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10月24日(日)「おそるべき親たち」tpti

作:ジャン・コクトー、台本:木内宏昌、演出:熊林弘高、東京藝術劇場小ホール。
 まことに見事な舞台だ。中嶋しゅう、佐藤オリエ、麻実れい、中嶋朋子という現在の日本の俳優の最上位の実力俳優がその実力を存分に発揮し、新人の満島真之介も要の息子の役をベテランのおじけずにアンサンブルにきちんと参加している。とくに久しぶりの佐藤オリエが舞台を圧する存在感をしめし、劇の中核を担ってあますところがない。これだけの俳優を揃えられるtptは根拠地ベニサンピットを失っても、底力の持続があきらかになってほんとうに嬉しい。
 上流階級の崩壊する家族を、ビター風味の喜劇性をおびさせながら、コクトーはゲームのように冷酷に追い詰めてゆく。次の展開が読めない、シチエーションの意外性が外の世界から切り離された室内劇ながら、ドキドキさせるようなミステリアスで精巧な機械を組み立てるような作劇術。これをほぼ完璧に舞台化できているのは演技陣をうまく統括できた演出の力だ。上流階級の家庭の腐敗から脱出するため、下層の健気に生きている女性を崩壊劇の巻き添えにしてしまう悲劇。前世紀のブルジョア演劇の最後の光芒を感じさせる舞台だった。ただ、舞台の出来が完璧だからこそだからと思うが、観終わって原因不明の一種の嫌悪感が残る。これは多分、あからさまなラストの母子相姦のシーンからくるのだろう。近親愛が人間社会を崩壊させる人類普遍のタブーであることが如実に感じられたからだろう。
▼メモ。シアターアーツ劇評講座「ポストドラマ演劇」が東京藝術劇場の会議室で開かれた。新野守宏さんの司会でゲストは錬肉工房の岡本章さん、慶応大学準教授のドイツ演劇専攻の平田栄一朗さん。レーマンの名著「ポストドラマ演劇」を中心にした講座だが、3人の話で理解があいまいだった「ポストドラマ演劇」がすこしづつほぐれてわかってきた。
・ナ・リーグのリーグ優勝はサンフランシスコ・ジャイアンツ。強豪フィリーズにを競り勝った。ア・リーグはレインジャーズ、両リーグとも新興勢力の台頭でワールド・シリーズが楽しみだ。
・「菊花賞」ずううと追いかけてきたヒルノダムールがこここそと思って勝負したが、こなかった。

by engekibukuro | 2010-10-25 12:49  

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