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8月21日(火)S「百年、風の仲間たち」新宿梁山泊

作:趙博、演出:金守珍、吉祥寺シアター。在日歌手・趙博が、韓日強制併合百周年にあたって発表した「百年節」という歌を中心にした、在日の人々の朝鮮固有の「恨」の万感の諸相を歌いつくした趙博自身が歌いまくるクライマックスにむけての、大阪の猪飼野の居酒屋「風まかせ人まかせ」の開店20周年当日の店が舞台の音楽劇だ・・。韓国民謡調のメロデイーをもとにして、日本の演歌や北朝鮮の行進曲などいろんな音楽がゴチャ混ぜになっている歌で、在日の百年の苦難の生活と韓日の近代史のおぞましい歴史の焦点を歌ったものだ。さまざまな生い立ちをしょった在日の人々がこの日店に集まった。みなそれぞれ昔からの仲間で、激しい喧嘩ともだちだ・・。歌と踊りの賑やかな舞台だが、中心的なテーマは在日のアイデンテイテイ・クライシス・・。韓国の民主化運動に参加しようとしても「韓国語もわからない半チョッパリ」とあざけられ、”ナショナリズムも嫌だ、コスモポリタンも真っ平。民族的な偏見に満ちたチョーセンジンもご免やけど、バタ-臭い<在日コリアン>も嫌い。このまま陽気な在日関西人として生きるんや”・・。在日のアイデンテイテイは、日本での苦難の年月の果てに、大阪・猪飼野で日々を送る存在として決着する・・。白か黒かではなく、第三の道ともいえる独特の地点として獲得した第一歩の生活の平安だろう・・。北朝鮮が天国だと信じて帰還した父が、日本に残った息子に、向こうから手紙を書くが、インクだったら、こちらにこい、鉛筆だったらくるなというコトバをのこして北朝鮮に帰還した、やがてきたあたりさわりない手紙は鉛筆で書かれていた!そういうエピソードが満載の”問題劇”だが、趙博の圧巻のギター1本の「百年節」の歌を聴きながら、日本人にも”在日関西人”という言葉が腹に落ちた。いわば負の特権性を武器にして生きてきた在日の人々の戦いの果てに獲得した自然な決着点として・・。非常に刺激的で、演劇なではの思考を促す快作だった・・。以上の記述はパンフ転載の<「東亜日報」2011.6.14
”公演プレビュー”欄>の記事に助けられました。

by engekibukuro | 2012-08-22 08:07 | Comments(0)  

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