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7月30日(金)M朗読劇「少年口伝隊一九四五」

作:井上ひさし、演出:栗山民也、新国立劇場 演劇研修所(4期生)公演、新国立劇場。原爆の被災に遭い、孤児になった少年3人が、原爆の被災で輪転機が壊れて、新聞発行不能になった中国新聞の代替策で、新聞の記事になるべき情報を町々の街頭で口頭で伝える仕事をする。この少年達の仕事や暮らしが中心だが、井上さんらしく、原爆の投下、被災、その激甚な被害状況の我々がかなり知っている事柄を、改めて3人の少年の物語の背後に、整理して核心をきちんと示した。特に、被災後の廣島が水浸しになった山津波、台風の被害の原爆の被害をさらに累乗化した惨禍の描写は息をのむ。舞台の前面に14人の男女の俳優が椅子に座る、背後に、ギターを弾く宮下祥子。この朗読劇は、2008年の2期生が初演して、3期生、4期生と受け継がれてきたものだ。私は初見だが、、14人がそれぞれのパートをきちんと演じ、廣島弁も自然で、老け役も少年役もちゃんと演じて、これは研修生として当然なはなしだが、総体に演技のレベルの向上が感じられ、この名作を栗山の演出のもとにほぼ十全に表現できていたことを喜びたい。3人の少年はその後原爆症で死ぬ。この少年達の記憶を風化させないために、毎年上演すべきだろう。

▼メモ。芝居が終わって、久しぶりに池袋の地下の喫茶店フラミンゴにより、佐藤優「日本国家の真髄」を読み出す。東武デパートでカツオを買い、今晩は一人なので、檀一雄の「檀流クッキング」のカツオのたたきと、丸元淑生のレシピで鶏レバーのシチューをつくり、ウイスキーを飲み、メシを喰う。

by engekibukuro | 2010-07-31 11:17 | Comments(0)  

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