2月11日M★「俺の宇宙船」S★★「床下のほら吹き男」

★作・演出:前田司郎、五反田団、三鷹市藝術文化センター星のホール。舞台はテーブルがばらばらにいくつかあったり、奥は舞台を横切るスロープがある、全体の感じが遊技場のように見える広い空間。幕開きはスーパー勤めの女性三人の務め帰りのなんてことない会話で始まるが、そのうちの一人君江は実は仕事外では秘密探偵だった。目下の捜査の急務は、この街、五反田界隈で小さな子供たちがいなくなっている事件。この事件を食用に供するため街の鳩を撃つのを生業にしている親をしらない少年たちで組織された彼女の配下である「少年探偵団」と一緒に解決すべく活動中だ。彼女の犯人の目星は「善良な宇宙人」ではないかということで、また少年たちが住んでいる五反田界隈の暗闇が無くなっているのも、「善良な宇宙人」の仕業だという推理だ。突き詰めた結果は犯人は君江の夫だと思わざるを得なくなった。なぜなら彼の足の裏の紋が以前と違って逆巻きになっているのを発見したから。宇宙人だといわれた夫(演じるのは前田)は・・・・まあ前田流の五反田メルフェンの世界だ。話もヒトも他にごちゃごちゃいろいろあって、流れるように自在に芝居は広がる。君江を演じる川隅奈保子が芝居の牽引者でなかなか魅力的で面白い。前田ワールドを堪能できるのたが、前田の芝居に常に伏在しているボールのシンコのような人を寄せ付けない硬い芯のようなものが今回は感じられなかった。なんだか飽和状態をきたしたような印象を禁じえなかった。
★★作・演出:土田英生、MONO、吉祥寺シアター。4人姉妹が暮らしている旧家の床下をインチキリフォーム会社が姉妹を騙して工事するのを、突然床下の奥の扉から出てきたばりっとしたスーツ姿の男がインチキを姉妹にばらす話だが、このほら吹き男があまりに嘘っぽくてのれない芝居になってしまった。だがMONOの芝居の魅力は、劇団員5人、水沼健、奥村泰彦、尾形宣久、金替康博、土田の独特のリズムの会話の面白さだ。土田が他劇団に書く芝居ではこれがない。女優陣もこの会話の面白さに感染されて、話の成り行きより、この会話の面白さで十分もつ。今回は芝居の中身はちょっと残念だったが、他劇団にはないそれぞれ異なる持ち味の強烈な個性をもつ俳優たちは健在だった。創立20周年の公演だそうだが、今後も大いに期待できる。
☆二つの小劇場の芝居を観て、今の大不況の現実への対応度が低くなっていることも感じざるをえなかった。
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# by engekibukuro | 2009-02-12 14:38 | Comments(0)  

2月10日S「ちちゃなエイドルフ」あうるすぽっと

作:ヘンリック・イプセン、上演台本:笹部博司、演出:タニノクロウ、主催メジャーリーグ。一見昔の新劇の舞台を観ているような気分になった。出演は勝村政信、とよた真帆、馬渕英俚可、野間口徹、マメ山田と、演出のタニノを含めて、美術の朝倉摂を除けば新劇とは全く無縁のひとたちだ。タニノが小劇場の演出家で、前回の同じイプセンの「野鴨」の演出も今まで観たことのないような舞台だったので、このテクストにまったく忠実でまっとうな舞台は以外だった。役者も役作りに熱心に取り組んだことがよく解るきちんとした人物像を見せていた。だから2時間強の舞台は緊張が途切れない立派なものだとは言える。「エイドルフ」は人間と人間の間の暗闇を救う象徴なのだろう。また、あらゆる小劇場の風潮がどん詰まりに来ていて、イプセンのような古典作品と、その人間探求に目が行く、原点回帰のような舞台だったとも思えた。しかし、タニノがこの舞台で何を伝えたかったのかは判然としない。「野鴨」はイプセンの世俗的・市民的リアリズムの魅力を鬱蒼とした森のなかで伝えてくれたのだが。タニノはパンフで「私は演出家ではなく「ちちゃなエイドルフ」をよく読んでいる人です」と書いているが、それならよく読んでいない我々にも今の我々の生活にこの作品がどうつながるかのヒントを示して欲しかった。
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# by engekibukuro | 2009-02-11 12:00 | Comments(0)  

2月9日M★「続々オールド・バンチ」S★★「電波猿の夜」 

★平均年齢80歳近いメンバーのパラダイス一座もこの第三回最終公演でめでたく、おしまれつつ解散だ。第一回公演での初々しさからセリフを忘れても堂々と処理するヴェテラン役者に変貌した。作:山元清多、演出:流山児祥、音楽:林光、美術:妹尾河童。幕開き、92歳の戌井市郎が真っ赤なドレスを着て登場、林光が「カルメン」をピアノで強弾する・・満場がどよめく・・。
今回はバンチノメンバーはゲイになった。皆きらびやかな女装で登場する。しかし、今回はドラマらしいドラマはなくて、カラオケ大会の様相で、それぞれお得意の出し物を披露した日た。中村哮夫はかって越路吹雪主演の「王様と私」を演出したので「シャル ユー ダンス」を越路風に歌い、今回初参加のふじたあさやは尺台を置いて講談の赤穂浪士を一席、戌井は心内「蘭蝶」を気分よさそうに語った。また瓜生正美がセリフを忘れると客席のテッペンから流山児が大声で叱咤訂正する。最終公演だからお祭り気分が横溢して客もノッテいた。それと映像出演だが岩淵達治が「ビルマの竪琴」の水島上等兵がタイで生き残ってハッピーな老後を送っているという設定で、ステキなタイ美人とさんさんと陽光きらめく南国の風景をバックに実に楽しそうに歌っていた。今回の音楽・ピアノ伴奏の「謎のピアニスト」林光が童謡からクラシック、軽音楽まで弾きまくって素晴らしかった。流山児の大将の自負自讃も大拍手で賛同しよう。なにしろこれだけのメンバーを集めたのだから。上記の名のほかに高橋悠治、本多一夫、肝付兼太、二瓶鮫一、故観世栄男、写真の荒木経惟、大将の牽引力の凄さだ。劇場は本多が初出場だという本多劇場。
★★作・演出:深津篤史、桃園会、ザ・スズナリ。舞台中央に2段ベッド。ベッドを三方から囲む衝立にはなにやら植物をデザインした模様が一杯に描かれている。ベッドの上下に男が寝ている。下の男はバイト先のハンバーガー屋が倒産して失業状態らしい。舞台にはヤモリだというキグルミを着たイキモノがうごめいている。話はその男の夢らしい。色んな男と女が現れては消え、ヘンテコなイキモノがうごめき、二人の妖精だという女が上段に居座った。夢だから万事話が四方八方に飛ぶが、それを受け入れるしかない。夢の極私性そのままだ。だが役者たちが素直に夢のエレメントを演じているのが感じがいい。その素直な演技が、一つのあたたかいような、わびしいような一種の幸せな世界をかもしだしていた。それぞれのイキモノやヒトが感応しあっている親密さがもたらしたものだ。深津独自の世界だ。
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# by engekibukuro | 2009-02-10 14:50 | Comments(0)  

2月7日★「オルフェス&エウリデイゲ」★★東京室内歌劇場

★カンパニー マリー・シュイナール、シアター1010。コンテンポラリーダンスという分野のなんでもありの表現の自由さと豊かさに、作日観た「ピーピング・トム」とこの舞台を観て感服した。まずこのカンパニーの人体とその行為を極端にデフォルメするスタイルの一貫性の見事さに驚いた。まるでフランシス・ベーコンの絵画の人物たちを踊らせたような奇態さだ。性交をデフォルメして愉快な遊戯にしてしまう、笑うエロス。そして全編にみなぎっている遊びの感覚。人間は遊ぶために生まれてきたんだとつくづく思わせてしまう闊達さと哄笑が噴出している。難しい哲学的探求も背後にあるようだが、上質なエンターテイメントとしても十分楽しめる。
★★リゲッテイ作曲のオペラ。ARICAの藤田康城が演出して、安藤朋子がパフォーマーとして出演した。新国立劇場。原作はベルギーの前衛的劇作家ミシェル・ド・ゲルロード。全編ドイツ語で歌われる、字幕つき。「アンチ・アンチ・アンチオペラという実験的オペラらしいが、欲望が肥大化したグロテスクな人間たちが右往左往して猥雑なカオスが現出して、そこに巨大な独裁者が君臨して・・・。ストーリーとかの見晴らしは難渋してよく解らないが、音楽は前衛音楽ぽくない、打楽器多用の親しみやすい美しい旋律で、歌劇場のベテラン歌手が耳に心地よく聞かせてくれる。抜擢された藤田が新国立の奥行きの深い舞台を隅から隅まで有用に使った美術の配置、人物たちのダイナミックな動きなどで、オペラの高揚をきちんと整えたら演出は際立っていた。カーテンコールでの晴れがましさも、その貢献の証だ。ただ、安藤さんはあまりに人物が多くて見つからなかった。、
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# by engekibukuro | 2009-02-08 12:14 | Comments(0)  

2gatu


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# by engekibukuro | 2009-02-08 11:40 | Comments(0)