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3月28M「少女仮面」(作・演出:唐十郎)東京芸j術劇場小H

F/T参加、演劇/大学09春、近畿大学藝術学科舞台芸術専攻、唐十郎演劇塾公演。近畿大学1年生の春日野八千代を演じた久保田友理が素晴らしい。まさに驚異的な演技だ。唐の演劇、言葉と身体は演劇の垢に汚れていないまっさらな若い肉体と魂を一挙に、無媒介に解放する力をもっていることを、唐ゼミの若い俳優たちの同じ例に連なって、この舞台でも堂々と証明した。それによってこの戯曲が新しい光を当てられ、セリフの一つ一つが輝かしく粒だった。唐のセリフのリズムに適合する心と体をもった天与の資質に恵まれた女優だ。さらに貝を演じた松山弓珂も男役春日野の可憐な相手役として、十分なコントラストを成立させていた。初演の早稲田小劇場の白石加代子と吉行和子を彷彿させた。腹話術師を演じた小林徳久も状況劇場公演での根津甚八を思い出させた。この芝居の男と女、仮面と本体、ウソと真実のあわいの悲喜劇の渦そのものを肉体という容器の中で攪拌し、何処かへに昇華するダイナミテイが久保田の演技で表現され放電された。さらに唐の満州への憧憬、国賊を殺した甘粕大尉(大杉栄)とのかかわりの不気味さ、の本の暗部へのイメージもこの戯曲の含有物だということも、この舞台が光源として感じさせたのだ。

★誤記訂正のお詫び  3月28日付けの劇評の上から6行目”貝を演じた中田有紀子”と書いたのは”貝を演じた松山弓珂”でした。4月3日に訂正いたしました、また”春日野を演じた久保田友理”を・有理・と誤記してしまいました。中田さん、松山さん,久保田さん、近畿大学関係者の皆様、 大変失礼いたしました。心からお詫びいたします。

by engekibukuro | 2009-03-29 11:14 | Comments(0)  

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