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12月13日(木)M「祈りと怪物ーウイルヴィルの三姉妹ー」

 作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ、シアターコクーン。
 この上演はKERAversion、来年1月にこのテキストの蜷川ヴァージョンが上演される。
「もしも、ガルシア・マルケスが『カラマーゾフの兄弟』のような物語を、姉妹に置き換えて書いたら?」というのが、この作品へのケラの発想のきっかけだったそうだ。さらに、この作品はロバート・アルトマンの映画「ショートカッツ」の手法を使った・・。まったく無関係の人物や事件が、意外な展開で同じ流れにのみこまれてゆく手法、無理してエピソード間の人間関係を交差させない物語・・。この芝居の時期は、20世紀初頭なのか、ラジオはあるが、区分は判然としない・・。架空の国の架空の町ウイルヴィル、この町はさしずめガルシア・マルケス「百年の孤独」のマコンドだろうか・・。この町を支配するのは暴君ドン・ガラス(生瀬勝久)、このドンには長女バララ(久世星佳)、次女テン(緒川たまき)、三女マチケ(安陪なつみ)の三姉妹がいる。このドン・ガラスの広大な邸を中心の舞台に、ドン・ガラスと三姉妹にまつわる大勢の人物たちの群像劇だ・・。この邸のみならずウイルヴィルの民家や、周囲の自然はメルヘンタッチの美術で、全体の物語の感触、物語への参入の気分は、おとぎ話の世界へのものだ・・。この物語は4時間にわたる、この長時間、群像のどんな人物たちもゆるがせにしない個性を与え、事件を積み重ねて、少しもあきさせないケラのイマジネーションの豊かさ、物語作者としての腕は驚異的だといっていいくらいだ。ドン・ガラスの恐怖支配が崩壊してゆくプロセスが物語の主軸だが、マルケスのマジカルな世界は、現実の土地を特定していないが、明らかにラテン・アメリカの現実に根ざしてしいることを想起すると、このケラの物語の根ざしている現実はとも考えるが、これは蜷川ヴァージョンを観てからの楽しみにしよう。ケラの演出は自分の書いた物語があまりに壮大なので、自分でももてあましているような気味があるので、蜷川の視点でどこに物語の力点を置くのか期待と興味は大きい・・。

by engekibukuro | 2012-12-14 07:30  

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