▼「シアターアーツ」春・50号読了。この号で創刊50号だ。今号では嶋田直哉「演劇時評」での第三舞台の解散公演・鴻上尚史の「深呼吸する惑星」評が出色。即時完売の大評判のこの芝居は、最盛期の第三舞台の客の、当時へのノスタルジアで支えられているだけで、その世代の後の客の目でみれば粗雑でつまらない芝居だという・・。これは同じ号の第三舞台の大ファンだった林あまり「観客の目から見た第三舞台」と併読すればよく解る。うすうす感じていたことをはっきり書いてくれた。立木あき子「舞台芸術の心が問われた一年ー2011年舞踊回顧」は、昨年の各種舞踊作品が質の高いものが多く、被災地でも大好評で迎えられたと・・。舞踊は災害を直接あつかったりするジャンルではない・・が、人間を元気ずけたり癒すのは、扱っているものがなんであれ芸術性の高さだけだということを証明している。これは演劇でもいえること・・。農村での生活苦で明日にでも一家心中しようとする家での未亡人が、村祭りでの旅芝居の面白さで、心中を思いとどまる元気がでたという話があるが、その芝居が一家が陥った現実の苦難をあつかったものではなく、ただほんとうに芝居として面白かったからあdけで・・。
この号でわたしはシアターアツの編集委員を交代する。8年間やっていて色々な優秀で面白い方々に知り合えた。みな外国体験が豊富で、外国語もでき、演劇の基礎教養もしっかりした方々で、私はいずれもダメで、自分流でなんとか過ごさせていただいた。もうトシ・・蜷川幸雄に”なんで蜷川さんは芝居をこんなにたくさんやるの・・というのに”芝居をやらなければ只の年相応のジジイでしかない”からだと・・。只のジジイやババアが悪いわけではないが、芝居を観たりそれを書いたりしていれば”只のジジイ”とちがう存在になるかもという幻想・妄想を妄信してもバチはあたるまい・・。
# by engekibukuro | 2012-04-02 07:39 | Comments(0)