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4月1日(日)





▼「シアターアーツ」春・50号読了。この号で創刊50号だ。今号では嶋田直哉「演劇時評」での第三舞台の解散公演・鴻上尚史の「深呼吸する惑星」評が出色。即時完売の大評判のこの芝居は、最盛期の第三舞台の客の、当時へのノスタルジアで支えられているだけで、その世代の後の客の目でみれば粗雑でつまらない芝居だという・・。これは同じ号の第三舞台の大ファンだった林あまり「観客の目から見た第三舞台」と併読すればよく解る。うすうす感じていたことをはっきり書いてくれた。立木あき子「舞台芸術の心が問われた一年ー2011年舞踊回顧」は、昨年の各種舞踊作品が質の高いものが多く、被災地でも大好評で迎えられたと・・。舞踊は災害を直接あつかったりするジャンルではない・・が、人間を元気ずけたり癒すのは、扱っているものがなんであれ芸術性の高さだけだということを証明している。これは演劇でもいえること・・。農村での生活苦で明日にでも一家心中しようとする家での未亡人が、村祭りでの旅芝居の面白さで、心中を思いとどまる元気がでたという話があるが、その芝居が一家が陥った現実の苦難をあつかったものではなく、ただほんとうに芝居として面白かったからあdけで・・。
この号でわたしはシアターアツの編集委員を交代する。8年間やっていて色々な優秀で面白い方々に知り合えた。みな外国体験が豊富で、外国語もでき、演劇の基礎教養もしっかりした方々で、私はいずれもダメで、自分流でなんとか過ごさせていただいた。もうトシ・・蜷川幸雄に”なんで蜷川さんは芝居をこんなにたくさんやるの・・というのに”芝居をやらなければ只の年相応のジジイでしかない”からだと・・。只のジジイやババアが悪いわけではないが、芝居を観たりそれを書いたりしていれば”只のジジイ”とちがう存在になるかもという幻想・妄想を妄信してもバチはあたるまい・・。

# by engekibukuro | 2012-04-02 07:39 | Comments(0)  

3月31日(土)M「シェフェレ」黒テント。イワト劇場

作:ヴェルナー・シュヴァーブ、演出:ヴェアチェスラブ・サンブリッシュ。作者はオーストリア人、演出家はルーマニアから割譲された旧ソ連邦の国だったが、ソ連崩壊後独立したモルドバ共和国の人。三人の家政婦の話でWキャスト。バージョンAが桐谷夏子、石井くに子、畑山佳美、バージョンBは畑山は同じで、岡薫、宮地成子。わたしの観たのはBバージョン。全編会話だけの、”ウンコ”という台詞が頻発する芝居で、パンフでのの解説のタイトルは「排泄と猥雑と暴力 ヴェルナー・シュヴァーブの三位一体」。キリスト教の国じゃないとなかなか実感しにくい難しい、演じにくい芝居を、三人が熱演する。熱演というのは余り褒め言葉ではないが、とにかくこのジャン・ジュネの芝居を思わせる36歳で夭折した劇作家の戯曲の面目は伝わった。これを観て、黒テントの中心女優の桐谷とかって黒テントにいた石井のバージョンAを観たいと思ったが、今日がラクだった。
 このイワト劇場は今回の上演で、家主との契約切れで閉館する。黒テントだけでなく、いろいろな劇団の芝居を観られたし、交通の便のよいイイ劇場だった。唐組とともに、アングラの名残りを残しつつ再活性してきた黒テントの更なる展開を期待する。

▼おもろ、ひさしぶりに前におもろでバイトしていたヒロシ君がきた。それに年来の常連の岸本さん、カップル、ヒロシ君と、ジャズの話を・・。私は山下洋輔、坂田明、富樫雅彦らの若いときに聴いていただけだが、今の若いジャズミュージシャンもいろいろ面白い人がいるそうだ・・。

# by engekibukuro | 2012-04-01 09:29 | Comments(0)  

3月30日(金)S「架空の情熱ー劇的なものをめぐってー」

構成・演出:流山児祥、流山児★事務所、Space早稲田。
 流山児も出る、若手5人の(男2、女3)「若手」公演。この「劇的なるものをめぐって」の元祖は流山児自身が最若手で入っていた、かっての早稲田小劇場での鈴木忠志が様々なテクストから構成・演出して、白石加代子が出演した、伝説の名舞台だ。今回は、アラバール「戦場のピクニック」、ベケット「ゴドーを待ちながら」、南北「桜姫東文章、鏡花「婦系図」、村上春樹「踊る小人」、谷川俊太郎詩集「これが私の優しさです」、唐十郎「ジョン・シルバー」と処女作の「24時53分『塔の下』行きは竹早町の駄菓子屋の前で待っている」それと番外の柳家小さんの落語「粗忽長屋」・・・、これらを贅沢に盛り込んで、おまけにリニューアルされて劇場らしくンなったSpace早稲田の左右の壁にはかってのアングラ劇団、金杉忠男の中村座にあった役者が体ごとぶつかる「突撃板」が設えられ、役者がここでも果敢にぶつかる・・。まったくのアングラ源流に流山児流の歌と踊りをちりばめた1時間15分は、なかなか充実した楽しい時間だった。なにより若手、山下直哉、五島三四郎、荒木理恵、鈴木麻名実、山丸莉菜の5人が、かってのアングラ役者のパッションを蘇えらしていた・・。昨日が初日で、今日31日がラクの2日公演、14::00、19:00の2回・・。この芝居のキャッチフレーズは金杉忠男の名文句”淋しかったら、ふらりとおいで決して、只では帰さない”・・・そのとおりだった・・。・それと特別趣向があって、一家ですき焼き鍋を囲むシーンがあって、それも本格的にすき焼きを煮てみなうまそうに食べる。いい匂いが劇場にたちこめて食欲が刺激されて・・芝居がぐっと近かずいてきた・・・。
▼柾木さん、メールにも書きましたが、是非観にいってください、流山児がよろこびます。

# by engekibukuro | 2012-03-31 08:38 | Comments(0)  

3月29日(木)S★「父帰る」★★「おふくろ」文学座

★作:菊池寛、★★作:田中千禾夫 演出:江守徹、文学座アトリエ。
★妻とまだ小さな3人の子供を捨てて、子供のわずかな貯金まで取り上げて、情婦と出奔した父が、尾羽打ち枯らして帰ってきた。いっときは羽振りのよかった興行仕事も失敗し、よる年波で体も弱って、さすがに敷居がたかくて当初は近所をウロウロしていたが、とうとう戸口を開けて・・。一点の同情の余地もない酷い父・・、丁度、母、長男、次男、むすめとの晩飯のときだ・・。ちゃぶ台にのった1本の銚子に目をつけて、酌をしろと・・。次男がそれに応じようとすると、長男は決然と阻止させる・・。父の突然の出奔で暮らしができなくなった母が一家心中をしたが、身を投げた水が浅かったので助かったこと・・、給仕をしながら長男は必死に勉学して一家を助け、父親がわりに弟や妹を育ってきた・・。やっと一家の生活が安定してきた矢先に、それらを長男に強硬に言い立てられてさすが父親もすごすごと帰るが、男に従順な母親、骨肉の気持ちが抑えきれない弟に訴えられて、長男も呼び戻す気になって弟は父を追うが、見当たらず踏み切りの警報の音が、そういえば開幕当初に列車の通過の轟きがきこえた、行き所がない父は絶望して・・。父親を演じた戸井田稔のどんずまりのたたずまいが舞台を圧する・・。骨肉のしがらみの恐ろしさ・・、母の南一恵、長男の植田真介、次男の内藤裕志、妹の秋山友佳、一時代前の日本語を丁寧に伝えることを目指し、また家族のありようを見つめなおすことを主眼にした江守の演出、それに応えた俳優の努力でこの名作が蘇り、文学座ならではの舞台になった・・。
★★も田中の名作。”おふくろ”を演じるのは「父帰る」の母親役の南、長男と妹とも同じく植田と秋山。早くに夫を亡くした母親に育てられた兄、妹。長男は大学を卒業まじかで就職するのだが、母の期待にこたえていままできたが、期待がおおきすぎて、一時でも母と離れるために就職は東京を離れて名古屋に母に黙って決めてしまった・・。それがひょんなことから母に分かってしまう・・。母は長男と別れては暮らせない・・。終幕”いいわ、女学生の娘は寄宿舎に入れ、わたしも名古屋にゆくわ”呆然とする長男・・。おふくろは厄介だ・・、特に父親がいない長男にとっては・・いい母だからなおさら・・。家族の間の愛情のほろ苦さを見事にさりげなく描ききkった名作・・、南の演技が芝居のテイストをしっかりしたものにしていた・・。

# by engekibukuro | 2012-03-30 10:03 | Comments(0)  

3月28日(水)



▼出版健保へ。勝手に私の主治医だと思っている女医の田村先生に治療の報告。丁度1年前に、レントゲンに不審な影が見つかって・・・”まったく偶然だったわね”と先生・・。
・月曜の湯島句会のどなかの拡大コピーした選句表がカバンに灰っていて、書き込みがしてある。酔っ払ってカバンにいれちゃたよう・・。探している人がいるかもしれないと思って、健保の帰りに神保町の銀漢亭にゆく。そしたら、これは堀切克洋君のものだと判明して・・置いておく。せっかくだから焼酎をちりめんじゃこで飲む・・。店主で結社銀漢の主宰者の伊藤伊那男先生に、近代の名句は戦前の結核とかの不治の病ともいわれた病気や、戦争が一種の条件だったが、いまは難病もへり、戦争もない仕合せな時代になって、そういう時代の俳句とは・・、と、酔った思い付きのようなことをしゃっべったら、フムフムと聞いてくださったようで・・。

・日本での大リーグ開幕戦マリナーズ対アスレチックス戦で3番になったイチローが4安打、すごいことだが、さらにいいのは昨年まで2番を打っていたフイギンスが、イチローが3番になったので、本来のトップバッターで活躍できるようになった・・。今年のマリナーズは楽しみだ!

# by engekibukuro | 2012-03-29 09:17 | Comments(0)