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10月(金)M★「長屋紳士録」S★★「ゴルトベルク変奏曲」

★原作:小津安二郎、池田忠雄、演出:柄本明、東京乾電池、座・高円寺
 小津の名作映画の舞台化。長屋の後家さんが、迷子の男の子を押し付けられて、大迷惑をこうむるが、2.3日置いてやるうちに、可愛いくなってきて、自分の家の子にしようと決めたところに、行方知らずの息子を探していた父親が現れる。後家さんはそれを喜ばざるをえないほろ苦い話だ。その後家さんを角替和枝が演じる。この角替の様子も芝居も、往年の松竹映画の名脇役・飯田蝶子にそっくりの面白さ。他の役者も、そのころの松竹の脇役陣の坂本武、川村黎吉、日守新一、殿山泰司、吉川満子、桜むつ子などを思い出させる芝居をしていたな・・・。東京の下町に暮らす人々の冷たいような、あったかいような人情の機微は銀座生まれの柄本が熟知している世界で、独特の雰囲気を醸しだした芝居だった。

★★作:ジョージ・タボーリ、翻訳:新野守宏、演出:仲村崇、劇団俳優座文藝演出部 演出発表会、俳優座稽古場。キリストの受難劇を上演する劇団のステージドアもの。作者は父親がナチスの強制収容所に入れられた入れれユダヤ人の息子で戦後もドイツに居住した。この芝居は聖書の知識がないと享受できにくいし、ユダヤ人がキリストを描く複雑さも潜在しているようだ。しかし、3時間の手ごわい芝居を、ちゃんと上演を成し遂げて、ドイツの問題作を紹介したのは意義のあることだ。それにこれを1000円の料金で観せたのも良心的だ。

by engekibukuro | 2010-10-30 10:53 | Comments(0)  

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