人気ブログランキング |

4月9日(土)M「帰れ、いとしのシーバ」劇団民藝

作:ウイリアム・インジ、訳:丹野郁弓、演出:児玉庸策、紀伊国屋サザンシアター。
 W・インジは大好きな劇作家だ。アーサー・ミラーやT・ウイリアムスは偉大なアメリカの劇作家だが、W・インジのユニークな作風もアメリカ現代劇の一角をきちんと占めていた。この芝居は、ジョシュア・ローガン監督により映画化されて、今回の舞台で樫山文枝が演じたローラをシャーリー・ブースが演じて、カンヌ映画祭で作品賞、ブースは女優賞を獲り、さらにアカデミー女優賞に輝いた。出世作「ピクニック」もこの監督で映画化された(ウイリアム・ホールデン、キム・ノヴァック、スーザン・ストラスバーグ出演)。マリリン・モンローが主演した「バス・ストップ」はじめインジの戯曲はほとんどジョシュア・ローガンによって映画化された。日本でも俳優座で浜田寅彦主演で上演された。インジは大成功したのだが死後は自殺した。
 インジの扱う世界はアメリカの中西部のごく普通に暮らす人々の生活。その生活の細部に宿す悲喜こもごもを照らし出す。この芝居の”シーバ”は可愛がっていた犬の名だ。そのシーバがある日いなくなってしまったのだ。子供のいないローラと夫ドックにとってはシーバはいきがいだったのだ。その上、ドックは些細なことに傷ついたのかアルコール中毒になって、しばらく禁酒が守られていたのに、この芝居の後半で下宿させて可愛がっていた女子学生のボーイフレンドのことから再発してウイスキーに手を出す。人生の寂寥に耐えられない感受性を抱く夫婦の暮らし・・。ただ、インジの芝居はアメリカの中西部独特の暮らしや風物の空気が支えている世界なので、翻訳劇ではそのローカリテイのテイストがでにくい。久保田万太郎の芝居を翻訳できにくいのと似ているのかな・・。インジの映画を観てからの話なので、一概にはいえないとは思うが、・・、ローラの樫山もドックの西川明もそういう芝居の性質があっても、良く演じていたと思った。
▼川村蘭太著「しづ子  娼婦と呼ばれた俳人を追って」(新潮社)を読んだ。どくとくの思い込みが充満した、少々読みにくい本だったが、しづ子が最後には行方しれずで消えてしまうまでのミステリアスな叙述、なにより俳句・俳人の世界の一種の奇怪さ、それが日本人の生活にとって独特の位置を占めるサマがヴィヴィッドに描かれていたのに感心した感j。

by engekibukuro | 2011-04-10 09:45  

<< 4月10日(日)MEMO 4月8日(金)M★「パラリンピ... >>