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9月29日(金)M「オーランドー」KAAT 神奈川芸術劇場

演出:白井晃、原作:ヴァージニア・ウルフ、脚色・脚本:サラ・ルール、翻訳:小田島恒志・小田島則子
 「第一部」十六世紀、エリザベス一世統治下のイングランド。何世紀も続く貴族の家系に生まれたオーランド-。16歳の彼は、目に映るものすべてに胸をときめかした。-壮大な詩を書かこう。この樫の木の詩を書こう。美貌に恵まれた彼は、女王をも虜にし、広大な領地と壮大な邸宅を賜る。成長するにつれ、その美しさはますます輝き、ロンドン中の貴婦人が彼に恋い焦がれた。成人したオ-ランドーは、女王との生活にも飽き、いいよる女性にも愛想を尽かした。・・十七世紀、ロンドンを大寒波が襲う。寒波とともに現れたのは、ロシアのミステリアスな姫君サーシャ・・・・。恋に陥ったオ-ランドーを裏切ってサーシャはロシアに帰る。傷心の彼はトルコ太子として、コンスタンノーブルへ。ところがある朝、眠った切り目を覚まさない。7日目の朝、目覚めたオーランドーは女性になっていた!「第二部」十八世紀、オーランドーは女性としてイングランドに戻る。そして彼女は運命の人マークヂュークに出逢う。そして2秒で恋に落ち、数分後に婚約した。そして時はめぐり二十世紀・・。時代は大きく変わった。36歳のオーランドーは、見知らぬ光景に不安を抱く。-そうだ詩を書こう。三百年近くも綴ってきた「樫の木の詩」のために、彼女はペンをとり考えた。”人生ってなんだろう?以上、壮大で荒唐無稽のようにも思えるが、このオーランド-を演じた多部未華子が、男女両性を演じて素晴らしいのだ。女王は久しぶりに舞台を観る大日向文生。白井の演出も、過剰なところが全くない、見事な舞台創りで、白井の演出では最高の舞台だろう。そしてこの難役を自然に演じきった多部未華子も最上の女優だ。

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by engekibukuro | 2017-09-30 10:22 | Comments(0)  

9月27日(木)

堀川恵子「戦禍に生きた演劇人たち 演出家・八田元夫と「桜隊」の彼岸」読了。よくここまで調べて、主に早稲田大学の演劇博物館に収納されていた資料だが、書いたと本当に感心した。それと八田先生(この前書いたが、私にとっての恩師)がこれだけ膨大な手記を残したこと自体驚きだった。これによって、一番印象に残ったのが、八田先生と名優丸山定男、劇作家三好十郎の結びつき。桜隊の最後の芝居が、三好十郎の「獅子」、この芝居の広島公演で、主役の丸山が体調を悪くして、八田先生が、丸山の代わりの役者を探しに東京に戻っていた間に、桜隊は原爆で被災し、八田先生が広島に戻った時は、まだ生きていたが、やがて息を引き取ったのだ。ほかの隊員もほとんど同じようにして亡くなった。それと、この本を読んで、改めて感じたのが、戦前の公安当局の新劇への執拗な弾圧、それは演劇というものの社会的影響力を逆に証明ししていて、それは改めて演劇を見直すことになる。今年一番の演劇書だ。堀川恵子という人を知らなかったが、ノンフイクション作品を書くジャーナリストで「原爆供養塔ー忘れられた遺骨の70年」(文芸藝春秋)で第47回大宅壮一賞と第15回早稲田ジャーナリズム賞を受賞した人だと不明にも初めて知った。

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by engekibukuro | 2017-09-29 06:59 | Comments(0)  

9月27日(水)M「エフェメラル・エレメンツ」TFACTORY

作・演出:川村毅、吉祥寺シアター
人間とロボットの共存の芝居だ。川村は、現在の日本のザワザワした感じにどう向き合っていけばいいのかというモチーフでこの芝居を書いたという。”ロボットという存在への不安は、人間自身の人間への不信に他なりません。私は楽天的までにロボットとの共生を信じますが、幸福な共生はすべて人間にかかっています。絶望ばかりしていれても諦めていてばかりでもいられないという思いを込めて、劇場におりいます。”
とパンフに書いている。この芝居を観て、現在ロボットの存在が、原発の事故の処理に必須なものだということはわかるが、それ以外にも人間の生活にこれほどまでに浸透しているのかと、自分の不明を思い、驚いた。短いシーンの連鎖だが、その連鎖そのものがロボットの存在感を深めてゆく芝居で、時代の新しい局面を示していたのだ。

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by engekibukuro | 2017-09-28 09:42 | Comments(0)  

9月26日(火)

堀川恵子「戦禍に生きた演劇人たちー演出か八田元夫と「桜隊」の人たち」が講談社からでた。このような本が今出たのはまことに珍しいくびっくりした。タイトルにある八田元夫先生は、私の子役時代の恩師だ。私が属していたのは東京少年劇団という児童劇団だった。むろん戦後の劇団だが、この劇団は、戦前の新劇・プロレタリア演劇のころ結成された子供のための劇団「東京少年劇団」が、当時の権力に弾圧され潰された。その劇団を戦後再結成されて八田先生が演出されたのだ。私は演出家村山知義の息子村山亜土が書いた「コックの王様」という芝居にボーイの役で出て、小学生だったが学校を休んで学校周りの旅公演に出た。なかなかよく調べて書いてあって、まだ途中だが、わくわくして読んでいる。
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by engekibukuro | 2017-09-27 10:01 | Comments(0)  

9月25日(月)俳句を作る演劇人の会 神保町・銀漢亭

今月の兼題は、「墓参」「枝豆」

私の句は”墓参寄り戻りため息の出る酒席”伊藤真紀さんに、”ぷるんぷるん枝豆踊る口の中”を谷岡健彦さんに、”枝豆やそのチャーミングなつまらなさ”を田岡美也子さんに採っていただいた。そして、今月の秀句は谷岡さんの”枝豆やまだ本題を切り出せず”だろう。ほとんど全員採ったし、私も特選にした。ただむやみに枝豆を口にいれて、肝心の本題、多分いいにくいことなんろう、その情景が身に迫って浮かんでくる句だった。

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by engekibukuro | 2017-09-26 10:24 | Comments(0)  

9月24日(日)

朝刊の広告に、池内紀「すごいトシヨリBOOK」という新書版が毎日新聞社からでた。あの、カフカの全訳をした池内さんが喜寿を迎えて書いた本だというので、直ぐに買って読んだ。だが、書いてあることは当たり前といううか平々凡々のことばかり、年を取るとシモの不順のためのバッドをつけるとかのはなしは、ちょっと驚いたが、とくに参考になるとかの話はなかった・・・。しかし、高名なドイツ文学者でもトシをとるのは、生物としてひとしなみだということがわかっただけでも良かったか・・・。
 なかで”穏やかに死ぬのがこんなに難しい時代はありません。以前は「もう、うちのばあちゃんダメだね」なんて言って、家に連れて帰って座敷に寝かして、だんだん死が近づいてくるのがわかるという、そういう穏やかな死が、わりと日常にありました。今はもい難しいですね。穏やかな死のためには、本人がいろんな苦労をして準備や用意をして、自分なりの意志を伝えなければなりません”という言葉が印象に残った。

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by engekibukuro | 2017-09-25 10:28 | Comments(0)  

9月23(土)M「Double Exposure ‐ダブル・エクスポージャー」あうるすぽっと

コンセプト&演出:アン・ソンス/ヴィレッジ・ヴァロ,振付:アン・ソンス
この作品は、フィンランドのサーカスアーテイストと韓国の振付家による国際共同制作公演。フィンランドと韓国を行き来しながらリサーチとデイスカッションが行われ、浮かび上がったテーマは「整形手術」。「美」に対する理想と現実の行く着く先を、ユーモアと少しの毒を交え、ダンスとサーカスの融合したヴィジュアル・パフォーマンスとして描き出した。韓国のアン・ソンス(演出・振付)は、ジュリアード音楽院を卒業後、振付家として20年以上のキャリアを持ち、受賞も多数。現在、韓国現代舞踊団の芸術監督を務めている。一方、フインランドのヴィレッジ・ヴァロ(コンセプト・演出・出演)が共同芸術監督を務めるWHS値はは、フインランドのコンテンポラリイー・サーカスの先駆的存在で、同国の中でも、最も活発に国際活動をしている団体。彼らが、この共同制作プロジェクトをスタートさせたのは2011年夏。互いに受けた刺激や、新しい視点から生まれた本作は、2012年ヘルシン及びソウルで初演され、今回が日本初上演だ。
 以上が今回の上演の解説だ。フインランドと韓国の共同制作というのも驚きだったが、作品もサーカスのスリリングなパフォーマンスと韓国の独特のダンスのコラボレーションが非常に興味深く、面白い舞台を創りだしていた。

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by engekibukuro | 2017-09-24 10:12 | Comments(0)  

9月22日(金)M「かっぽれ」green flowers

作・演出:内藤裕子、風姿花伝
初めて観た劇団だったが、面白い芝居だった。2011年初演で、今回で4回目の上演だそうで、評判作だったのだろう。落語の世界の話だ。仙台にある温泉旅館・松野やで師匠・東吉率いる今今亭一門会や勉強会が行われた。この旅館の社長は東吉の弟弟子だったが、家業を継ぐために廃業した・・・。芝居は、ちょっとややこしい弟子たちの人間関係の落語家ならではの会話の面白さ、落語の噺を立体的な芝居にして見せたり、舞台の仕掛けが巧妙で、落語の世界と表の世界の混淆がうまいぐあいに進んでいく、実の詰まった舞台が出来上がっていた。師匠の今今亭
東吉を演じたのは演劇集団円の山崎健二、一門の師匠としていろいろ含みをもった味のある演技で、弟子たちを演じる若い役者たちもそれぞれ持ち味を出し切って、芝居を膨らませ、ラストのかっぽれの総踊りできっぱり余韻を残して舞台を閉じた。今回で、この芝居は終わりにするということで、舞台の師匠の音頭で、客と一緒に三本締めで閉めた。





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by engekibukuro | 2017-09-23 09:56 | Comments(0)  

9月21日(木)「世界ゴールド祭 キックオフ!」彩の国さいたま芸術劇場

シンポジウム 

事例1 13:00
「サドラーズ・ウエルズ劇場」(英国)
欧州図一の専門劇場が、世界レベルの製作・上演とならび重要視する地域コウミュニテイに向けたプログラムからシニア層を対象とした活動を紹介。英国のシニア・ダンスをリードする「カンパニー・オブ・エルダーズ」団員も登場した。
事例2 15:15
 彩の国さいたま芸術劇場
平均年齢78歳の演劇集団「さいたま・ゴールドシアター」と、60歳以上の出演者1600名による大群集劇「1万人のゴールド・シアター2016」等を題材に、際の国さいたま芸術劇場の取り組みを劇場の渡辺弘氏が報告し、「1万人・・」の演出を担当したノゾエ征爾氏が、そのときのエピソードを語る。ノゾエ氏はこの試みの脚本の担当者だったのだが、蜷川幸雄さんがなくなって、急きょ演出も担当した。会場の参加者から、その時のノゾエ氏の演出がいかに素晴らしかったの声が多かった。
 18::00
 さいたまゴールド。シアターの新作
作・演出:岩松了「薄い桃色のかたまり」
 生前の蜷川さんが岩松さんに「福島」のことをテーマにとの要望があったことから、この芝居は岩松流の「福島」だった、主流は震災で壊れてしまった鉄道線路を修復する話だが、そこは岩松流、ネクストシアターの若者も参加して、料理のパエリアの話から始まり、着ぐるみのイノシシが出没して、多彩のシーンがくり広げられ、ラストに老人夫妻が、前を歩く若者の男女を見て、”あれは昔の私達ね”と語り合う。直接、「福島」を出すのではないが、「福島」を十分感じさせ、ゴールド・シアターのメンバーも蜷川さんに鍛えられた成果で、みなしっかりした演技をして、蜷川さへの十分なリスペクト、哀惜の気持ちが舞台いっぱいにみなぎっていた舞台だった。

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by engekibukuro | 2017-09-22 11:27 | Comments(0)  

9月20日(水)M「アトリエ」青年劇場

作:ジャン=クロード・グランベール、訳:大間知靖子、演出:藤井ごう、紀伊国屋ホール
 ”1945年、占領軍が駐留するパリ。ユダヤ人夫妻が経営する縫製工房は女たちのたわいないお喋りで溢れている。子供のこと。アメリカ兵のこと、生活のこと・・・・。行方しれずの夫の帰りを待つ女をはじめ、癒えない傷みを抱えながら、逞しく仕事に勤しむ彼女たちの日常から浮かび上がってくるものは・・・。”ナチス・ドイツのユダヤ人の迫害は周知のことで、フランスではドイツに立ち向かったレジスタンスが知られているが、フランス人によるユダヤ人のドイツと結託した迫害は良く知られていない。この縫製のアトリエで働く一人の女性の夫もそのユダヤ人への迫害による行方不明らしい・・・。そういう背景のもとでのこのアトリエで働く女たちの盛大なお喋りがこの芝居の見どころで、戦後のフランスの生活苦のなかでたくましく生きていく女たちの息吹がダイレクトに客席に伝わってくる舞台だった。演じる女優たちがそれぞれの役の生活感を個性的に表現する演技力のたまものだ。経営者の男がこの女たちにたじたじになってアトリエを維持する姿も印象的だった。


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by engekibukuro | 2017-09-21 08:02 | Comments(0)