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6月14日(火)S「縄」(構成・演出:木村真悟)

ストアハウスカンパニー。
 上野ストアハウス・開場記念公演。ストアハウスの上野での歴史がスタートした。”縄”は古来からの祝祭の象徴だった。開場記念にふさわしい・・・が、しかし人間が縄に係わるのはとても厄介だ。舞台に縄の塊が八つあり、それを8人のパフォーマーが崩して、舞台は縄で敷き詰められる。そのなかから1本えらんで、凝視したり、アーチ型に掲げてみたり、たくさんの縄で体に巻きつけたり、頭にぐるぐるぐり巻いたりとかするが、しかし、この縄はあくまで日本的というかロープという呼称が示すようなダイナミックな相手にならなくて、なにか湿潤な、人間と融和しない抵抗感がしっかり潜んでいる。パフォーマーは縄をはって、縄跳びなどもするが、なかなか思うようにはあつかえず、自縄自縛におちいり、テンポの速い音楽に追いかけられてなにかうめきだし騒ぎ出す・・。つまりは縄はお祝いにはなくてはならない付属品だが、一方でj呪術的な力があって、まさに一筋縄ではいかないのだ。パフォーマーは縄との暗闘に疲れ果てたようで、縄の束を背負って退場しだす・・。その縄は韓国、ロシア、エジプト公演の際にソウルやモスクワやカイロの市場であったものも入っているそうで、むしろ人間のパフォーマンスよりも、パフォーマーがさまざまに動かす縄のパフォーマンス、その強度、その美観のほうが印象がつよかった・・。木村が発明した独特のパフォーマンスが一層深化したようだ。開場にふさわしい舞台だった。
▼メモ。関川夏央「子規、最後の八年」を読んだ。素晴らしい本だった。35歳までの年月で日本の俳句、短歌の革新を果たした子規の、結核性カリエスで最後には寝返りも困難になった状態での充実しきった最後の八年間をヴィヴィドに描ききった。一番驚くのは、カリエスの傷口の包帯を妹の葎に換えてもらうのだが、そのときの痛みで号泣するような状態でのその食欲の旺盛さ・・。(あら、マチネーへゆく時間だ・・この項明日に続くことに・・)、

by engekibukuro | 2011-06-15 11:59 | Comments(0)  

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