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4月23日(土)M★文学座S★★新国立劇場

★久保田万太郎の世界「三の酉」「夜長」(演出:黒木仁)新モリヤビル。「三の酉」は戦後書かれた小説を黒木が脚色したもの。幼い頃震災で両親を亡くした年増芸者(清水馨)とお馴染みの旦那(大滝寛)が、座敷で三の酉にまつわる思い出話をしている。暗転、同じ座敷のテーブルに陰膳がある。芸者は死んだらしい。旦那は陰膳に手向けの一句を添える。「たかだかとあわれは三の酉の月」、あわれの冷気が舞台をよぎる。「夜長」は遊び人の夫とかんしゃくもちの女房のこじれ話で、一人息子が偽装自殺で両親を諌める。三木敏彦、吉野由志子、中村影男ら達者な役者が出る。万太郎の芝居の演技は酔わないで(自己陶酔の危険性)、押さえどころが肝腎。そこらへんの兼ね合いが観ていて面白い。
★★「西埠頭」(作:ベルナール=マリ・コルテス、訳:佐伯隆幸、演出:モイーズ・トウーレ)新国立劇場とフランスの劇団イナシュベとの共同作品。中劇場 特設舞台。広い空間の暗い裸舞台。大都市の吹き溜まりの荒廃した埠頭の倉庫に住み着く難民一家と中心部からきた、事業に失敗したブルジョワアと連れの女との暗闇の中での暗闘。2006年に佐藤信が黒テントで演出したが、それはB級ギャング映画のような面白さが横溢していた。今度の舞台は、広い空間を使っての、ダンスも混じるスペクタクルだ。若い俳優を、小林勝也、津田真澄のベテランが支えた。演出家は「コルテスから学んだことは、ちゃんとした人間になること」だというが、それぞれの登場人物が自らの尊厳を賭けた闘いを貫徹するコルテスの精神が十分感じられる舞台だった。
▼メモ。四谷三丁目から文学座へ。終わって初台へ。ドトールで大笹吉雄「日本現代演劇史」(昭和戦中篇Ⅱ)読了。子役時代に会ったことがある俳優や演出家のことが書いてあって懐かしい。夜は新国立劇場。帰宅、鍋焼きうどん。

by engekibukuro | 2010-04-24 10:33 | Comments(0)  

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