11月5日(日)S「動物園が消える日」唐組 雑司ヶ谷・鬼子母神

作:唐十郎、演出:久保井研+唐十郎
 今までの唐の芝居とは別種の感銘を受けた。パンフに掲載されていた扇田昭彦の的確な批評を抜粋する。
「舞台で展開したのは、地方都市の閉鎖された動物園を素材とする解体と散乱の高家である。だが、失われた時間と追われた動物たちにこだわろうとする男女たちは、散り散りになることができない。ビジネスホテルのわびしいロビーを舞台に、彼らの空転する情熱と葛藤が切ない笑いを呼ぶ。この劇はかっての唐十郎の芝居を特色づけていたロマンチックな陶酔感や高揚感はほとんどない。失われた時間の闇から深層の大過去までがせりあがり、表層の現在を戦慄させるといった輝かしい時間は顕現しない。ジョン・シルバーは沈黙している。幻想と現実はきわめてリアルな現実感覚に支えられている。冷静なわびしい現実が規定にあるからこそ、激しい幻想がほとばしる。おそらく唐十郎は、かってのような劇作術では「現在」を描けないことを知っているのだ。」これは唐のこの芝居の根柢を衝いた批評で、だからこそいまだに唐の芝居のファンは消えず、彼らは自分たちの生き方の根柢を唐の芝居から確認し、生きるよすがにしているのだ。

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# by engekibukuro | 2017-11-06 09:46 | Comments(0)  

11月4日(土)M「散歩する侵略者」イキウメ シアタートラム

作・演出:前川知大
 私は前川のSFもの、異世界を描いた作品で、元来SFものは苦手なのだが、それでも理解できて面白い作品と、よくその面白さがわからない作品と二通りあって、今回の作品は、宇宙人が人の”概念”を盗む、無化するという話はよく分からないほうの芝居だった。今年の5月に上演された人の血液を呑んで長命を保つ男を描いた「天の敵」は、今年のベスト作品に入る傑作だったが、今回は分からないほうの作品だった。だが、作品は理解出来なくても、イキウメの俳優の演技そのものは見ごたえがあるのだ。今回も主演の浜田信也、安井順平、盛隆二、森下創、大窪人衛ら演技人の演技は十分、その醸されるアンサンブルとともに楽しめた。

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# by engekibukuro | 2017-11-05 09:45 | Comments(0)  

11月3日(金)★M「表に出ろい!One Green Bottle 」★★S「オセロー」

★作・演出:野田秀樹、演奏:田中傳左衛門、東京芸術劇場シアターイースト
210年に十八代目中村勘三郎と野田が夫婦役を演じた芝居の、今回は英語版。父をキャサリン・ハンター、娘を男優のグリン・リチャード、母を野田が演じて、日本語への吹き替えは父を大竹しのぶ、娘を阿部サダオ、母は野田だ。父が日本の古典芸能の巨匠の一家の、ある日の出来事、なにが起きたのかよくわからないが、野田の母を筆頭に大騒ぎが始まる狂騒的なファルス・・・。野田の母親が抜群に面白くて、それに呼応してキャサリン、グリンがタイミングよろしくのってくる。その狂騒を田中の和楽器の演奏が、見事に鎮める。野田の近来の傑作だろう。
★★作:ウイリアム・シェイクスピア、演出:イヴォ・ヴァン・ホーヴェ、出演:トネールグループ・アムステルダム、東京芸術劇場プレイハウス。この「オセロー」オセローを現代のアラブ系ムーア人にした現代劇だ。原作の芯を図式的までの格調高く様式化して、今まで観たことおない素晴らしい「オセロー」だった、俳優人の演技の質の高さ、そのアンサンブル。とくにオセローを演じたハンス・ケステイングは目を見張るような演技だった。、

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# by engekibukuro | 2017-11-04 08:04 | Comments(0)  

11月2日(木)M「ローセンクランツとギルデンスターンは死んだ」シス・カンパニー

作:トム・ストッパ-ド、翻訳・演出:小川絵梨子、世田谷パブリックシアター
 ギルデンスタ-ンとローゼンクランツはいうまでもなく「ハムレット」の登場人物だ。ハムッレトの復讐に恐れをなした、先王を殺した弟クローデイアスがこの二人にイングランドまで送らせ、イングランド王にハムレットを殺害を依頼する書状をもたせる。それが航海中にハクレットにすりかえされ結局殺されてしまう。まことにアンハッピーな二人だ。小川はこの劇を一種の不条理劇風に演出した。この狙いは面白く、独特の舞台ができ上っていた。ローセンクランツは生田斗真、ギルデンスターンは菅田将暉が演じた。かなり難しい役を二人は懸命に演じていた。その二人をクローデイアスの小野武彦、ガートルードの立石涼子のベテランが支えた。観客は生田、菅田ファンだろう女性客が大勢で盛況だった。





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# by engekibukuro | 2017-11-03 09:52 | Comments(0)  

11月1日(水)M「ブランキ殺し上海の春」ザ・スズナリ

文化庁委託事業「平成29年度創造する新進芸術家育成事業」日本の演劇人を育てるプロジェクと 新進演劇人育成公演 俳優部門
佐藤信作「キネマと怪人」「阿部定の犬」に続くー喜劇昭和の世界ー3-
演出:西沢栄治、プロデューサー:流山児祥
 この作品で佐藤信の70年代の劇団黒テントに書き演出した「喜劇昭和の世界」三部作が完結した。佐藤信はこの上演のために歌詞をすべて書き換え、それを諏訪創が新たに曲をつけた。元の作曲は林光だった。状況劇場、早稲田小劇場、劇団黒テントとアングラ演劇最盛期に、これらの劇団の芝居を目を輝かして観た世代にとっては、懐かしい限りの舞台だった。西沢の演出はダイナミックで今の若い世代にふさわしい舞台を創り、俳優ではさとうこうじの演技が舞台を引っ張り盛りたてていた。どんどん遠くなる昭和が、この舞台で蘇ったのだ。


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# by engekibukuro | 2017-11-02 09:52 | Comments(0)