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4月19日(金)S「耳なし芳一」神奈川芸術劇場KAAT

原作:小泉八雲(ラフカデイオ・ハ-ン)、演出・構成:宮本亜門、台本:高羽彩・宮本亜門

 KAATのNIPPON文学シリーズ第三弾・・。ハーンの日本人ならたいがい知っているお話しだ。盲目の琵琶法師芳一、阿弥陀寺に住んでいた芳一は、平家物語の弾き語りが得意で、特に壇ノ浦の段は「鬼神も涙を流す」といわれるほどの名手だった。だから、壇ノ浦で幼くて非業の死を遂げた安徳天皇の怨霊にとり憑かれて、毎夜、滅びた平家の怨霊たちにかこまれた安徳天皇の前で、壇ノ浦の段を弾き語る・・芳一は山本裕典。この芝居に強くひきつけられるのは、舞台の幽暗さで、谷崎潤一郎の「陰影礼賛」で語られたように、日本人がそこでこそ生きられ、暮らせる暗さの魅惑が舞台全体にみなぎっていることで、芳一の母との暗い記憶を含めて、NIPPON文学の基調、日本人の安堵の故郷が息づいている舞台だった・・。舞台全体を覆うような巨大な武士の人形(パペット)とか、セノグラフイーの多彩さと変幻自在の陰影をはらんだ物語(お話し)の展開、小泉八雲・ヘルン先生(演じたのは益岡徹)が紡ぎだした世界が舞台にきちんと、魅惑的に落着したのだった。

by engekibukuro | 2013-04-20 09:39 | Comments(0)  

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