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12月12日(水)S「ポリグラフ 嘘発見器」

構想・脚本:マリー・ブラッサール・ロベール・ルパージュ、翻訳:松岡和子、演出:吹越満、映像:ムーチョ・村松、東京芸術劇場シアターイースト。
 ルパージュの生まれ育った、活躍の根拠地カナダのフランス語圏ケベック・シテイでのお話。登場するのはまずは女優のルーシー(太田 緑 ロランス)、元々政治学を勉強していたが今はレストランのウエイターをしているフランソワ(森山開次)、デヴィッド(吹越満)は東ドイツから移住してきた犯罪学者。この3人の目に見えないような見えるような三角関係が、ルパージュ・マジックというべき映像のと実像の交差で不思議な世界を現出する。それにケベック・シテイには城壁があるそうで、この城壁と、デヴィッドが脱出してきた東ドイツのベルリンの壁の対比とか、カナダ・ケベックに留まらないヴィジョンも内包している。だが、話のポイントはルーシーが出演しているおぞましい殺人事件の映画が、現実に最近起こった事件で、それの容疑者がフランソワで彼をポリグラフにかけたのはデヴィッドだというねじれた関係・・。ポリグラフは真実を発見する決め手の道具か・・、この話を3人がほとんど分断された瞬時の連鎖で、行為の細部とそれの映像の拡大とを絡ませて魔術的に現出させた。ダンサー森山の身の軽さ、フランス人とのハーフのエキゾチシズム、気配がまったく感じられない(この劇場の芸術監督野田秀樹は、彼を”忍者のようだ”と指摘した)吹越のパフォーマンスで、なんだか現実と非元日の境界の不思議な世界をあち賢で出来たのだだった・・。
▲佐藤優「読書の技法」(東洋経済新報社)。”月平均300冊、多いときは500冊以上”読むという驚異を通り越した読書・・、これは趙スピードの趙速度の技術と熟読の鍛錬の指南書だ。この本が東洋経済誌に連載されたビジネスパーソン向きの読書術で、プルーストの小説を読むなどという世界とことなるので安心(?)した。ただ村上春樹の「1Q84」に出てくる、二つの月について、沖縄に例をとり、アメリカの言いなりの官僚の見る月と、基地に苦しむ沖縄の民衆の見る月は違う、月は二つあって、なんの不思議もないという解釈は面白かった・・。

by engekibukuro | 2012-12-13 06:40 | Comments(0)  

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