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2月23日S「上海バンスキング」シアターコクーンク

作:斎藤憐、演出:串田和美。16年ぶりの再演。わたしは79年のオンシアター自由劇場の初演も観ているし、博品館、コクーンでの再演も観ていて、串田が監督した韓y映画も見た。初演は六本木のガラス屋の地下の狭い劇場。幕が開くと全員が楽器をもって演奏しだした驚きが忘れられない。だから、わくわくしながら観にいった。開幕、上手かから笹野高史がトランペット、下手からクラリネットの串田が吹きだすと満場が拍手、吉田日出子が登場するともう割れんばかりの大拍手。昔の客と、初めての客でいい按配に埋まっている感じ。久しぶりの舞台の吉田に期待と不安が混じっていたが、多少太っておばさんぽくなってはいたが、歌は以前に増して艶があり、芝居もむしろとんがったところがなくなって、奥が深くなった。特に二幕目からはこのヒロインの存在感があたりをはらって、吉田の芝居に吸い込まれるようになった。これも、初演のときは無名だった笹野や大日向文世はいまや大ベテラン、他のメンバーも経験を積み、黒テントの服部吉次の中国人の召使も味があり、その頂点には串田がいて、その人たちが吉田を盛り立てていることも大きく、全員の吉田に対する敬愛を感じさせた。それに近頃あまり聞かないフルバンドのジャズ演奏がミナ円熟味がまして、実に楽しい。この日本から上海に逃げ出したジャズメンたちの無手勝流の生き様を描いた芝居は、近代、昭和の日本人の感性のアンビバレンツをジャズを通して描いた物語として、日本人の生活感の基底をえぐったもので、それは軍人に強要されて「海ゆかば」を演奏させられたとき、それをジャズっぽくアレンジして演奏してしまうシーンが、
「海ゆかば」に半ば感動してしまうような穴ができるところに顕著だ。この物語は、大きな物語がまったく失われた今の日本人の心の琴線に触れた。物語作者としての斎藤を大きく再評価しなければならない芝居だった。この舞台の恒例の終演後の劇場ロビーでのミニコンサートも実現されて吉田がたっぷり歌って、客は大喜び。サービス満点の楽しい晩だった。

▼メモ。プリンターのインクを買いにリビンへ。インクと豚のバラ肉、ウイスキー1本を買う。インクが1種類足りず池袋のビッグカメラへ。帰って東海林さだおのレシピでチャーシューを作る。500mのペットボトルの頭を切って30分ゆでたバラ肉を3時間漬ける。肉は糸で縛る必要はなくて、生醤油だけで漬ける。酒とかにんにくとは一切不要。これはウイスキーやビールのつまみに絶好、チャーハンにも使える。次号の「JOIN」に書いた「私の初舞台」の校正ゲラをFAXで送付。夜は渋谷のシアターコクーンへ。前の席に斉藤憐がいた。帰宅、湯豆腐とレタスとチャーシュウーの中華風サラダ。

by engekibukuro | 2010-02-24 12:13 | Comments(0)  

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