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12月24日S「日本語がなくなる日」OFFOFFシアター

作・演出:大石哲史、北京蝶々。早稲田劇研から自立した劇団として独立した二回目の公演。大石の特性が際立った芝居だった。近未来の話。場所は南極、第90次越冬隊の宿舎の食堂。この頃の世界には悪質な動物経由のウイルスが蔓延していて、死者が増え続けていた。無菌地帯はここ南極だけなのだ。芝居は越冬隊の後続隊として生物学者の一行が到着するところから始まる。この学者は妹と恋人とメイドを連れてきた。この一行は恋人を除いて、父親の方針で東南アジアで育てられ、日本語が喋れない。父親は世界に機能しない日本語など覚えても価値がないという考えだ。だからこの一行には日本語コーチがついている。かれらの言語は東南アジア唐の現地語と中国語の混成語で、日本人職員には全く理解できない。彼らは自分尾コトバにいこじに執着している。南極にも危機が迫ってきて、ペンギンに異状が発生した。日本はいまや絶滅状態。そういうシチエーションでの言葉のギャップが深刻な事態を次々と生む。ラストは世界中を行き来していた学者と妹だけに抗体が出来ていて生き残るが、他の日本人は絶滅する。大石はこのギャップを臨場感をもたらす細部として描き出し、緊張感があふれる舞台を創りあげた。またこの芝居の底からは、世界の中で日本と日本語はいかなる価値があるのかという問いかけと、日本が近未来に絶滅する予感がリアルに感じられた。

by engekibukuro | 2008-12-25 12:11 | Comments(0)  

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