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1月13日(木)S「理解」(作:フジノサツコ、演出:森新太郎)

モナカ興業、OFF OFFシアター。
 病院のはなしだ。この病院の院長はもう退院できる患者なのに入院費を稼ぐため退院をできるだけ遅らせているらしい。それが不満の患者の家族と病院の方針との板ばさみになる看護師たちが、毎日大変な思いで働いている。それと患者と家族の軋轢も描かれ、意識不明の夫の父親の看病を押し付けられている妻とか、わがまま姉の世話でうんざりしている弟とか、お互いの理解がまったく成立しない病院の状況が描かれる。森は舞台前面に一段高い台を置き、そこで登場人物が客席に向って一人ひとり話したり、看護師同士の対話を様式化したり、自分の役以外の人物の台詞を全員が割ってしゃべったりして、無用などろどろした関係の表示を排除して、お互いの「理解」というものの至難さをシンプルに演出した。ラストシーンに全員台の上に整列して左はじのセーラー服を着た、意識不明で入院中だった祖父の孫娘が、その祖父が死んで祖父が好きだった彼女が吹くサキソフォンで「蛍の光」を奏でて、哀切な余韻を残して終わる。

▼メモ。渋谷のシネマライズで「バスキアのすべて」を見た。スプレイペインテイングでと地下鉄や建物に描いた絵が認められ、スターダムへ上りつめたが、可愛がってもらったアンデイ・ウオーホルの死、一流画廊や批評家の蔑視から、ドラッグに深入りして、1250点のドローイング、900点の絵をのこしてわずか27歳で死んだ彗星のような生涯を、バスキアの友人だったタマラ・デイビス監督が、残されたインタビューフィルムで校正したドキュメンタリー映画。名前だけでよくしらなかったバスキアのな生涯をしり、数々のドローイングや絵をたっぷり見られ、なんとも不思議な魅力を秘めているバスキアの人間像を知った。笑い顔が素晴らしい。それに全編に流れるチャーリー・パーカーやマイルス・デビスなどのジャズを中心にした音楽がまた素晴らしかった。そういえば、黒人の有名画家というのはバシキアがはじめてなのか・・・・。

by engekibukuro | 2011-01-14 13:58 | Comments(0)  

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