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6月18日(土)M「オイデイプス神話」笛田宇一郎演劇事務所

『「オイデイプス王」と「コロノスのオイデイプス」より(ソポクレス作 高津春繁訳)』(構成・演出:笛田宇一郎)、イワト劇場。
 テーバイの王オイデイプスは父殺しと母子双姦という二重の罪を犯したことを知ったとき、自ら両眼を潰し、娘アンテイゴーネを連れて流浪の旅に出た。着いた所は、アテネ郊外のコロノス。ここは、かってアポロンが預言した自らの終焉の地についに到着したことを知る。それによれば「畏怖すべき女神の地で苦難は終わり、その前兆として地震と雷鳴が起こるだろう。オイデイプスを迎え入れた者には恩恵が、追放したt者には災いがある」というものだった。しかし、土地の者は、このボロをまとった疲れきった老人が、オイデイプスだとしると、即刻立ち退けと迫るのだった。しかし、オイデイプスとアンテイゴーネの必死の懇請によってアテネ王テセウスはオイデイプスの願いを受け入れる。土地の者やテセウス、辛酸を嘗め尽くした老境を語るオイデイプスは感動的だ。オイデイプスを演じるのは笛田宇一郎。このかって早稲田小劇場・SCOTでの名演技でしられた笛田は、退団後の活動は、その余りの個性の強さで、ともすれば周囲から浮いてしまうという舞台を観ていたが、この世界演劇史最大の人物を演じたこの舞台は、その演技と音声の強度が、演じることができるのはこの人しかいないと思わせるような迫力に満ちた演技だった。昨今の重さを嫌い、軽さを尊重する風潮の中で、自然の悪意と運命に翻弄され苦境に立たされた老王の悲劇は、現在の日本の苦境と重なり、観る者に少しも疎遠感を与えない。土地の者やアテネ王を演じる、武内靖彦、疫蠅以蔵、岩崎健太、アンテイゴーネを演じた黒田真史も笛田を孤立させない強度を保っていた。地震が起こり、雷鳴が響き渡り、オイデイプスは消えてゆく・・。そして、オイデイプスが消えた奥の暗がりから、奇妙な白いスカートをはいた老人が現れて、その奇妙な存在を見て登場人物全員が笑いあう・・。重々しい空気がほぐれて、ワケがわからないカタルシスが訪れる。なにものなのだアレは・・・・。
▼メモ。おもろ。先週の土曜はデイトでこられなかったから、2週間ぶりの泡盛とソーメンチャンプルがホントウに美味い。カップルは現れず、中川君が会いに来てくれた。

by engekibukuro | 2011-06-19 08:24 | Comments(0)  

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