人気ブログランキング | 話題のタグを見る

2月18日(土)M「少しはみ出て殴られた」MONO

作・演出:土田英生、吉祥寺シアター。
 オリジナル・メンバーの水沼健、奥村泰彦、尾方宣久、金替康博、土田英生に岡嶋秀昭、ヨーロッパ企画の諏訪雅、中川晴樹が加わった・・。舞台は、窃盗や万引きなどの軽犯罪の犯罪者専門の刑務所。水沼と土田が看守であとは受刑者、囚人への融和政策で看守と囚人は刑務所内では仲よくしようということで、双方まるでお仲間のように過ごしていたが・・、管轄してる国家マナヒラが分裂し、マナヒラとヒガシマナヒラの二国ができ、おまけに極小地域のコチまで独立した。マナヒラ出身は看守の水沼、囚人の奥村、岡嶋、ヒガスマナヒラ出身は囚人の尾方、金替、諏訪、看守の土田、コチ出身は囚人の中川一人・・。それまで囚人も看守もゲームとか踊りとか、和気アイアイと過ごしてきたのに、出身地がそれぞれの分裂国家になってしまって、生まれた国への忠誠というかアイデンテイテイに目覚めてしまい、一寸した行き違いなのに話がおおげさになってきて、小さな亀裂が国分裂を尾反映してどんどんエスカレートしてゆき、看守、囚人いりみだれての大乱闘の騒動になり、怪我人続出して・・。この芝居が現代の寓話で、あたら国家とか宗教とかが表立つと、それまで仲良く暮らしてきた他民族や他宗派と殺し合いになるという今の中東世界や、MONOは京都の劇団だから、いまの大阪の橋下政治とか、連想の範囲はとても広くて・・。ただ、土田の作風がそんなに深刻な書き方をしないから、なんだか隔靴掻痒で、だから大乱闘の場は芝居にしないであとの語りだけですませているぐらいで、物足りない感じが拭えない・・・。が、土田特有のリズミカルな台詞を楽しむのがMONO必見法で、今回もそれは期待にかなった・・。
▼アフタートークはこの芝居の舞台美術の柴田隆弘とMONOの役者でまた有能な舞台美術家でもある奥村泰彦の二人の話が土田の軽妙な司会で面白かった。どうもいままで奥村と水沼の顔と名前を混同していたみたいで、このトークではっきりした・・。
・おもろ。カップル、昔のジャン・ギャバンの「望郷」やイングリット・バークマンとハンフリー・ボガードの「カサブランカ」なんかの話で勝手に盛り上がって、面白かった・・。

# by engekibukuro | 2012-02-19 09:35 | Comments(0)  

2月17日(金)















▼週刊文春の裏のグラビアでモスバーガーの第1号店が、すぐそばの成増だと知っていってみた・・。その頃のオリジナルな発明試作だたったというテリヤキバーガーを初めて食べた・・。フム、なるほど・・。

# by engekibukuro | 2012-02-18 08:13 | Comments(0)  

2月16日(木)M「三人姉妹」文学座、紀伊国屋ホール

作:アントン・チェーホフ、訳:坂口玲子、演出:坂口芳貞。

 坂口さんは、俳優としても力のある人で好きだし、演出家としても、昔の久保田万太郎の芝居から、近年の渡辺徹主演の「花咲くチェリー」も急所をきちんと押さえたバランスの取れた良い舞台で好きだった。しかし、今回の舞台はちょっと違和感を覚えた・・。パンフレットでロシヤ文学者の沼野充義がけいているように、”・・チェーホフの芝居では劇的な事件は舞台の上ではあまり起こらない・・・、チェーホフはそのように人目を引く効果を安易に求めず、舞台の上では人間どうしの微妙な関係と心理のひだに集中したのである”。
 この舞台が、劇的な事件をどうのというわけではないが、人物が一人ひとり突出しすぎる感じを否めなかった・・。特に、ソリョーヌイ、このイリーナに横恋慕する陸軍大尉が変人なのは、わかっていたが、ここまで表立って自己主張する演出ははじめてでびっくりした・・。どうも他の人物たちも、微妙な関係とか心理のひだのということより、人物の特性の表出が勝ち、そうごの人間関係の密度が薄い・・。世界中で現在でも上演され続けているこの名作は、多様な演出があっていいし、どんな演出にも耐えられる作品であることは確かなので、この舞台も人間関係の希薄さ、孤独感、それでも建前に沿って生きてゆかねばならぬ人間とうものの宿命を強調したとも取れて、それは塩田朋子のマーシャと高瀬哲朗のクルイギンの夫婦が示しているのだろうとも思う・・。

# by engekibukuro | 2012-02-17 08:37 | Comments(0)  

2月15日★M「田園に死す」★★S「カラス」

★原作:寺山修司、脚色・構成・演出:天野天街、音楽:J・A・シーザー、企画:流山児祥、流山児★事務所、ザ・スズナリ。水曜の昼の部でも満員、寺山人気は衰えない・・。舞台は天才・天野の才気がみなぎる大活気で、天野に任せた流山児のアイデイアの勝利・・。開幕とたん、舞台中央の柱時計の故障問答を沖田乱と平野直美が際限なく反復する、天野の世界への即座の入り口だ・・。反復の限度の天野の正確な計算、設計が見事なのだ。あとは天野マジックが設計図どうりに意表、意表と展開し、だからといって寺山テイストを壊すのでなく天野流に活かして、寺山ワールドも天野ワールドも、色んな役者、沖田や伊藤弘子、坂井香奈美も流山児の劇場をゆるがせる歌も、色んなものが一挙に楽しめる随分とお得な舞台なのだった。一応主役の、寺山の少年時代を第一に演じる新次役はキャラメルボックスの大内厚雄でキャラメルのファンまで企画・流山児は狙っているようだ・・。
★★振付・出演:ジョセフ・ナジ、音楽・演奏:アコシュ・セレヴェニ、世田谷PT。
凄い舞台だった。旧ユーゴスラビアの辺境に生まれたナジとハンガリー出身のセレヴェニ。この二人の完璧なコラボレーション、それと照明デザインのレミ・ニコラの輝く暗さの照明で舞台の密度が緊密に成ってゆく時間の素晴らしさ、様々な楽器を駆使して、いままで聴いたことが無いような音楽が即興のピュアな現在を感じさせ、ナジが白いキャンバスとおぼしき白面にスミで文様を描いていつつ、微動を重ねていき、クライマックスに大きな壷に入って姿を消したと思ったとたん、全身真っ黒の姿で出て現れた・・、墨の壷だったのだ・・。これでナジはカラスの仲間にどうどうと成ったのだ。そのカラスがキャンバスにカラダを寄せて描く描く絵画、ジャクソン・ポロックのアクションペインテイングをまざまざ思い出させるアクション、そのキャンバスに描かれた絵が目を見張るような・・抽象表現主義の素晴らしい絵が自然に出来上がっているのだ・・。この独創的な黒く輝く舞台は終生忘れないだろう・・。
▼”元気そうでよかった”と流山児も病院にお見舞いに来てくれた伊藤弘子さんも言ってくれた・・。

# by engekibukuro | 2012-02-16 11:35 | Comments(0)  

2月14日(火)M「トカトントンと」地点、KAAT<大スタジオ>

原作:太宰治、演出・構成:三浦基、美術:山本理顕。
 原題「トカトントン」に三浦は”と”をつけた・・。この芝居は、「トカトントン」と同じ太宰の「斜陽」によって構成されている。この小説が発表された終戦直後の状況・・、玉音放送が流れ、戦後の復興の槌音(トカトントン)、新しい民主主義のいぶきを示す、若々しいデモ行進・・、それらの時代の様相に複雑に反応する太宰・・。時代の息吹を感じさせるデモを見て、いったんは感嘆するのだが、どこからかトカトントンという音が幽かに聞こえてきて、そういう高揚した気分がたちどころに消えてしまう・・。”いったい、あの音はなんでしょう。虚無(ニヒル)などと片づけられそうもないんですま。あのトカトントンの幻聴は、虚無(ニヒル)をさえ打ちこわしてしまうのです”周囲に太宰ファンがたくさんいた若い頃、この小説を読んだときは、この音がネガテイブの極点の音だと感じたものだが、そういうものとしての「トカトントン」も含まれるが、三浦は日本の近代化の過程としての戦後の時代と関連させている・・。だから、トカトントンという音が復興の槌音風の大きな打楽音で、別にラストに子どもが安部聡子と連れ立ってでてきてトカトントンと叫ぶのだが、どうもソレらしいトカトントンは聞こえてこなかった・・。プレスシートその他の三浦の言説と、舞台の独特の三浦台詞術、身体行動、背後の壁面全面の電子美術などとの関連など、面白いのだが、ややこしくて整合的な印象に落着しない・・。一番印象に残ったのは、しばらく見なかった安部聡子の顔が実にいい円熟した顔になっていたこと、この人の表情はとても鋭角的で、「青年団」にいたときの「S高原にて」での冷酷な女性を演じた時の印象はいまでも生々しいが、今回の舞台の柔らかい表情はとてもイイ感じだった・・。
▼KAATに行く前に横浜美術館で「松井冬子」展を見た。日本画の英才で絵はさすがだが、タイトルが「絶え間なく断片の衝突は失敗する」とか「この疾患を治癒させるために破壊する」などのおそろしく観念的なもので、題名と絵を見比べるとなんだか面妖で・・、しかしこの取り合わせが魅力だと思うマニアックなファンが大勢いりらしいのは、わかる気がする・。コレクターが沢山いるようだ。美術館のコレクション展で写真家・石川真生の沖縄の写真をみて、バランスがとれた気分になった。
・崎陽軒のしゅうまい弁当は横浜で買ったほうがうまいね・・。

# by engekibukuro | 2012-02-15 08:42 | Comments(0)