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2月15日★M「田園に死す」★★S「カラス」

★原作:寺山修司、脚色・構成・演出:天野天街、音楽:J・A・シーザー、企画:流山児祥、流山児★事務所、ザ・スズナリ。水曜の昼の部でも満員、寺山人気は衰えない・・。舞台は天才・天野の才気がみなぎる大活気で、天野に任せた流山児のアイデイアの勝利・・。開幕とたん、舞台中央の柱時計の故障問答を沖田乱と平野直美が際限なく反復する、天野の世界への即座の入り口だ・・。反復の限度の天野の正確な計算、設計が見事なのだ。あとは天野マジックが設計図どうりに意表、意表と展開し、だからといって寺山テイストを壊すのでなく天野流に活かして、寺山ワールドも天野ワールドも、色んな役者、沖田や伊藤弘子、坂井香奈美も流山児の劇場をゆるがせる歌も、色んなものが一挙に楽しめる随分とお得な舞台なのだった。一応主役の、寺山の少年時代を第一に演じる新次役はキャラメルボックスの大内厚雄でキャラメルのファンまで企画・流山児は狙っているようだ・・。
★★振付・出演:ジョセフ・ナジ、音楽・演奏:アコシュ・セレヴェニ、世田谷PT。
凄い舞台だった。旧ユーゴスラビアの辺境に生まれたナジとハンガリー出身のセレヴェニ。この二人の完璧なコラボレーション、それと照明デザインのレミ・ニコラの輝く暗さの照明で舞台の密度が緊密に成ってゆく時間の素晴らしさ、様々な楽器を駆使して、いままで聴いたことが無いような音楽が即興のピュアな現在を感じさせ、ナジが白いキャンバスとおぼしき白面にスミで文様を描いていつつ、微動を重ねていき、クライマックスに大きな壷に入って姿を消したと思ったとたん、全身真っ黒の姿で出て現れた・・、墨の壷だったのだ・・。これでナジはカラスの仲間にどうどうと成ったのだ。そのカラスがキャンバスにカラダを寄せて描く描く絵画、ジャクソン・ポロックのアクションペインテイングをまざまざ思い出させるアクション、そのキャンバスに描かれた絵が目を見張るような・・抽象表現主義の素晴らしい絵が自然に出来上がっているのだ・・。この独創的な黒く輝く舞台は終生忘れないだろう・・。
▼”元気そうでよかった”と流山児も病院にお見舞いに来てくれた伊藤弘子さんも言ってくれた・・。

by engekibukuro | 2012-02-16 11:35 | Comments(0)  

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