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9月15日(木)M★「新・幕末純情伝」S★★「空のハモニカ」

★作:つかこうへい、演出:杉田成道、パルコ劇場。
 主役の沖田総司は鈴木杏。つか芝居は、ほんとうに久しぶり、10年以上観ていない。すっかりつか芝居の様式がきているんだ・・。どハデな照明、音響、殺陣・・。坂本竜馬、新撰組、勝海舟ら国を憂い、女を愛し、幕末の激動期を生きて死に、時代に殉じた志士たちのドラマ、ノン・ストップの2時間20分の舞台がつかこうへいの一周忌を飾り、追悼した・・。
★★作:長田育恵、演出:扇田拓也、てがみ座、「劇」小劇場。狭い劇場を対面式舞台にした。長田、扇田コンビは「乱歩の恋文」に次ぐもの。それにこの芝居のヒロイン金子みすゞを演じた石村みか(扇田夫人)の三位一体の、これはいい芝居だった・・。26才で自殺した夭折詩人みすゞの詩は今では、特に震災後はポピュラーになり、不幸な伝説の詩人としていとおしむファンも大勢いる・・。長田はそれらにまつわる感傷の渦を断ち切り、みすゞ自体に迫らんとする、複雑な家庭に育ち、女性の童謡・詩の才能など見向きもされず、とくに女性が教育を受けることなど、女として全く害悪だとしている田舎の風土で、西條八十に投稿した童謡が認められ、それを生きるよすがにして、不幸な内縁関係に堪え、さずかった子供を育てていたみすゞ・・。長田はみすゞとその周囲の人間関係を踏査し、その時代の人間の生活や言動をきとんと再現し、みすゞの生きていたその時代の環境の渦中でのみすゞの苦悩や息吹を感じさせた・。短いシーン、選び抜かれた台詞の特徴は、役者が演じる人物に直入できる、舞台でその人物を直に感じさせる業をもっていて、みすゞの当時の擁護者も反感、無理解な人々も同等に舞台に生かせている。だから石村のみすゞの適格かつ哀切感あふれる演技を中心に多様な人物たちがその時代を生きていた。不幸はみすゞだけだはなく、その時代には殆ど理解できない女性の詩人の存在がうとましいく、彼女にかかわってつらくあたる夫も、同様に不幸なのだ・・。扇田の演出は「乱歩の恋文」同様、長田の作劇の特徴を最大限にいかし、特に狭い舞台での人物の出入りのタイミングがこの芝居の凝縮度を高めた。舞台が客席の目の前なので直にみすゞに合ったような臨場感があるが、シーンが剪定されすぎている、人物との距離がなさすぎて、観ていて多少息ずまってしまう気味があるのも確か・・。伝記もののパターンは避けられたのはいいと思うが、この劇の濃縮度は、もっと広い劇場で、距離をおいて広げてゆけば、倍化した舞台になるエキスが詰まっていると思う。井上ひさしの最後の教え子である長田は、師をうけつぐスケールの豊な劇を書く予感を感じさせる能力をこの芝居で示したと思う・・。
・神保町の萱へ。ひさしぶりに出版社・同時代社長の川上さんに会った・・。川上さんの連れの方に、北朝鮮のタバコを貰う。将軍様が吸っているタバコだそうで、パッケージもしゃれているし、味も日本の高級タバコに見劣りしない。昔のソ連や中国の粗悪タバコと雲泥の差だ・・。人民の苦難をよそにこんなタバコを吸っているのか将軍様は・・・。ネームはKANGSON、”強盛”という意味だそうだ・・・。

by engekibukuro | 2011-09-16 12:55  

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