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12月9日(日)M:リーデイング公演「回転する夜」

作:蓬莱竜太、演出:和田憲明、ウオーキング・スタッフプロデュース、サイスタジオ コモネA。
この作品は、初演時の評価が高く、蓬莱の代表作のひとつだ。架空の地方の町の海辺の洋館風の家の部屋。この家の持ち主の貿易会社の社長夫妻は海外に逗留中で、若い兄弟が暮らしている。舞台はあその弟の部屋、この部屋には冷蔵庫からオーデイオまで電化製品がすべて揃っている。会社を兄弟のどちらが継ぐのかが問題になっているような情況で、この部屋に町の兄弟の友達が集まってきて、あれやこれや兄弟について喋りまくって、さらにそこに弟の家庭教師をしていた女の芳しくない噂を話題にして、その女が兄と結婚するという意外な顛末へ・・・。そういうことが、幾晩かの時間が錯綜した雨の夜の話として分断されたシーンとして提示される。まったく同じシーンの繰り返しのようでいて、そこに微妙な差異があって、でてくる人物の言動が異なってくる・・。中心は弟の視点で、彼の目に映る兄や女の言動の一種の不可解さを客と共有するような仕組みになっている。弟は一日中家に居て目的もあまり判然としていない勉強をしているが、兄はどこでもいいから働きに出るように促しだす・・・。この劇が、ひきこもりがちの一人の青年が、自立して世の中へ出てゆく過程を独創的な仕組みで展開したものだ・・。最後に迷いをふっ切って働く決心をして自転車で出てゆく、それを見ている兄夫婦に手を振って挨拶・・、なかなか感動的なのだ・・。蓬莱の世界を和田特有の切れのいいテンションで聴き・見応えがあった上演だった。キャストは弟ノボルが遠藤雄弥、兄サダオが多根周作、兄の嫁が内田滋、友達たちが伊達暁、原慎一、逸見宣明、ト書き語りが酒向芳。みんなよいアンサンブルを作っていたが、内田の謎めいた女の気配が印象的だった。

by engekibukuro | 2012-12-10 08:31  

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