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8月5日M「花とアスファルト」青年団リンク 青☆組

作・演出:吉田小夏、春風舎。ある団地のお話。出てゆく人が多くて、入居者が減っているこの団地の7号棟に
熊が入居してきたという奇想天外な話だ。吉田が愛読している川上弘美の小説からのアイデイアだというが、むろん芝居で役者がきぐるみで熊の扮そうしをして出てくるわけではない。普通の青年だ。このクマさんと、団地の様々な交流を描く。特に独身の老婦人とピクニックなどにゆき、団地のギスギスした人間関係や暮らしの心もとなさをそれとなく癒す存在として描かれる。吉田の団地の住人たちのを描くタッチが独特で、その淋しいような、愛しいような雰囲気は魅力的だ。クマを演じる荒井志郎はこの難役を演じて、心優しいクマだと感じさせるが、団地にクマが住むという外貌の異様さを伴わないと、吉田の想定しているはずの断絶や異質感を感じることは一寸難しい。が、あえてそれに挑戦して善戦した印象が代替する。吉田は”不倫した夫の愛人そっくりに整形手術する妻”とか”なんのお前触れもなく2階にゆくわよといってそこで自殺する母親”とか、平凡な日常がおもいもしない異変で様相が激変する芝居、平穏な日常の底の不気味なもののイメージ、それをキイイメージにする芝居がユニークで魅力的な劇作家だ。今回のクマは団地に愛想がついて北の国へ帰ってしまうが、芝居のキイイメージとしてはいまひとつ印象が薄かった。

by engekibukuro | 2009-08-06 08:34 | Comments(0)  

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