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8月28日(火)M「「英国王のスピーチ」世田谷PT

原作:デヴィッド・サザーランド、演出;鈴木裕美、上演台本:倉持裕、GAGA。
 数々の賞に輝いた映画は見ていない・・。だが、さすが鈴木の演出とナイスキャステイングで面白い舞台だった。英国王ジョージ六世を演じるのは東山紀之、妻エリザベスを安田成美、英国王の吃音を矯正する言語聴覚士ライオネル・ローグを近藤芳正、英国教会の大司教コスモ・ラングを有福正志、英国首相ボールドウインを久保酎吉、ジョージ五世を高橋長英、ウインストン・チャーチルをラサール石井・・。極度の吃音であとの国王の座を女性問題で放棄したエドワードハ世(葛山信吾)を継ぐ王位継承での全世界へのスピーチの義務におそれおののく王を、国王などという権威を無視した一見乱暴、卑猥な矯正法で克服させる・・。このオーストラリア人で役者崩れの言語聴覚士の近藤が抜群の演技、この近藤の演技がこの舞台の成功の要だった・・。もともと上手い役者ではあったが、もうひとつピンとこなかったが、まったく不見識だった。この近藤の演技で東山の国王の苦悩と喜びが生きて舞台が高級エンターテイメントのテイストを濃く醸しだしたのだった・・。ほかに大司教の有福がいい・・。この人、串田和美主宰の自由劇場出身で、その時分に上演した尾崎翠原作の「第七官界彷徨」でのとてつもなく奇怪な老人を演じて、びっくりした時からのファンだが、不思議なビター風味のユーモアを感じさせる演技で大満足だった・・・、立派にスピーチをやりとげた英国王東山と聴覚士近藤が抱き合って喜ぶラストシーンは感動的・・、どもりが矯正されたというのは、人間が過去のひずみを克服した人間性そのものの矯正が成功したことだから・・。
▲M・プルースト「失われた時を求めて2:スワン家のほうへⅡ」(岩波文庫)をやっと読了。yはっとだが、それだけの読みがいはあるのだった・・。
・山田洋次100選、山本晋也司会のテレビで美空ひばりの沢島忠監督「森の石松」をみた。沢島監督は中村錦之助主演の「一心太助」という傑作があるが、23,4歳の頃のひばりの芝居のうまさとスクリーンをはみ出すような魅力の輝きにおどろいた・・。いまさらみたいなハナシだが・・。

by engekibukuro | 2012-08-29 08:09 | Comments(0)  

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