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5月24日(火)M 椿組プロヂュース「ひとり芝居」連続公演

★外波山文明ひとり芝居「四畳半襖の下張り」(作:金阜山人、脚色:原田勤)
★★坂本長利独演会「土佐源氏」(宮本常一「忘れられた日本人」より)
       ・新宿・SPACE雑遊・
★は2回目だ。外波山さん、ますます円熟して余裕たっぷり・・、猥褻裁判で負けたくらいだから、きわどいモノで下手するととんでもなく卑猥になるのを、大笑いの艶笑譚にしているのはエライ・・、だが、客の大部分がしかめっ面で観ていて、笑うのが気がひけるような雰囲気なのはいかがなものか・・・。
★★の坂本さんは2月に胃がんがみつかり、摘出手術をしたそうだが、そんなことを全く感じさせないで元気に演じていた。坂本さんは山本安、木下順二の「ぶどうの会あ」出身、そのご劇団「変身」を結成する。その「変身」に入団したのが外波山文明だ。その「ぶどうの会」の頃、この会に近しい出版社「未来社」で高校、大学時代わたしはバイトしていた。未来社の創業時は、本郷のYMCAの部屋が事務所だった。別の部屋の返品の本が詰まれた部屋で(この部屋は木下順二が住んでいたそうだ)編集者の松本俊次さんの高校の教え子だった伝説の大工・庄幸司四郎さんと返品の再生作業をしていた。本の汚れを紙ヤスリでこすりとり、カバーをかけ替える・・。そのときの未来社の営業担当の小汀良久さん(のちの新泉社社長)の同郷(島根県出雲市)の友達が坂本さんで、本郷で一緒に暮らしていた。だからしょっちゅう未来社に顔にきていて、顔見知りだった。(ちなみに未来者社の創業者・西谷能雄さんの次男が、シアターアーツ編集代表の西堂行人さん)。
 さて、「土佐源氏」も前に一回だけ観ていたが、この女と牛だけには慕われた博労の今は老妻とくらす乞食のきき語りの今回の舞台は、この宮本常一がでだった時が80歳のこの盲目の乞食と、同年齢になった坂本さんが、芸が枯れてきて・・などと違う、円熟を通り越したなにか突き抜けた天地を感じさせる演技で、妙に伝統芸などに接近させない、これぞ坂本さんが育った新劇の演技の高度の達成の金字塔だと思った。すごい!
 二つの芝居の男は、二人とも世間的にはダメ男だが、女には思われ、慕われた。二人とも、女は大勢かまったがウソはいわなく、真心から接したと・・・だから「四畳半・・・」のハナシの女、新橋の芸者で「ねずみ千匹」の名器の持ち主は、いま一緒に暮らしているババアだし、博労の女房は、置いてきっぱなしにしていたところにメクラになって戻ってきたのに、戻ってきたのが嬉しくて親身に世話をして今は橋の下で共にくらすバアサンだ。
それに牛の売り買いが正業だった博労は牛にも慕われて、10年たって売った牛に会っても、モウッと泣くそうだ・・・。そのモウッという牛の鳴き声でこの芝居は閉じるが、その坂本さんの哀切きわまる牛の声が耳から離れない!・・・

by engekibukuro | 2011-05-25 08:43  

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