7月12日M「お前は誰にも似ていない」ザムザ阿佐谷

原作:ジャン=クロード・カリエール「恋のメモランダム」、構成・演出:松本修、MODE。パリの一人住まいの男(泉陽二)の部屋。ある朝、男がちょっと部屋をでていた隙に見知らぬ女(山田美佳)が入り込んできた。男が戻ると、大きなトランクを持っているその女が、どこにも行くところが無くて、大変疲れているから休ませてくれといて、勝手に荷物をほどき、男のベッドに横になろうとする。小柄でかわいいが、あまりに傍若無人な振る舞いに男があっけに取られているうちに男の大事そうなファイルまでめくろうとして・・・。この女がフランス人なのに関西弁でしゃべる。この異様な導入部がたちまち客を舞台に引きずりこむ。男は出勤間際なので仕方なく女を部屋に残す。男のファイルはいままで寝た女の記録帳だ。このわけの解からない女に男が振り回されてゆく顛末を描いた芝居だ。客はなんでこんなずうずうしい女をたたき出さないのかといらだつが、男はなぜか優柔不断でまるめこまれてしまって・・。カリエールはブニュエルやルイ・マル、ゴダールの脚本を書いた人だけに、一筋縄でいかないしゃれた意表、意表の展開で、それに山田の関西弁が効いていて面白い。松本のシーン換わりでの音楽の選曲も松本の得意技で舞台の雰囲気も濃くなってくる・・。男と女の間のどこまでいっても勘違い、すれちがいが直らない万華鏡を覗くような芝居で、最後には男は女に部屋を譲る。この芝居は役者の演技力、魅力にかかっていて、泉、山田は松本の丁寧な演出でテクストの面白さは十分伝えたが、後半失速気味になって、今ひとつだったのが残念だった。
★ウデイ・アレンの「それでも恋するバルセロナ」をワーナー・マイケル板橋で見た。軽いんだか重いんだか判然としない妙な魅力がある映画だが、その一種のかったるさが、画家の元の妻の絶世の美女(ペネロペ・クルス)が画家と女との密会の場でピストルを乱射するシーンであっというまに引き締まる。さすがウデイ・アレン、久しぶりの快作だ。
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# by engekibukuro | 2009-07-13 16:32 | Comments(0)  

7月11日M「胎」(作・演出:呉泰錫(オ・テソク)世田谷PT

出演:韓国国立劇場 国立劇団。「王位争奪」という歴史的な背景の中で、血筋と母性という人類普遍なテーマが語られるこの舞台は、祭儀的かつ様式的で、視覚的にもインパクトの強い場面構成と、個性あふれる人物たちの葛藤が、劇を力強く引っ張っていた。歴史的な素材、テーマ、音楽、衣裳など韓国的な色彩の濃い「胎」は、韓国演劇の独創性に触れるまたとない機会だった。以上の内容の韓国国立劇場 芸術監督チェ・チリム氏のメッセージそのままの舞台だった。感銘した。それは演劇を超えた儀式に近いものだった。
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# by engekibukuro | 2009-07-12 11:35 | Comments(0)  

7月10日M「COCO」ル テアトル

脚本・作詞:アラン・ジェイ・ラーナー、演出・翻訳・訳詞:G2。1969年にキャサリン・ヘップバーンがCOCOを演じて大評判になったブロードウエイ・ミュージカルだ。こちらのCOCOは鳳蘭。演技、歌唱とも圧倒的な迫力でシャネル・ココを演じきった。助演の湖月わたる、岡幸二郎、大澄賢也、鈴木綜馬、今陽子が鳳を立派に支えた。G2という演出家にはわたしは良い観客では無かったが、この舞台はバランスの良い適切な演出だった。とにかく鳳の存在感が舞台全体を支配した、彼女のこの役に対するほれ込みようがじかに伝わる舞台だった。
★同日am。シネカノンで西川美和監督の「デイア・ドクター」を見た。前作「ゆれる」もよかったが、この映画で日本の代表的な映画監督であることを示した。それに主役の偽医者を演じた笑福亭鶴瓶が素晴らしい。落語家の余技どころか立派な映画俳優だ。ラストの偽がばれて、警察に追われて東京の病院の看護人に潜り込んで、その病院で偽医者のときに誤診した八千草薫の老女に会ってしまい、二人が思わずクスクス笑いあうシーンが秀逸。
★★同日夕方。上野の森美術館「高橋コレクションーネオトニイ・ジャパン」高橋竜太郎という精神科医のコレクション、村上隆、会田誠、奈良美智、芋味ら、よくもこれだけ集めたものだという逸品ぞろい。日本の現代絵画の感性が館ぜんたいにみなぎっていた。日本の現代絵画が海外市場でおお売れに売れていることがよくわかる。ネストニイ(幼形成熟)の絵画は世界の荒廃感を癒すのだろう。演劇ではネオトニイの劇作家は前田司郎かな・・・。
同日夜。村上春樹「1Q84」読了。本は買ったのではなく、20年来の池袋の沖縄料理店「おもろ」の飲み友達有田芳生(今度東京12区から新党日本で衆議院に立候補している)からのお下がりだ。朝日新聞の文芸時評で斉藤美奈子はこの小説を娯楽小説だと書いていたが、まずは娯楽として至福の時間を過ごせた。しかし、娯楽だけでは収まりきれないなにか不気味な、大きな転換をはらんだ得体の知れないものがある。それはこれから考えよう。そういえばネストニイ・ジャパンの画家たちと村上の感性は通じるものがある。両者とも世界で売れているし・・。この小説にでてきて話題をさらっている謎のリトル・ピューピルは奈良の描く、怪しい視線を放っている幼児のような姿なのかなとも思えてくる。
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# by engekibukuro | 2009-07-11 09:17 | Comments(0)  

7月9日M★★「夏の夜の夢」S★★「ベンガリの虎」

★演出:エドワード・ホール、プロペラ、東京藝術劇場。むくつけき男ばかりの「夏の夜の夢」これはこtれで面白いが、特に職人芝居の部分は傑作だ。ただ、若い恋人たちは、6月にジョン・ケアードのオーソドックスな傑作を観たせいもあってか、ちょっとひいた。プロペラは断然「ヴェニスの商人」だ。
★★作:唐十郎、演出:金守珍、新宿梁山泊、井の頭公園特設紫テント。李礼仙を思わせる水島カンナのヒロイン、中山ラビの歌、旧状況劇場の十貫寺梅軒、田村泰二郎の牽引力などによって、また金らしい楽しいスペクタクルもふんだんで、、金はこの傑作戯曲の内容をあますことなく表現した素晴らしい舞台だった。金の唐への熱い思いと、唐世界を継承する意志をひしひしと感じた。
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# by engekibukuro | 2009-07-10 09:29 | Comments(0)  

7月8日M★「奇っ怪」S★★「ヘッダ・ガブラー」

★原作:小泉八雲、構成・脚本・演出:前川知大。仲村トオル、池田成志、小松和重と有力俳優が出演した。八雲の怪談から五つの話を選んだ。日常からの逸脱を芝居のコンセプトにしてきた前川には怪談はうってつけで、面白い舞台だった。ただ、大劇場での芝居を主にする役者の声が小さなトラムでは大きすぎて多少耳障りだったことと、アンサンブルとしてはイキウメの単独公演をみたいなと思ったこと・・・。
★★作:ヘンリック・イプセン、上演台本:笹部博司、演出:吉川貴義、赤坂レッドシアター。プロヂューサー笹部の若手演出家によるイプセン上演3作目。ヘッダを演じた小沢真珠はキレイだし、一つの性格をスムースに演じb抜いた。ただ、もうちょっと自身の葛藤をみせないと、とは思った。
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# by engekibukuro | 2009-07-09 10:40 | Comments(0)