「ポンコツ車と五人の紳士」10月9日S西池袋・スタジオP

木山事務所の俳優部が独立してPカンパニーを設立した。そのオープニング記念公演。作:別役実、演出:富士川正美。木山事務所からの伝来の別役作品だが、別役はこの芝居を「ゴドー」を別役風に模した芝居だといっている。しかし、この舞台ではテクストの形而上学的な詩を表現するには至らなかった。しかし、林次樹をリーダーにしたこのカンパニーは木山事務所の伝統を受け継いで頑張ってほしい。★映画の話題をひとつ。今恵比寿シネマガーデンで公開中の黒沢清監督の「トウキョウソナタ」が面白かった。今年のベスト1だ。さいきんの日本映画は良くも悪くもない観終わって索然とする映画ばかりだったが、この映画は黒澤がホラー映画でなく現代日本を描いたリアルな映画として一頭地をぬいていた。最近の映画が物足りないから、新文芸座の成瀬巳喜男特集の「あにいもうと」や独立プロ特集の山村聡監督の「蟹工船」を見てみると、やっと映画にめぐり合えた気がした。昔感激した「あにいもと」は完璧に蘇った。とくに上品な二枚目役だっただた森雅之が石を刻む石工の役を演じるのが素晴らしい。溺愛している京マチ子の妹との壮絶な喧嘩シーンは映画史に残るものだ。「蟹工船」私が少年漁夫でちょっと出ているが、今観ると大変な傑作だ。小説より資本と国家の暴力が鮮やかに描かれている。それと秋のフランス映画祭でジャン・ピエール・メルヴィルの初期の映画でヴェルコール原作の「海の沈黙」も見た。フランス文化に心酔しているナチの将校のフランス占領地での話しだ。静謐な画面でのみなぎる緊張感が胸をうった。「トウキョウソナタ」は現下日本の荒涼たる風景を香川照之と小泉強固の夫婦をとおして肌に染みこむように描いた映画だ。お勧めします是非ごらんになって・・。
[PR]

# by engekibukuro | 2008-10-10 08:33 | Comments(0)  

「から騒ぎ」さいたま藝術劇場10月7日S

作:シェイクスピア、訳:松岡和子、演出:蜷川幸雄。さいたま藝術劇場シェイクスピアシリーズ第20弾。このところ一作一作が充実して前進している蜷川演出作品だが、この舞台も充実一途の舞台だった。作品そのものは荒唐無稽の色恋沙汰の芝居だが、白色の男性裸像の彫像が舞台に林立しているなかで、若い恋人たち4組が満艦飾の言葉遊びの渦をかいくぐって戯れる。そしてこの芝居は若者も年よりも全て男性のオールメール。驚くのは主役のベネデイックを演じたのがこれが初舞台の小出恵介で、その小出が華麗なシェイクスピアの言葉遊びを堂々とクリアしていて、これは蜷川演出の見事な錬金術連としかいいようがない。ほかの高若手の橋一生、長谷川博紀、月田悠貴も言葉を手の内にいれていた。彼らを支えたのは瑳川哲朗、吉田鋼太郎のヴェテランだが、他にさらに下支えした蜷川組の妹尾正文らの常連俳優たちで、彼らが芝居を活気ずける基になっていて、総員が言葉の面白さ、松岡の見事な翻訳を客に手渡した。ばかばかしいような芝居だが、このから騒ぎの舞台から人間の生き様のリアルが透けて見えてきて、数々の名作にましてシェイクスピアの天才を素直に感じることが出来るのだ。まあ、生きているのもそう悪いものではないと、十分感じさせる舞台だった。
[PR]

# by engekibukuro | 2008-10-08 11:30 | Comments(0)  

「新宿・歌声喫茶の青春」10月6日Mシアターアプル

脚本:山川謙介、演出:村田大。主演由紀かおりを中心にしてロシア民謡、インターナショナルなど労働歌、それに日本の童謡などを歌いまくる舞台だ。また終戦直後から編年体でその年に流行った歌謡曲を映像とともに流す。歌声喫の盛衰の芝居はいわば歌のための道具立てだ。こちらも歌の洪水に溺れて無性に懐かしい。私が初めてロシア民謡にであったのは小学校5,6年か。唱和21、22年か・・。そのころ所属していた児童劇団の先輩がシベリヤから帰還してきた。その先輩のシベリヤ抑留の仲間が「帰還者楽団」というバンドを結成して確か大隈講堂で演奏したのを聴いたときだ。それを聴いて震撼とした。オヤジはコミニュストだったし、そのころはソ連邦はユートピアが実現した国だと信じていたので、その背景もあって呆然とするくらい感動したのだ。それいらい、歌声運動に連携しtのもあったが、私の音楽体験のt核になった。いろんな所で稽古場で舞台でイヴェントで、カリンカもカチューシャもあらゆるロシア民謡を歌った。それとこの芝居の冒頭で「リンゴの歌」が流れたが、この歌をそのころ出ていたNHKのラジオドラマでNHK管弦楽団のバックで歌って(そのころのラジオドラマは全て生放送)声優の綱島初子さんに褒められたのを思い出した。とにかく、私はビートルズもローリングストーンズもブライアン・ウイルソンもあまりしらず、わずかにマイルス・デビス、チャーリイ・ミンガス、山下洋輔など一時ジャズに夢中にはなったが、いぜんとして心の歌は「灯」や「人生案内」や「赤いサファラン」だ。なんともださい音楽体験かと思うが、この芝居がそれを全面的に思い出させてくれて、ひいては日本の戦後史を再考させる刺激になっというのは大げさかな・・。^
[PR]

# by engekibukuro | 2008-10-07 09:24 | Comments(0)  

「STAR MAN」10月4日M青山円形劇場

KAKUTA公演、作・演出:桑原裕子。夏のキャンプ場での中年、若者らの恋愛模様のお芝居でした。私の評価系からは外れてしまう芝居でした。 
[PR]

# by engekibukuro | 2008-10-05 19:56 | Comments(0)  

「シャープさんフラットさん」10月2日M本多劇場 

作・演出:ケラ、ナイロン100℃15周年記念公演。ホワイトチームとブラックチームの2本だて公演。2本とも出演しているのは三宅弘城と大倉孝二だけ、話はほぼ同じだそうだから二つは観られないので、現在絶好調の松永玲子が出るホワイトチームを選んだ。開幕冒頭にバスター・キートンの映画映像が流れる。ケラの「半自伝的」作品で、母親への憎悪、父への熱愛が最初に示されて、人生の折々に亡父と対話する。主人公は劇団主宰者の劇作・演出家。芝居は公演まじかに主人公が突然稽古を投げ出して理由も告げづに失踪してしまう。行き先は東京から遠くないサナトリウム。時代はバブルの絶頂期、贅沢なサナトリウムだ。芝居はここで日を送る様々な人々が織り成す物語。そういう物語のさなかで彼が亡父の霊と対話しながら人生を見つめなおすという、ケラ独特のコメデイタッチをまじえながらのシリアスなドラマだ。滞在者の人物の面白さ、背景のバブルの最盛期から没落までの時代の推移を如実に感じさせる作劇術、冒頭のキートンから出発した主人公のナンセンス喜劇への偏愛をさらすシーン、それらが融合して独特の一つの時代とそこに生きた人物を描いたなにか気持ちをしーんとさせた芝居だった。なにより客演をまじえたか俳優がいい。狙った松永は期待以上の面白さだったし、松永と大倉孝二がケラが育てて大成しつつある俳優の双璧だろう。ケラとナイロンの俳優たちの成熟を明示した15周年記念公演だった。、
[PR]

# by engekibukuro | 2008-10-03 13:37 | Comments(0)