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9月6日(木)東京芸術劇場★小劇場、★★プレイハウス

★イーストシアター:ジャンク・オペラ「ショックヘッド・ピーターーよいこのえほんー」。ハンガリーの劇団オルケーニの公演。原作はドイツの精神分析医ハインリヒ・ホフマンが1845年に発表した世界的ベストセラー「もじゃもじゃペーター」。それをイギリスで「ショックド・ピーター」というタイトルでミュージカル化して、ローレンス・オリヴィエ賞を受賞、それをハンガリーの劇団オルケーニがハンガリー語のバージョンにアレンジしたもの・・。独特の東欧風風味で、悪い子たちの振る舞いの旋風が描かれて得がたい舞台だった。
★★「エッグ」作・演出:野田秀樹、野田地図。新装なった劇場は、館内いろいろ設備が充実し、劇場も入ったとたんにお芝居っ気が感じられる雰囲気だ・・。その杮落とし公演が芸術監督野田の作・演出・出演のこの「エッグ」。舞台も改装中の建物・劇場の現場で、そこへ野田が扮する女性リーダーが引きつれてきたセーラー服の女高生たちがさんざめいて舞台いっぱいに躍動する・・。「エッグ」というスポーツの選手たち、エッグ・卵の卵黄と卵白の微細な操作によるワクチンの製造、卵の殻に刺した細微な穴からのパンチカードへの発明とか、それらがごっちゃと湧出してくるが、それよりもなによりも舞台の展開のスピードと勢いでたちまち舞台に飲み込まれてゆく・・。出演は深津絵里、妻夫木聡、仲村トオル、秋山菜津子、藤井隆、橋爪功・。エッグチームのオーナーを演じる秋山が、パンフでこの作品について「今回は高校生の時に駒場で観た夢の遊眠社時代の混沌とた感じと、劇作・演出家としての熟練みたいなものが混じりあった不思議な空気が漂っている作品だなと思いました」と言っていったのが適格だ・・。野田は近頃「芝居で一番大事なのは小道具でテーマなんかじゃない」と語っていて、これは井上ひさしじの「芝居は趣向が第一」というコトバに呼応するし、遊眠社を解散してから、野田の芝居がわかりやすくなった、テーマが鮮明とかの評価が高くなってきたが、もうそういうテーマ専一の扱われ方にうんざりしてききたんじゃないか、遊眠社時代への先祖帰りの気があるのかなと曲解だと思うがそんな気になった舞台だった。わたしは新劇育ちで芝居を観ているのかテーマを理解したいばかりなのかが判然としないような観劇ぶりから抜け出せないのが残っているから少々戸惑った芝居ではあった・・。だが、その困惑をかちっとはじいてくれたのが、チームの監督を演じた橋爪功の演技、混沌や難解を蹴散らして”お芝居”の手掛かりをきっちと舞台の幹にしてゆく自然で決然とした演技が光っていた・・。それに呼応した秋山の堂々たる芝居、これもスゴイとしかいいようがない深津の摩訶不思議な魅力・・、とっても刺激的な芝居だった!

by engekibukuro | 2012-09-07 08:35 | Comments(0)  

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