2月25日(金)S「シングルマザー」(作・演出:永井愛)

二兎社、東京芸術劇場小ホール。
 シングルマザーの話だ。舞台はアパートの一室にあるシングルマザーのフォーラムの事務所。会長の高坂が根岸季衣、事務局長の上村が沢口靖子。といってもこの二人だけで、シングルマザーの電話相談や児童扶養手当とかシングルマザー関連法案への国会審議の傍聴や議員へのロビー活動をやっている。むろん二人とも離婚したシングルマザー。そこへキャバクラ務めの不倫で産んだ子持ち女(玄覚悠子)や、合コンを重ねてやっと射止めた三高の夫が、それがあだになって女を作って、子供3人を抱えて離婚する破目になった女(枝元萌)が飛び込んでくる。上村も女たちも派遣で生活し、パートを掛け持ちして子育てに懸命だ。ある日、実は自分のDVで逃げ出した妻が、このフォーラムにきたといって男(吉田栄作)が訪ねてくる。DVで逃げられたとは言わない男に、夫のDVにたえかねて離婚した上村が敏感に反応する。永井は彼女たちの苦闘を活写する。とにかく大変な毎日をめげずに、なんとか正社員になるために忙しい合間をぬって、各種資格をとる勉強もしている、扶養手当とかいろいろな権利のことも・・。みていてホントに大変だと思うし、彼女達のたくましさに感動する。女たちの天災や不慮の事故でなく、自分で選んだ男との失敗とかもあるが、自分でどうにもならないDVを断ち切れない男も含めて、今現在日本で毎日くらしている男女、子供たちの息吹ををじかに感じさせてくれる永井の成熟を感じさせる傑作だ。わたしが前から注目していたハイリンドの枝元やポツドールの玄覚が根岸や沢口とステキなアンサンブルをつくっていたのが嬉しい限り。ラストのDVが克服できない絶望が逆転するシーンの吉田の演技が目覚しい。メッセージとお芝居が実に巧に融合した、これぞ現代劇だ。
▼終わって神保町の俳句居酒屋銀漢亭へ。俳人・谷岡健彦とお仲間たちと飲む。谷岡さんの週刊金曜日で選ばれた句。・梅が香へ揃ひて背伸びしたりけり
 楽しい晩だった。
[PR]

by engekibukuro | 2011-02-26 13:56 | Comments(0)  

<< 2月26日(土)M「箱」(構成... 2月25日(金)S「シングルマ... >>