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10月19日(火)M「グロリア」(作・演出:早船聡)

ハイリンド+サスペンデッズ、劇小劇場。
 第二次世界大戦末期の日本軍が、和紙でつくった直径約10メートルの風船に爆弾を吊るしてジェット気流にのせて飛ばした。これがアメリカ本土爆撃を目的にした風船爆弾だ。約9000個放たれたが、そのうち一個がアメリカ・オレゴン州で不発弾に触れたピクニックにきた女性一人の子供5人が爆死した。
 この芝居の幕開き冒頭の場面は、このアメリカ人の爆死のシーン。次のシーンは現代の日本の病室で、祖母の臨終にたちあう倒産寸前の会社の社長がいる。病院では祖母が書いた自分史が評判で、戦時中風船爆弾に係わったことが書いてあるらしい。ここから一挙に戦時中に戻り、女学生だった祖母一家の生活が描かれる。ただ、爆弾をつくったようなシーンは出てこないので、爆死したアメリカ人と戦時中の女学生の関連が曖昧で、なんだか腑に落ちない芝居だった。

▼メモ。津野海太郎著「したくないことはしない 植草甚一の青春」を読んだ。植草はわたしの密かな師だ。映画もミステリーもジャズも海外文学も植草から学んだ。殆ど全部読んでいる。感覚とイメージを基礎にした映画や小説への接し方が、当時の左翼教条主義の硬直したつまらなさから救ってくれた。10代で読んだ「映画の友」のたくさんの洋書をヒモで縛って、それをもってタクシーにのりこむ写真と、そこに書かれたモダンジャズについての文章を読んだときの衝撃が忘れられない。そのころはまだマイナーだったが、いつかブレークするのを確信した。案の定、植草は60歳すぎてから大ブレークして、若者の憧れの的になった。この本は、ほとんど知っていることが多いが、わたしの記憶の抜けた箇所や未知の事実や新しい知見で補完してくれた。全巻舌なめずりするようにして読んだ。

by engekibukuro | 2010-10-20 11:02  

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