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11月12日(金)S「下谷万年町物語」唐ゼミ

作:唐十郎、演出:中野敦之、浅草花やしき裏特設テント。昨年、ここ浅草で上演したものの再演。今回は、オカマの人数をへらして、コンパクトな上演だ。初演の蜷川演出いらい、この芝居は、人数が多い、一種のオカマの物量作戦みたいな芝居だという固定観念があったが、今回は主要人物を掘り下げて密度を濃くする中野の意図が、なかば達成されていた。濛々たるエネルギーの渦のなかで、人物が見え隠れするような芝居の雰囲気が薄くなると、役者の力そのものが芝居を左右する。キテイ・瓢田の椎野裕美子、軽喜座の座長の禿恵が先導して大奮闘で、舞台を築き上げた。昭和23年11月23日、上野の森にたむろすオカマの群れを視察に来た警視総監に襲い掛かり総監の帽子を奪い取ったことから発する物語。その事件を芝居にする軽喜座の面々と、瓢箪池の水面下で興行していたサフラン座から水面上に浮かび出てきた、元SKDの大部屋女優キテイ瓢田の合同公演。話の軸のなる、万年町でオカマたちに囲まれ育ち、いまは軽喜座の演出家の洋一。はてしなくもつれにもつれる物語の今回の上演は、戦後数年の時代の貧しく、猥雑だが、精一杯自分の持ち分を生き抜いた万年町の群像への愛惜の念が、胸に湧き上がる舞台だった。
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by engekibukuro | 2010-11-13 08:52 | Comments(0)  

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