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1月10日(火)S「下谷万年町物語」シアターコクーン

 作:唐十郎、演出:蜷川幸雄。
シアターコクーン リニューアル・オープン公演。1981年渋谷パルコ劇場での初演時の蜷川演出のスタッフ、美術:朝倉摂、照明:吉井澄雄。

 主役3人は、宮沢りえがキテイ・瓢田、藤原竜也が青年(洋一)、西島隆弘が少年(文ちゃん)を演じた。3人とも舞台前面の瓢箪池に何回も飛び込む大熱演。3時間半もの舞台を、唐独特の台詞も動きも自分のものにしての熱演は、長年唐の人物像、唐芝居のテイストに馴染んできたものにとっては多少の物足りなさはあったにしても、3人の戦後演劇が生んだ天才唐への畏敬の念、蜷川への信頼が演技全体にみなぎる誠実さに、熱演自体が純粋に価値が生ずるという希有な舞台が成立した。その熱演の3人を唐的世界に招じ入れ、下谷万年町、瓢箪池の世界の人物に染め上げたのが、元状況劇場で唐と共に活動してきた金守珍と六平直政だ・・。この二人が、唐芝居の濃厚なテイストで舞台を味付けする役割を果たした・・。3幕目の六平の上野の森で警視総監の帽子を強奪したオカマの頭目のお市のど迫力は舞台を揺るがした・・。さらにオカマの群像の中で際立っていた、初演にも同じ役ででた、アングラ出身の大門伍朗、浅草の軽演劇の劇団軽喜座の座長を演じた、大衆演劇の重鎮沢竜二が舞台を引き締めた・・。久しぶりの観劇だったが、やはり芝居はイイと思わせてくれた舞台だった。

by engekibukuro | 2012-01-11 11:59 | Comments(1)  

Commented by 柾木博行 at 2012-01-13 19:19 x
お帰りなさい、劇場へ!

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