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10月15日(月)S「文体の獣」テアトルBONBON

作:ピエル・パオロ・パゾリーニ、翻訳:石川若枝、構成・演出:川村毅、衣裳・美粧・人形デザイン:宇野亜喜良,TFACTORY。
 パゾリーニの本邦初翻訳初演のシリーズ、「豚小屋」、「騙(かた)り」に続く第三弾。今回は人形のパゾリーニを江戸糸あやつり人形座の結城一糸が操った。驚いたのは開幕とたんにバックのスクリーンに高橋由一の名画赤身が露出した「鮭」が三体映され、そのあとで岸田劉生のこれまた名画「切り通しの坂」が映された、この絵は後半にも映される。パゾリーニにこの二つの名画がどんな関係をもたらせるのか、最後までわからなかった。が、この舞台に惹きつけられる大きな要素になったのは確か・・。この芝居はパゾリーニの自伝だというが、というが、そう述べてから「自伝のパロデイ」とつけくわえる・・。イタリア生まれのイタリア人が、チェコスロヴァキア生まれのチェコ人になっているから・・。川村はパゾリーニの複雑な両親家族との関りの発端から、彼の人生の様々なエポックをパロデイとして書かれた自伝の芝居を、バックのスクリーンに彼の實人生の年譜を文字で流し、比較できるような構成にした。ほとんどが俳優のナレーションで、要所に結城一糸の人形が現われる・・。ファシズム、共産主義が渦巻き漂流する資本主義に巻き込まれて、マルクス主義者を自称する詩人、劇作家、映画監督であるパゾリーニの謎の私生活、難解な20世紀思想・文化への言及、悪罵、ヒットラーとスターリンに蹂躙された20世紀、この世紀への証言としてのパゾリーニ、それをこの厄介なテキストを解きほぐし、再構成してとにかく客に伝わる舞台にした川村の力技は高く評価できる舞台だった。この芝居にもインターナショナルの歌声がきこえるシーンがあって、昨日のクオ・パオ・クンの「霊戯」に続いて2日続くインターだった・・。スロヴァキアの詩人、政治家であるラツオ・ノヴォメスキーを演じた千葉哲也以外ほとんど知らない若い俳優たちだが、難解な台詞を生硬だがきちんと伝えたといえる・・。へんに芝居くさくなくてよかったのだ。パゾリーニは17歳の少年に殺され、生涯を閉じた。
▲ヤンキースはキャプテンのジーターが左足首骨折、黒田が好投しても味方打線が全くしめっていてタイガースにホームで2連敗、あさってのデトロイトの第三戦はタイガースはエースのバーランダーが投げるから暗雲たちこめるね・・。

by engekibukuro | 2012-10-16 10:26 | Comments(0)  

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