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12月21日(金)












▲週刊金曜日、<櫂未知子の金曜俳句>欄に今週も畏友・★谷岡健彦・★★堀切克洋(俳号:月光ほろり)さんの句が今週も選ばれている。
 兼題<茶の花>・★茶の咲ける小津監督の忌なりけり
月光さんは今月大健闘、五句選ばれた。中で特選句、兼題<竈猫>
        ★★拍子木の遠のいてゆく竈猫

# by engekibukuro | 2012-12-22 07:41 | Comments(0)  

12月20日(木)M「海の眼鏡」(作:東憲司、演出:高橋正徳)

文学座アトリエの会。
 この「海の眼鏡」の戯曲と自ら主宰する劇団桟敷童子で同時上演されている「泳ぐ機関車」の作・演出で東憲司は「紀伊国屋演劇賞」を受賞した。おめでとう!これは東個人だけではなく、劇団桟敷童子の役者陣の魅力、塵芥の美術、それら総体への受賞だろう・・。
 さて、「海の眼鏡」、舞台は九州の小さな海辺の町・・。海女だった老女の、今は廃れてしまった海女の歴史を記念する私設記念館に立てこもっている・・。この記念館が取り壊されることになり、それを彼女が断固拒否しているのだ。この老女を応援すべく篭城をサポートするのが、海女の水中眼鏡作りの名人の老人だ・・。この老女を演じるのが新橋耐子、老人は坂口芳貞・・。この二人の存在感が舞台を押さえていて、最高の海女だった老女、最高の水中眼鏡職人の老人の過去の姿が、舞台を揺曳する・・。老女の息子たち、孫娘、老人の娘夫婦などが、篭城の二人に応対して、二人の過去がの因縁のエピソードが露呈してくる・・・。桟敷童子では実現できない新橋、坂口の演技が、東の戯曲に新しい広がりを見せたのが収穫だった・・。そのうえで、この芝居を塵芥のセノグラフイーで飾り、老女を桟敷童子の板垣桃子が演じたらどうだっただろうとも考えて楽しかった・・。

# by engekibukuro | 2012-12-21 08:21 | Comments(0)  

12月19日(水)★M:tpt★★S:座・高円寺 冬の劇場

★ 「地獄のオルフェス」(作:テネシー・ウイリアムズ、訳:広田敦郎、演出:岡本健一、東京芸術劇場ウエスト)。
この作品は前に文学座で江守徹主演のものを観たし、マーロン・ブランド主演の映画(邦題は「蛇皮の服を着た男」も観たが、この舞台がいちばん面白かった。岡本健一の演出が、20世紀最高クラスの劇作家だということで、テネシーの作品を演出するときに、テネシーについての研究などをいままで過剰に参照しがちな傾向があったが、そういうものにあまり頓着せずに、この戯曲の登場人物たちの人間性の面白さ、芝居自体の運びの面白さに専心留意したもので、その結果、一種のサスペンスドラマとして終始目が離せない緊張感に満ちた舞台ができあがった・・。主演の保坂知壽、中河内雅貴、占部房子の座談会を呼んでも、かっての新劇俳優達あっちの”お勉強風”でなく、役に自分なりにじかに没入してゆく気持ちが新鮮だった・・。テネシーが生まれたアメリカ・セイープサウスの町での話し、ここへ流れ者のミュージシャンがやってきて、ギターの弾き語りで町のバーに居つくのだが、このバーでの重症の夫をもつ店の女主人と怪しい関係に・・。芝居はこの二人の動向の進み具合と、この店に来る南部の男女のあふれんばかりの生の実体をさまざまに見せてゆく・・。黒人差別と暴力と狂信が充満した土地、この店の女主人公のイタリア家の白人の父は、ワインバーを経営していたが、クロンボに酒を売ったというだけで、リンチにあい焼き殺されてしまう・・、そういう野蛮な土地で流れ者の運命は・・・父の二の舞だった・・・。そういうこのテキストの奥に潜む、テネシー・ウイりアムズの「ガラスの動物園」や「欲望という名の電車」などの不朽の名作を遠望する要素がいっぱいつまった作品の深さも実感できた・・。ピンタ-の作品の演出を観たことはあるが、岡本がこの大作をこんなに立派に演出できる人だとは・・。この岡本の起用、独自のキャストを組んだ、
tptの門井均プロデューサーの慧眼に改めて感心した・・・。
★★「アメリカン・ラプソデイ」(作:斉藤憐、演出:佐藤信、出演:高橋長英、関谷春子/佐藤充彦(ピアノ)。毎年12月の定番レパートリー、アメリカの国民的音楽家、ジョージ・ガーシュインの数々の名曲を佐藤のピアノで聴くという、暮れの嬉しい楽しみだ。ロシア系ユダヤ人の靴職人の息子としてガ-シュインの一代記を、同じロシア系ユダヤ人のバイオリニスト・ヤッシャ・ハイフェッツ(高橋)とガ-シュインを公私に渡って支援した女性作曲家ケイ・スウイフト(関谷)との往復書簡で、佐藤の演奏を挟んで語ってゆく・・。ガーシュインがとんでもない女たらしだったそうだ、が、どんなにアメリカの大衆に愛されも、ガ-シィインのいまでは名曲とされている音楽を、音楽批評家は全然認めず、終始悪口を言われ続けてきた事実に毎回驚く、ガーシュインの黒人が主演するオペラ「ポギーとベス」は黒人が出るからという差別で酷評されたということと同じで、ガーシュインはユダヤ人差別の犠牲者なのだろう・・。

# by engekibukuro | 2012-12-20 10:07 | Comments(0)  

12月1118日(M)「ア・ラ・カルト」青山円形劇場

ー役者と音楽家のいるレストランー
役者:高泉淳子、山本光洋、本多愛也、中山祐一郎。
音楽家:中西俊博(Violin)、クリス・シルバースタイン(Bass)、竹中俊二(Guitar),林正樹(Piano)。日替わりゲスト:池田鉄洋、春風亭昇太、ROLLY。
演出:吉沢耕一、台本:高泉淳子、音楽監督:中西俊博、青山円形劇場プロデュース。

 来年この円形劇場は閉館する。ざんねんきわまりない。この開館当時から、数々のおもしろい舞台を観てきた・・。なかでもこの「ア・ラ・カルト」の代表役者の高泉と、高泉と別れて現在演出家として大活躍の白井晃が主宰だった「遊●機械/全自動シアター」の常打ち劇場だった、この円形劇場は・・。高泉の代表的キャラクター”山田少年”はこの劇場で誕生したのだ・・。「ア・ラ・カルト」も毎年12月のクリスマス行事として最初から観ていたが、高泉さんにちょと満腹して、しばらくお休みしていた・・。今年は、閉館して「ア・ラ・カルト」もこの円形劇場ならではの演目だから、今年で見納めだろうと・・。久しぶりに観た高泉さんは、前とちっとも変わらなくて、とっても元気で、3時間の舞台も、エンドレスのような活気がみちみちた舞台で、イブニングから和服と何種類もの衣裳替えも華やかで、例の過剰にフツーの男性サラリマーン役のスーツ姿も無性に懐かしくて、健在も健在、大健在で嬉しかった・・。この舞台の目玉の中西音楽監督とのコンビネーションも至芸のいたりで、マッチングは見事・・。日替わりゲストは、今日は春風亭昇太で、これはラッキーというべきか・・。この人はお芝居も定評がある人、ふとしりあって高泉をお好み焼き屋の誘い、次にもんじゃ焼き、やっとこのレストランンでのフランス料理へとたどり着いたカップル役もこなし、小話のトークも面白く、最後はトロンボーンも吹くフル出場・・。最後は定番の高泉のしゃれたおばあちゃん、デザートが終わって、クリスマスのプレゼントに山本のぼけかかった爺さんに、イーストウッドの「ビッグ・トリノ」のDVDを渡し、”私の家でみていいけど、映画が終わったら帰ってね”といってお店をでる・・・。大満足だった・・。

# by engekibukuro | 2012-12-19 09:08 | Comments(0)  

12月17日(月)関容子「舞台の神に愛される男たち」講談社

 
 取り上げられている演劇人は、柄本明、笹野高史、すまけい、平幹二朗、山崎努、加藤武、笈田ヨシ、加藤健一、坂東三津五郎、白井晃、奥田瑛二、山田太一、横内謙介・・。この取り合わせがなんとも妙味があり、新劇、歌舞伎、小劇場、映像とそれぞれの舞台に係わる様態は様々だが、その人たちの生い立ち、演劇体験がずしりとこちらの腹を満たすようなインタビュー集だ。さすが聞き書きの名人、相手がどんどん興に乗って喋ってくれるようにし仕向ける業が素晴らしい。こちらの上記の人たちへの知識や見方が、ほんとうに上っ面だけだったと本当に思った。私もインタビューをしたりしたが、まったくへなちょこだったということが、この本を読んで悟らされた・・。

▲第60回湯島句会、神保町銀漢亭。今回で5年目だそうだ。出発時は5人だったのが、今は毎回100人を越えている。今日も盛会だったが、わたしは一句も採られなかった。谷岡健彦、堀切克洋君は会いまわらず快調だ・・・。これなら大丈夫だろぅと思っていた句が、一顧だにされない・・。まあ、来年はなんとかしなきゃ・・。

# by engekibukuro | 2012-12-18 10:38 | Comments(0)