人気ブログランキング | 話題のタグを見る

1月20日(金)


▼「シアターアーツ」冬号を読む。別役実×野田秀樹の公開対談「大震災と演劇」の記録が面白かった(司会:山口宏子)。この震災・原発事故のことを自分の演劇として書くのかという話で、野田はオウム真理教のことを描いた「ザ・キャラクター」はサリン事件のあと15年たってから書いたし、別役の日本の終戦後のはなしである「マッチ売りの少女」は20年後たと、そのくらい時間をかけて発酵させないと「マッチ売りの少女」のような名作は生まれなかったのだろう・・・。新野守宏のコラム「徐々に揺れがおさまるなかで」、F/Tの夢の島で上演したオ-プニング作品「宮澤賢治/夢の島から」でのロメオ・カステリッチが演出した「わたしという現象」での津波をじかに連想させる沢山の白い椅子が連鎖的にひきずら倒れてゆく見事な演出が必要以上になまなましく、もし津波とのなんらかの当事者だったらどうかんじるだろうと書いていた・・。わたしも凄いとおもったが、すこし違和感を感じたことも思い出した。事件のあとは時間が必要だということか・・・。柾木博行「そして劇場が行く」の連載は震災後の劇場・演劇の真摯な取材に感服する。
・久しぶりに神保町の銀漢亭で谷岡さんと呑む・・。退院後はじめてなので、俳句や芝居のことをべらべらかってにしゃべって酔っ払った・・・みたい・。雑誌「湯島句会」で村上一行さんが、特選してくださったわたしの句「冬霞命の果てが透けて見え」を丁寧に選評してくださった。ご自分の不本意な年齢での親しかった友達の死を例に挙げての評で、「句の作者が意識している命は、ごく親しい人か、あるいは自らの死ではないだろうか」と指摘された・・。入院直前に作った句で、たしかにそういう意識があったのだろう、この冷静な指摘はとても貴重でありがたかった。

by engekibukuro | 2012-01-21 12:16 | Comments(0)  

<< 1月21日(土)M「青べか物語... 1月19日(木) >>