構成・演出:小野寺修二。首藤は”「ジキル&ハイド」は鏡がモチーフ。人には色々な側面があり、見る位置によってまったく違ったりします。多重人格云々でなく、鏡で自分を見ることによって他者を感じ、分裂してゆくイメージです。”と・・。大きな鏡のオブジェと戯れ、格闘して自分と他者との葛藤のさまざまなイメージが展開され、扉を叩く大音響に促され、衣服を着替え、昼のジキルと夜のハイドを演劇的に確定して、ダンスとの境界を消滅させてゆく・・・。
★★「出口なし」(原作:J・P・サルトル)構成・演出:白井晃。これは首藤のダンスのパートナー中村恩恵と白井の要望によって女優のりょうが出演。三人は白井の書い台本の台詞をしゃべる。首藤も中村も、台詞を巧みにこなし、りょう首藤、中村のダンスにきちんと寄り添う・・。舞台のドアの開かない部屋は地獄だと語られる。首藤は兵役拒否で銃殺され、中村は肺炎で死に、りょうはガス自殺、この地獄での三人の葛藤は、地上の現実のサルトルの定義”他者は地獄だ”のメタファーだろう・・・。最後にドアが開くが・・。
 首藤は、古巣の東京バレエ団を04年に退団した。それから10年、様々な舞台の試みを敢行して、あっという間の10年だったそうだ・・。今回も見応え充分のステージだった。

・おもろ。横浜からの帰りで遅くなり中川君と入れ違い、カップルも遅く来て、オレが見知らぬ中年女性に街でカラオケに誘われた話でもりあがる(?)・・・。
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by engekibukuro | 2014-10-26 10:32 | Comments(0)  

10月24日(金)★M「奴婢訓」★★S「半神」

★作:寺山修司、演出:多田淳之介、富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ マルチホール
 観客参加型の演劇とは知らなかった・・。客に番号をいわせ、起立させて舞台に上らせる・・。多田は”観客を困らせたいわけではないんですけど、揺さぶりをかけないと、ボンヤリされちゃうので、お客さんの中にはそういうおのを嫌がる人もいるでしょうけど、演出家としては嫌がる人がいても成立するように考えています”と言っている。番号もいわず、起立もしないでいると、非協力者として注目され孤立する。嫌がる人への配慮などみじんもない。仕方がなく動いたが、こういう演出家の独善と自己満足のために客いじりするのはいかがなものか。だいたい客をぼんやりさせるのは、芝居に魅力がないからで、魅力があれば言われなくても参加するだろう。昔、渋谷公会堂の天井桟敷の「邪宗門」の公演で、寺山は観客を敵対視する上演をしたが、その場に居合わせて、ものすごい演劇的興奮に満ち満ちていた・・。多田の芝居は、初期から観ているし、その才気は並々ならぬもので、アゴラでの「東京ノート」など面白かったし、韓国で有名な賞を受賞したりもしているし、今回の「奴婢訓」も美術が島次郎、音楽が大谷能生で、期待して行ったのに、年寄りの過剰反応かもしれないが残念だった。
★★東京芸術劇場×明洞芸術劇場 国際共同制作、原作 脚本:萩尾望都/脚本 演出:野田秀樹、東京芸術劇場
 野田は韓国の俳優の身体能力の高さ、芯の強さ、その芯とは、「照れることなく、がむしゃら」であることだというが、その特性が十分に生きたすばらしい舞台だった。そのリズムのよい、躍動的な舞台は、野田演劇の魅了でもあるのだが、一種の晦渋さをとりはらって、とても見晴らしの良い舞台になっていて、全員のアンサンブルの統一感が芝居を前へ前へという前進力のダイナミズムが素晴らしいのだ。それが頂点に至ると、体が離れられない双生児のマリアとシュラの孤独と絶望が、これは野田の芝居の総じてのライトモチーフでもある孤独と絶望が演劇だから可能な美しさで浮かび上がってきたのだった・・。
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by engekibukuro | 2014-10-25 10:59 | Comments(0)  

10月23日(木)S「しあわせ日和」鴎座、テルプシコール

★竹屋啓子ーサミュエル・ベケット+ヨハネス・ブラームス+田村義明(助演)+佐藤信(演出・美術)
 昨年初演の鴎座主宰佐藤信の極私的演劇第一宣言「しあわせ日和」の再演だ。まず、・極私的演劇「再」宣言十項を掲げておこう。1・演劇は演劇とはなにかを問う行為ではない。2・演劇は世界を問う。3・命題はない。4・解答もない。5・あらかじめ時空が限定され、予定された行為だけがそこにある。6・厳密に言えば、行為は問いそのものではない。7・時空に不可欠な生身の体、その存在こそが問の様式と呼ばれるにふさわしい。8・あるいはまた、存在に対峙する不在の他者の失われた言葉が。9・両者がかわす視線の親密な往還。10・極私的演劇は明日には跡形もなく消滅する気まぐれな冗談のようにこにありたい。
 劇作家・演出家の佐藤はアングラ劇団黒テントを本拠にしながらも、ほかにも多様な大小の劇団、劇場で演出し、演劇のみならずオペラ演出にも定評があり。さらに劇場建設などのハード面、その劇場での芸術j監督などを務めて、いまは座・高円寺の芸術監督である。その多彩ないわば極他的な活動の極めに、極私的でしかあり様なかった舞台表現者の苦闘の痕跡が著しいテルプシコールで極私的演劇を上演するというちょっと贅沢ともいえる舞台を観ることになる・・。「しあわせ日和」はダンサーの妻の竹屋との共同創造作品で、穴に埋まるウイニーの言葉をしゃべらない上半身だけのパフォーマンス。言葉のない上半身だけの動き、とくに表情の変化の訴求力、それに傍らのカバンからだす、歯ブラシなどのさまざまな日常用品、それにピストル、それを穴の横に並べてゆく・・。穴のある場所のそばに夫ウイリーはいるのだが、穴に近ずくのは至難で・・。ベケットの台詞を欠如されたこのパフォーマンスは、不条理劇の苦渋が排除されて、きわめてテキストの構造が明快になったと思わせる。夫ウイリーはウイニーにとって、カバンからだし愛惜する歯ブラシなどの日常用品になりえない・・。いずれにせよ、終始流れるブラームスの音楽とともに独創的な忘れがたい試みだ。第二宣言「鏡像」の「森の直前の夜」は10月30-11月2日。
 ・夏目漱石の未読だった「それから」を読んだ。面白かった。作中、長井大助が、何回も通う平岡の家への道筋、江戸川橋から大曲、伝通院への道は、わたしも通った道で無性に懐かしい。
 ・ワールドシリーズ、ロイヤルズ2戦目でドジャーズに勝てた。まだ大丈夫だ!
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by engekibukuro | 2014-10-24 10:30 | Comments(0)  

10月22日(水)M「山崎方代の歌物語」劇団黒テント

演出・台本:坂口瑞穂、台本協力:内沢雅彦・服部吉次、音楽:古賀義弥、タイニーアリス
 山元清多、斉藤晴彦の黒テントを支えてきた人が亡くなり、牛込の常設劇場もなくした黒テントが、2年9カ月ぶりの本公演ができて、劇団創立以来のファンにとっては嬉しいかぎりで、舞台も期待に違わぬものだった。山崎放代は俳句でいえば、山頭火や尾崎放哉のような短歌の奇人で知られている。この方代の生涯を黒テントならではの”歌物語”に仕立てた・・・。ファンにとっては、開幕して、服部吉次がクラリネットを吹き、古賀作曲の唄を全員で歌うシーンだけでも、もう黒テントの舞台にすっぽり参入している愉悦を感じるのだ。
 山梨の農家に生まれ、両親の農作業を手伝いながら短歌に没頭し、昭和16年に兵隊にとられ、チモール島の戦闘で右眼を失明、左眼も視力が乏しくなる。戦後も靴直しなど職を転々とするが、しだいに方代の放浪短歌のファンがふえてくる・・。田沢拓也著「無用の達人 山崎方代」を基にした台本だが、方代を<白い背広の放代><軍服の放代><青エプロンの放代><ギターと病院の方代>とそれぞれの時代の方代を描き分け、その時々での方代と交流があった女性とのエピソードがつづられてゆく・・。この方代の生涯を歌物語で展開してゆく方法そのものが、黒テントの伝統スタイルだし、そのスタイルがもっているテイストが、創立いらいのメンバーの服部や桐谷夏子と、今年入団したばかりの新人との一致したアンサンブルできちんと維持されていて、アンサンブルの魅力も黒テントならではのものだった。方代の短歌を四首を・・。
   ・人間はかくのごとくにかなしくてあとふりむけば物落ちている
   ・汚れたるヴィヨンの詩集をふところに夜の放浪の群れに入りゆく
   ・ふるさとを捜しているとトンネルの穴の向こうにちゃんとあり
   ・茶碗の底に梅干しの種二つ並びおるああこれが愛なのだ
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by engekibukuro | 2014-10-23 08:29 | Comments(1)