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10月15日(土)M「エレジー 父の夢は舞う」吉祥寺シアター

作:清水邦夫、演出:西川信廣、 プロヂューサー:衛紀生(可児市文化創造センター館長兼劇場監督)、ala Collection vol4。この作品は名優・宇野重吉に当てて書いた作品で、1983年に読売文学賞を受賞した。1人息子に病気で先立たれ、独り住まいの元生物の教師で凧の研究では著名な老人が、息子の内縁の妻だった女優とのかかわりから発した劇だ。浪人はこの女優との仲は険悪だったが、女優が老人の住む住居のローンのことで亡夫が残した雑務で仕方なしに合う・・。そのローンとのかかわりから女優の独身の叔母や求婚されている遠い従兄弟の医師、さらに老人の妻子に逃げられた映画プロヂューサーの弟を巻き込んだ一連の出来事が重なってきた・・。
 誰にでも心がかかえている病的なものや、どうにもならない特異性をもって人は生きてゆかざるを得ないという抗えない真実を清水がヴィヴィッドに各人物をとおして見事に描き分ける。それを本人ではないと誤知して、本人の目の前で悪口をいいまくるというような小さいがスリリングな局面を連鎖させて、最期には女優の事故死に繋がる、切ない片隅のエレジー・・。もうこのような文学性の豊な戯曲は書ける人はいないだろうと思う、清水の才能の豊かさを改めて深く感じた舞台だった。それも、この老人を演じたのが当代随一の名優・平幹二朗だったことがこの芝居の価値を確かにしたのだ・・。かさなってくる不幸を、この孤高の老人は夜に見えない凧を揚げてせめてもの慰めにする・・。他に弟が坂部文昭、女優が山本郁子、叔母が角替和枝、意思が大沢健、みな平のオーラの中できちんと役を生きていた。とくに角替えが壊れているような初々しいような叔母を印象深く演じていた。平に出演を承知させたプロヂューサーの衛紀生のヒット作品だ・・・。
▼メモ。演劇評論家の菅井幸雄さんが84歳で亡くなった。ついこの前まで劇場でお見かけしたのに・・合掌!・おもろ、ひさしぶりに横浜のコマツ夫婦がきた・・。株は今は塩漬けになって・・と。中川君は娘さんに会いに行った。あとはカップル。今日の「エレジー」は楽なので全シートにバラが一輪おいてあった・・。それをもって帰宅・・・。

by engekibukuro | 2011-10-16 08:41 | Comments(0)  

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