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3月27日M★「私のかわいそうなマラート」S★★「転校生」 

作:A・アルブーゾフ、演出:小笠原響、名取事務所、シアターX。1964年のソ連邦時代の作品だ。幕開きは逸ソ戦さなかのレニングラード(現サントペテルベルグ)。空爆で町は壊滅状態、焼け残ったアパートの一室で16歳の少女がうずくまっている。そこへこの部屋の持ち主の18才少年が帰ってきた。二人は一緒に寝起きする。この部屋にもう一人の18歳の少年が病に倒れて転がり込んできた。3人の共同生活が始まる。この少女を二人の少年が愛してしまう。この三角関係を少年期、二人の男が戦場から帰還した青年期、さらに事態が変化した中年期と三期にわたって描いた劇だ。この3人を伊澤真紀、林次樹、金子由之(劇団昴の「ゴンザーロ殺し」で注目された)という実力俳優がほぼ完璧に演じた。芝居は見事に終始した。だが、逆によく演じ抜かれると返って戯曲の骨格の弱さがあらわになった。三人の関係の変化も、二人の男に愛される女の苦悩もきちんと描かれてはいるのだが、シンプルに過ぎて陰影が薄く、余韻が残らない。しかし、3人の俳優が最善をつくした好舞台であったことは確かだ。、
★★作:平田オリザ、演出:飴屋法水、F/T,東京藝術劇場。初演の静岡の劇場より広いここの中劇場を客席を含めて女子校生たちは我が物顔で縦横に使い切って、初演よりスケールの大きい劇になった。出産、少女期、72歳の転校生、自殺する少女を含めて、「生命」そのもののインパクトが打ち出されて、飴屋の目論見が見事に果たされた。少女たちの演技も初演より格段に上手になったし・・。それにしても72歳の転校生が現れると客席が異様に静まり緊張する空気がながれる・・・。この謎の転校生の姿は忘れられないだろう。

by engekibukuro | 2009-03-28 12:35 | Comments(0)  

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