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1月10日(月)M「マニラ瑞穂記」(作:秋元松代)

演出:栗山民也、新国立劇場 演劇研修所公演、第4期生試演会、Aリファーサルリ室。
 なかなか見応えのある立派な試演会だった。秋元の戯曲の魅力と力をまざまざと感じさせる出来映えあdった。明治時代のスペインの植民地だったフイリッピンのマニラ。ドラマはスペインの圧制から独立せんとするフイリッピン人の独立運動に自由民権運動に敗れた日本人が参加する。それにアメリカも独立運動を支援してフイリッピンに上陸してきた。独立闘争が激化してマニラは戦乱のちまたになった。マニラ在住の日本人、独立運動の支援者、娼婦などを日本領事館が保護する。舞台は領事館。そこへシンガポールから密入国してきた南方では名高い女衒のボスと娼婦らも領事館に在留する。独立運動の志士、日本では食えない貧しさから南方へ流れ着いた娼婦たち、領事館の領事や駐在武官、それらの人々が天井に掲げられた日章旗の下で日本とは、日本人とはなにかという問いが、戦乱のマニラを背景におのずと浮かび上がってくるドラマ。一人一人の人間が、実に鮮やかに描き別けられ、それぞれが個性的な劇中人物として生動する、秋元の劇作家としての凄さを改めて感じさせた。日本から棄てられた女たち、それを食い物にしながらも天皇に純一の奉仕しているつもりの複雑な性格の女衒、独立運動の志士と娼婦の交情、それらが屈折しながら運んでゆくドラマの面白さは、芝居の本道を久しぶりに味会った気持ちにさせた。栗山の指導の賜物なのだろうが、研修生たちが懸命に演じて、戯曲の魅力を伝えたのは賞賛に値する。演技力が未熟でも、それを上回る鮮度は今の演劇の世界では充分な価値がある。捨て身で演じた娼婦たちの女優陣、女衒の秋岡伝次郎を演じたCho Yonhoが特に印象に残った。
▼メモ。久しく読もう読もうと思っていて読めなかったステファン・ツヴァイクをやっと読んだ。「ジョセフ・フーシェ」。面白かった。ツヴァイクを読むという余生の楽しみができた。フランス革命、ナポレオン時代、王政復古、あらゆる政体を泳ぎ抜いた政治的人間の栄光と悲惨。この人間をつぶさにスリリングに描きぬく。それとこの本を読むと、フランス革命からナポレオンの時代のフランスの歴史が自然に学べたことが嬉しい。

by engekibukuro | 2011-01-11 08:33  

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