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5月4日MS「日本語を読むその2」シアタートラム

ドラマリーデイング形式による上演。若手演出家による上演で以下の3本。
★「ふたりの女」(作:唐十郎、演出:長谷川寧)。身体表現やパフォーマンスを軸とした演出家(富士山アネット)だそうだ。六条/アオイが出没する精神病院を舞台にした唐版源氏だが、白昼夢のような世界を、俳優の身体をダンサブルに振付けて、それが言葉の生動感を亢進させて、とてもスリリングな迫力たっぷりの世界をつくりだした。なかなか切れ味鋭いセンスを持った演出家だ。それに応えて久世星佳人、谷川昭一朗らかその世界を十分に盛り上げた。
★「さらば、映画よ」(作:寺山修司、演出:扇田拓也(ヒンドウー5千回))。去年の「その1」で扇田は清水邦夫のテクストでト書きを読む係りが俳優に強圧的に介入する演出をしたが、今回も松重豊と吉見一豊のホモ同士の二人芝居にト書き読みが介入する趣向だが、今回はそれが微弱でクセの強い役者の独走を制御できなかった感じだ。話もややこしいし・・・。
★「棲家」(作:大田省吾、演出:赤澤ムック(黒色綺譚カナリア派))。小林勝也と草村礼子の老夫婦、ト書きと娘が久世星佳。この舞台はことさらの演出がみられない。小林と草村が椅子に坐ってテクストを淡々と読むだけだ。しかし、これが成功した。テクストの真価を細大もらさず、聴かせ、感じさせた。妻に先立たれた老人が長年すんだ家の建てかえ中の現場にきて亡き妻と会話を交わす。特に波乱の無い平凡な人生を二人で思い出すのだが、その平凡さの真実が、夫婦のとくにこと挙げしない静かで、一寸セクシーでもある愛情が、砂に水が浸み込むようにじわじわ感じさせた。静かな感動を呼びおこす。小林と草村が素晴らしい読み手だった。とくに小林は名優の域に入るリーデイングだった。演劇集団円の初演は観ているはずだが、こんな良い作品だとはしらなかった不明をj恥じる。小林・草村のおかげで大田省吾を再発見した気持ちになった。

by engekibukuro | 2009-05-05 08:00 | Comments(0)  

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